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今日の読書 死にゆく者の祈り/中山七里

どんでん返しの帝王と評される中山七里の法廷関係を扱ったミステリー、今回は囚人を相手に仏道を説く教誨師という珍しい主人公になります。

教誨師が拘置所で、大学時代の友人であり命の恩人でもある死刑囚と再会し、四半世紀前に知っていた男と死刑判決を受けた事件との結びつきの無さに違和感を覚え、事件について調べ冤罪を疑うようになりという話になります。

教誨師という珍しい職業設定と、命の恩人を救うために奮闘するという王道展開、それでいて四半世紀ぶりの再会でありその間にお互いに色々とあったというのを上手くまとめ上げていて、中山七里作品得意のラストに畳みかけるように色々と事が転がっていく感じとで、非常にらしい作品だなと。

シリーズ物ではなくても基本同じ設定世界での出来事ですので、法廷関係ならば誰かしら他作品のレギュラーな登場人物が出てくるだろうなといった予想も当てはまりますしね。

死刑囚絡みという事で、死刑制度そのものについても、少し考えさせる部分もあります。

死にゆく者の祈り

今日の読書 震える天秤/染井為人

福井県で高齢者がコンビニに軽トラで突っ込んで、店番をしていた店長が死亡するという事故が起きた。

昨今よく目にする、老人がブレーキを践んだつもりでアクセルを踏み抜いたというような典型的は事故という感じではあるが、高齢者ドライバーと地方の車社会という問題を中心に扱うように取材するように依頼されたフリーライターが現地で取材を始めると、そこかしこに微妙な違和感が残り、よくある話でまとめるものではないと感じて、必要以上に取材をするようになるという話になります。

高齢者ドライバーの免許返上であるとかの問題は公共交通機関が発展している地域とそうではに地域では認識の違いは大きいと思いますが(都市部でも平気で高齢者ドライバーによる死亡事故はありますが)対策をするにも簡単に禁止事項を増やせば解決するというものではない問題、車社会になればなるほど生活に直結するという事もあり、思うようにいかないというのもあるわけですが、そこを出発点に被害者、被害者遺族、加害者関係者といろいろと話の結末はどこに向かおうとしているのかというのが色々と考えられる展開になっていて、ライターを主人公にしているからこそ真相究明の落としどころも考えたのだろうという意味でも楽しめるものになっています。

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今日の読書 今昔百鬼拾遺 天狗/京極夏彦

今昔百鬼拾遺3部作、鬼、河童に続きしめは天狗になります。

このシリーズは中尊寺敦子と呉美由紀が中心となって某かの事件に関わるというものですが、今回はそこに百器徒然袋 雨で登場した篠村美弥子(名前を見てもぱっと思い出せなくて検索しましたが)の友人が消息不明になったという事で絡んできます。

高尾山で消息を絶ったという友人、何故かその服を着た痛いが群馬県の迦葉山で発見されるという不可解な事件という事、高尾山で姿を消したという事で天狗に関わっているんじゃないかという話が出てくるのと、何で天狗が関わってくるのかという反論など込みで天狗とはそもそも何という辺りの考察が絡んでくると言うのも一連の京極堂シリーズとしてはお決まりのお約束になっています。

京極夏彦の一連の作品というのは、事件解決であるとか、そういった本筋以上に脇筋というと違うかもしれないですが、妖怪絡みの考察であるとか、思想信条であるとか社会常識、伝統的なものと新しい物事の考え方などのやりとりに面白味が強いのですが、今回は特に戦後当時にまで残っている悪しき古い考え方として生まれながらの性質、家柄、性別、身分などなどの固定概念について、また固定概念の強要や自らの思想信条についてを勝敗という形で決めようとする考え方、何事も上下という判断基準ありきで、それが故の思考停止という事についての雑談と言う形での考察が楽しめますね。

本当に現在、物事の判断基準として勝敗や優劣を決めないと落ち着かない、自分の価値基準こそが正義で、そこから外れたものを全否定する事に何の躊躇も持たない人が目に付きすぎて、またそういう人が必要以上に声がでかく、単純な二項対立構造だから何も考えないで喧伝できるようになっていて、本当に辟易する事があるのですが、そういう人にこそ一旦落ち着いて、このシリーズでも読んでみればと思わずにはいられないですね。

日本語を理解していれば、全てその通りだと受け入れるというのではなくても、自分を省みるきっかけを作ってくれるとは思いますし、単純に物語として楽しめるので、そこら辺深く考えなくても別に構わないのでね。

京極堂シリーズは、スピンオフ作品も作りやすい形になっていますが、本筋のシリーズとしてはもうやらないのですかね?『邪魅の雫』からすでに干支は一回り過ぎているのですが・・・

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今日の読書 図書館の殺人/青崎有吾

風ヶ丘高校を舞台とした、裏染天馬シリーズであり、館シリーズとしては3作目になります。

図書館は学校内のものではなく、高校の近所という事でこれで長編3作中学校内での殺人事件は1作だけという事になります。

エラリー・クイーンばりの論理的な本格ミステリという扱いであり、1つの事件をじっくりと謎解きをするという王道的な部分と、高校生が主人公というのもあり今回はテスト中の事件であるとか、事件関係以外に付随するもの、それぞれの人間関係やらなにやらを入れている辺りは学園ミステリならではですかね。

本編も論理の飛躍があって、結構追いかけられない部分もあったり、オタク要素が強めの小ネタを全部拾いきれているわけではないにせよ楽しめるのですが、何気に主な登場人物の紹介が力が入りすぎというか、順番に読んでいった方が正しいというシリーズものだからこそ、色々とやりたかったんだろうなぁと。

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今日の読書 風ヶ丘五十円玉祭りの謎/青崎有吾

『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続く風ヶ丘高校を舞台にする裏染天馬シリーズ3作目になり、初の日常の謎だけの短編集になります。

タイトルに五十円玉とついているだけで、『競作五十円玉二十枚の謎』という新本格ミステリ初期に、若竹七海が経験した実話である、バイト先の書店に土曜日に現れる、五十円玉二十枚を両替に来る男(だったと思う)は一体何だったんだという謎についての競作、既にデビューしていた作家から、このお題で作品を募集して投稿された一般人、後に作家などが混在した作品たち、またこのお題を後に自分の作品のネタとして、作品に発表したりとかあったものがあるのですが、明らかに狙って下敷きにした作品が収められています。

このシリーズが、綾辻行人の館シリーズを踏襲しているだけではなく、先行されて大量に既に出回っている新本格ミステリ初期作品からの影響を隠さずにやって来ているので、これはこれで分かりやすいですね。

日常の謎がメインという事で、学校内だけではなく、表題作は夏祭りであったり大事にする必要がない分自由度が高く、日常の謎と思えるものにぶつかるのが、各々の感覚的なものであったりするので、登場人物の掘り下げに使ったりしている感もありますね。

そして、裏染天馬というキャラクターの重要な部分に触れるおまけ作品が入っていて、いろいろと重く考えてはいけないんだなと(苦笑)

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