今日の読書 静おばあちゃんにおまかせ/中山七里

法曹界に身を置いていて現在は引退しているおばあちゃんが安楽椅子探偵役、その孫で法曹界を目指している女子大生が外で刑事と協力する形で事件を解くというミステリーの連作短編集になります。

刑事が安楽椅子探偵に事件解決の手助けを頼むというのは、1つの基本形といえるかもしれないですが、刑事が直接事件解決のアイディアを得るのに接触するのは実際には探偵ではない助手的な立場にある女子大生。

ただし、事件の直接的な解決策を授けるというのは安楽椅子探偵役ではあるものの、中間的な役割の女子大生も間に入って連絡役だけをやっていると言うことではなく、事件解決には十分重要な役回りをしているという、なかなか凝った作りになっていて、それにも関わらずにマニアックに敷居を高くすることなく気楽に楽しめる形にしながら、結構中身がしっかりしていて、本格ミステリーでありながら、社会派ネタ、特に正義については清濁併せ呑む形で組み込んでいて侮れないですし、中山七里という作家は最後の最後まで何かしら仕掛けてこないと気が済まないタイプの作家であると、初期の頃からやっているんだなぁと思わずにはいられない作品ですね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

今日の読書 ゲバラ漂流 ポーラスター2/海堂尊

海堂尊によるチェ・ゲバラを主人公とした歴史小説の2冊目になります。

今回はタイトルに漂流とついているように、ゲバラが中南米を移動しながら大国アメリカ、アメリカ企業に支配されている状況を痛感させられ、かといってそれに対する革命として共産主義は共産主義で受け入れるにはあまりにも無理があるとなり、問題山積みな状況。

時代的に冷戦構造下だからこそ、自由主義か共産主義かの2択の論理にいろいろとねじ曲げられている中、現状打破が上手くいかない現実が中々に厳しいと感じさせるものの、基本ゲバラの人徳というか、回りの人に気に入られる能力が優れていて行った先々で要人に会いまくり後年へと繋がっていくという感じですね。

基本、この辺の事情に詳しくないのでどこからどこまで史実でどこからどこまでが小説用に話を盛っているのか判断出来ませんが、面白いは面白いですね。

ボリビア、ペルー、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、グアテマラと移動していくのですが、とりあえずパナマ在留時の章を読んでいる間、頭の中でヴァン・ヘイレンが鳴り響いていました。


テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

今日の読書 西郷の首/伊東潤

敗者に光を当てて、敗者は敗者ではあるが必ずしも悪であるとか、愚者であるというわけではなく、むしろ勝者よりも優れた部分もあったという扱いや、滅びたからこそ残したものがあるというような物語にするのが得意な伊東潤の作品ですが、幕末を扱ったものは薩摩関係者を主役にする事が多いのですが、今回は西郷の首というタイトルで薩摩の誰かを主人公にしているのではないかと思わせますが、主人公は西南戦争の最後となる城山の戦いで西郷隆盛の首を発見する事になった千田文次郞と大久保利通を暗殺する事になる島田一郎という2人の加賀藩士になります。

開国派と攘夷派入り乱れた幕末の中で、百万石という有力藩でありながら中立的立場という名の藩内分裂でどっちつかずで、結局幕末でないがしろにされる結果を招いた加賀藩。

そこで、国のためと熱い情熱を持ちながらも不条理に振り回され、幕藩体制が崩れても理想とはほど遠い扱いにしかならないもどかしさを持たざるを得ない状況に追い込まれ、友人の2人は異なる道を進む事になり、その結果はという事で、時代が急展開する中で翻弄されたり、その中で変化できるか、己を貫くかという激動の時代だよなと考えさせられるもので楽しめました。





テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

今日の読書 巨大幽霊マンモス事件/二階堂黎人

二階堂黎人の二階堂蘭子シリーズの長編になりますが、時系列としては『人狼城事件』より前の話になり、短編集に収録された「ロシア館の謎」の続編的な内容であり、事件に直接介入するのではなく、ロシア革命後のシベリアで起きた事件について小説形式で書かれたものを、国立市は旭通りにある喫茶店紫煙で行われる殺人芸術会で出題されて、そこから真相を当てるというものになります。

元々構想そのものは10年前にはあって、実際ほぼほぼできあがりになっていたそうなのですが、時期的に東日本大震災に被るように発表するにはいろいろとよろしくないという事と、それによって力点を変更したりとあったために遅れたという事らしく、そのため時系列としては中途半端な感じになったというか、人狼城の事件後に入って続いてきた魔王ラビリンスとの対決シリーズが完結してから初の長編ということで、行方不明から帰ってきた蘭子からの新展開になるものと思っていた身としては肩すかしを感じてしまったり。

怪奇性と本格ミステリーとしての論理性を同時に成り立たせようという感のある本シリーズとしては、舞台装置としてロシア革命後のシベリアというのは格好の舞台だったんだろうなぁというのはありますし、これはこれで楽しめたのですが、やっぱりちょっとタイミングとしてこれなのかというのはあって、損をしている感じですかね個人的には。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

今日の読書 スタート!/中山七里

昭和の頑固者といった感じの大物天才映画監督が久しぶりに映画を作ることになった。

それを喜んで映画職人といった面々が集まってくるものの、時代は残念ながら昔ながらの映画作りというものは許されず、いわゆる制作委員会方式でテレビ局が金も出すけれども口を出すという現場にされ、キャスティングも口を出されれば、映画の質よりも分かりやすさや手軽さを求めてくる。

昔ながらの映画職人たちは、テレビ屋の事を侮蔑的に下に見るという、それこそ映画からテレビに娯楽が移動した昭和の人々といった思考であって、水と油といった様相。

そういった、最初から思うようにいかない現場で作る映画は露骨に物議を醸すようなギリギリの内容であり、トラブルが起こりそうなのは露骨に分かる中、事故や人権屋などトラブルが本当に降りかかってきて、その中で映画をどうやって作っていくかという奮闘記であり、ミステリーになります。

ある意味、現在の日本のエンターテインメント業界の問題点や、偽善に溢れまくっているマスメディアや人権屋の問題点を詰め込むだけ詰め込んでいて、その問題点を指摘するだけではなく、だからこそこうあって欲しいと思えるものにまとめ上げている物になります。

私はそれほど映画を見る事は無くなってきているというか、最近は完全に偏った物しか見なくなっていますが、作品作りってこうあって欲しいよねと思えましたし、そういった事を横に置いてもストーリーとして非常に面白い話でした。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

おまけ

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

茶留蔵

Author:茶留蔵
心身ともに不健康で知性が大いに不自由な社会不適合者

タグ
おまけ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
現在の閲覧者数:
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示
ニューリリース
メタル
QRコード
QR
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログラム