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今日の読書 文豪たちの怪しい宴/鯨統一郎

デビュー作でもある『邪馬台国はどこですか』のシリーズ第5弾になりますが、今回は歴史ではなく文学作品についてという変化があり、バーであるスリーバレーは健在ではあるもののバーテンダーは交代、それまでアクロバティックな結論を導き出す宮田だけが継続して登場し、シリーズ第3弾までの議論相手であった美人歴史学者の早乙女静香は前作である『崇徳院を追いかけて』で完全に関係性が変化してしまったことも関係してか登場せず。

扱うネタや登場人物に変化はありましたが、シリーズ物としての体裁は前作よりも今作の方が正当派、バーで酒を飲みながら議論をし、定説から完全に別物の着地点にたどり着くという私としてはシリーズに期待する展開になっています。

文豪ネタという事で、扱ってる作品は夏目漱石の『こころ』太宰治の『走れメロス』宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』芥川龍之介の『藪の中』となりますが、全て教科書に載っているレベルにド定番といえるものであり、全部読んだ事のあるものなので話も理解しやすかったですね。

鯨統一郎の作品の中でもこのシリーズが一番好きですし、バーで話し合うという形が落ち着きが良いのでいずれこの形でまた続編が出ることを楽しみにしてしまいますね。

日本史の次が世界史だったことを踏まえると、日本文学が出て来たらば次は海外文学になったりするのかもと勝手に考えますが、そうなった場合ド定番なものを使ったとしても私は読んでいない可能性が高いのが困りどころになるかも。

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ジャンル : 小説・文学

今日の読書 再雇用されたら一カ月で地獄へ堕とされました/愛川晶

高校の社会科の教師が定年を迎え、再雇用という順調な流れに乗るはずだったのに、条件からしておかしいものを受け入れざるを得ず、ブラックな環境、パワハラ案件、隣県の例と比べて明らかに不遇な県の対応、追い打ちをかけるようにリフォームをした家が手抜き工事でと、命の危険がせまるというような窮地ではないが、現実的と想定される中では地獄というような状況に追い込まれてという話ですね。

ミステリー小説ですと文字通り殺されるかもしれない環境に放り込まれるような地獄という設定はいくらでもあり、それと比べると殺されるわけでも無くまだ救いもあるかのようにもなりますが、それ故にページをめくるのが重い気分になる、貧乏くじにも程があるものを引かされてしまったが故の話であり、何とか切り抜ける事ができる話になるのだろうと予想はするものの、ただただ本当に地獄に堕とされてしまったという救いようのない話にもなり得るのかもと思わされる展開でした。

とりあえず、緊縮財政こそ正義だと常日頃から言っている人は読んでみるのも一興かもしれないですね。

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今日の読書 七丁目まで空が象色/似鳥鶏

楓ヶ丘動物園の愉快な飼育員たちが活躍するシリーズの5冊目の作品となります。

今回は研修先の動物園で象が脱走するという事件に巻き込まれる事になるというもの。

街中で動物との追いかっけっこになってしまうというのは、ダチョウでやっていたりもしますが、今回は象という事でそう簡単には捕まえることが出来ないので、街中では大騒動という事になるというもの。

主人公の桃本の従弟が登場したり、レギュラー陣の掘り下げも進んでいて、今後もシリーズ化は予定されているようですし、そのためにキャラクターの幅を広げているのは感じますね。

今回は象という大物を使っただけでは無く、事件の裏も結構な規模のものになったので、今後も大規模路線になるのか、規模を小さくして日常の謎っぽいものもやっていくのか、動物園さえ絡めばどうとでも使えそうな設定なだけに期待したいですね。

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今日の読書 イマジン/有川ひろ

有川浩から有川ひろ名義に変えてから初めて刊行される小説作品になると思います。

映像制作を夢見て上京したものの、その夢かなわずフリーターをしていた童顔青年が映像制作現場のアルバイトをする事になってという所から始まる物語。

連作短編で進む構成であるとか、お仕事ものとして職業としての紹介を兼ねて、その現場で求められるものを、現場で求められない人物も放り込んでチームとして奮闘していくというのは有川作品では結構軸となるものが多く、王道展開であり仮にこの作品が初めて有川作品に触れるという場合であっても、作品の傾向としてはこの手のものが多いから名刺代わりにもなるよという印象ですね。

映像作品という事で、自身の作品の映像化の時に経験したこと、現場での事や映像化に関する読者からの反響など良い面も悪い面も全部ひっくるめてネタにしている、原作のイメージに合わないと暴走する読者に関することや、いかんせん自衛隊を扱うことが多く、自衛隊を悪と固定して物事を考えていて、それに関しては1ミリも譲歩する気が無いような人、そういった事態に対しガンガン反論してきた作者らしいものを、さらに作品にも生かすんだから転んでもただでは起きないを地でいっているなぁと感心することしきりですね。

作品内の映像作品は自分の作品を元ネタにしていて、初っぱなから『天翔ける広報室』という『空飛ぶ広報室』の事だよねと分かりやすく始まり、この作品の映像化について自衛隊の協力体制というのが本当に良い意味で影響を受けたんだというのが分かる物になっています。

いろいろな要素を詰め込みながらも、詰め込みすぎて消化不良を起こさない、詰め込みすぎて話が難しくなりすぎるという事は一切起こさないバランス感覚、改めて王道作品の理想型の1つとも思える作品ですね。

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今日の読書 論理仕掛けの奇談/有栖川有栖

『迷宮逍遥』に続く文庫の最後に載っている解説17年分をまとめた1冊になります。

文庫を読む楽しみの1つに解説がついているという事があり、最近は作家読みをしていてなかなか新規作家に手を広げていかないので参考にする頻度は下がりましたが、目立つところにあって気になったものを手にとって解説を参考に読むかどうか決めるというのを、かつてはやっていたりもしました。

解説は依頼されて書いているので当然つまらないというような評価が書かれることはありえないので、それが当たりかどうかを正確に見極めることは出来ませんが、その作品の傾向や作家の傾向を知る手段の1つになるとは思います。

もしくは読んで気に入った作品ならば、その作家の作品で次に手を出すのにはどれが良いのかというのを決める指針になったり、もしくはその作家が影響を受けたというものに手を出してみようかなと判断するのにも参考になったりします。

そんな解説ですが、誰が解説を書いているかということも作品の傾向を知る指標にもなり、有栖川有栖が解説を書いているという事そのものが作家の傾向を分かりやすくもしていますね。

当然いわゆる本格ミステリが大半をしめていますし、古典の新版というものから新人まで幅広く扱うだけではなく、いわゆる本格ミステリを批判的に扱っていて社会派ミステリこそ人間を書いていて正しいあり方というような扱いをしていた松本清張を敵視しながら評価をするという試みも入っていたりもします。

この解説を読んでいて、当然既に読んでいる作品の解説もあったりしますが、未読作品が山ほどあり、名前は知っているけれども読んでいない作家、読んだ事はあるけれども優先順位を高くしないであまり手を出さなくなってしまった作家、初めて目にする作家などなどあり、これは読みたいなと思えるものがいくつかあり、そう言った意味でも非常に参考になりました。

本当に世の中には山ほど出版されているので、読み切ろうと思っても読み切れるものではないのですが、読書欲がある限りはできるだけ読んでいきたいよなぁと再確認する事になりました。

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