今日の読書 三鬼 三島屋変調百物語四之続/宮部みゆき

聞いて聞き捨て、語って語り捨てという決まりで三島屋のおちかが変わった物語を聞き変り百物語を集めていくという時代小説のシリーズ4作目になります。

4作品収録されている連作短編になりますが、初めて語り手が子供である話から語り手が途中で消えてしまう話。

恐ろしい怪異や習俗となるものから、怪異だけれども良い話までいろいろと振り幅があるのは、さすが宮部みゆきだなと思える物になっています。

タイトルが三鬼と言うことで、恐らくFC町田ゼルビアサポーターならば何のためらいもなく「みき」と読むところですが、「さんき」とこの話では読ませています。

個人的には昨シーズン途中での契約解除は、十分に百物語にいれたくなるようなものでしたが、本作には微塵も関係ないことですね。

百物語と言うことですが、作中で実はすでにいくつも話を聞いていて、あといくつで百になるというようなすっとばしをしない限りこのペースで果たして百物語として達成するのかどうか気になるところですが、別に百物語そろえ終わればどうなるのかというものでもないので気にしなくていいのかもしれないですね。

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今日の読書 崇徳院を追いかけて/鯨統一郎

作者のデビュー作になる『邪馬台国はどこですか?』のシリーズ最新作となりますが、シリーズとしては同じでも構成としてはかなり別物であり、初の長編になります。

『邪馬台国はどこですか?』はお酒よりもおつまみの方に力が入っている感じのするバーであるスリーバレーで、新進気鋭の美人歴史学者である早乙女静香が肩書きとしては取り立てて目立つものの無い宮田六郎と歴史談義をし、歴史解釈を通説とは全く別物に着地させるという歴史ミステリー小説の連作短編集となっています。

続く『新・世界の七不思議』は前作が基本的に日本史ネタだったものを、世界史ネタにしたものであって、基本構造は同じ舞台はバーでひたすら議論するだけのもの。

しばらく新作が出ないままもうシリーズは終わったのかと思っていたところに出た前作の『新・日本の七不思議』は早乙女静香と宮田六郎のの関係に大きな変化があるだけではなく、それまでバーで議論していただけの話がバーから飛び出して旅行までして現地で歴史談義をして新説を見せるというもので、シリーズの形を崩したもになり正直戸惑いました。

今作はさらに形が崩れて長編になり、時系列としては前作よりも前の出来事、2人の関係性が変化した理由を見せるということにもなるもので、さらに議論だけしていたのから殺人事件にも巻き込まれるというもので、その事件の背後には日本最大の怨霊である崇徳院と西行が絡んでいるという事件と歴史解釈を同時に解くというベタな形式の歴史ミステリー小説になっています。

それこそ、このタイプはこのシリーズのスピンオフというか、別のシリーズキャラクターである桜川東子を共演させた『全ての美人は名探偵である』『邪馬台国殺人紀行』と同じ構成になっています。

このシリーズが今後どうなるのか分からないので何とも言えないのですが、シリーズ内の別物作品と言えるものでして、歴史解釈を議論して通説とは全く別物に着地させるという手法の作品は続けるのが難しすぎて限界なのかなというのと、同時に前作があまりにも唐突に関係性を変化させたので理由を書いておいた方がいいから書いたというのと両方ありそうだなぁと。

作品単独として読むのならば、ありではあると思うのですが、シリーズとして期待しているとなると定番のバーでの議論となるので残念に感じてしまう。

議論だけで話を転がすのは、桜川東子のシリーズのようにほぼ懐かしいものをネタとしたバカ話主体ならばやりようがあるけれども、歴史ネタ限定となるとそうそう驚かせるようなネタを作ることは出来ないということなんだと思うしかないですね。

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今日の読書 マカロンはマカロン/近藤史恵

シェフ2人にギャルソン、ソムリエの4人で回しているフランス料理のビストロ・パ・マル。

その店で起きるちょっとした事件を解決する『タルトタタンの夢』から始まる日常の謎系のミステリー小説のシリーズ3作目になります。

シリーズのメインキャラクターのバックボーンなどは前2作までにあらかた紹介し終わったということで、今回はメインの登場人物の掘り下げというような話はなく、訪れたお客様に関する事のみの謎についてで進み、連作短編としても1つ1つの話しも短く場合によっては日常の謎系のミステリー小説というほど謎解き要素はないものもあります。

ちょっと良い話から、ちょっとした人の闇を見せられる話しまで振れ幅はありますが、事件性のあるものではなく日常の範囲内になっていて、殺伐としたミステリー小説はしんどいというときに気楽に楽しむ事が出来ます。

ただし、フランス料理についての描写だらけなので読んでいて腹が減ってしまうというのと、フランス料理に詳しくないから実はどういう料理なのか今ひとつ把握出来ていないというのは困りものですが。

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今日の読書 走狗/伊東潤

明治維新の時代、西郷隆盛と大久保利通の陰として警視庁長官まで上り詰めた川治利良を主人公とした歴史小説になります。

伊東潤の作品は歴史上敗者扱いにされる方を主役とする傾向が強く、戦国時代では北条氏を主役に刷る作品が多かったりしますが、幕末から明治維新以降までの時代では薩摩関係者を主役にする傾向は出始めているのかなというのがありますね。

『武士の碑』という村田新八を主役にした作品が前例にあるだけではありますけれども、何となく薩摩藩関係者は掘りがいがありそうと踏んでいるんじゃないかと勝手に思える気はします。

川路利良は武士としては最下級もいいところの出身という事で、それが幕末に出自に拘らない西郷隆盛に見いだされ、犬として奔走し結果を出し出世をし野心にとりつかれていくという流れですね。

単なる出世欲という野心だけではなく、権力欲と日本という国家を欧米に負けないような国家にしたいという欲望とで公私共に生き急いだ感じになってしまうという。

面白いのは秘密警察という存在にとりつかれていくという事ですね。

フランス革命から学び、ロビス・ピエールと秘密警察のジョゼフ・フォーシェの国家のためにはなりふり構わないというもの、国家のためならばどんな汚い手段も厭わないというのが、国家のためという建前から乖離してしまうというか、手段と目的が入れ替わってしまう危険性をはらんでいるという当たりですね。

革命から独裁政権に移行すると独裁維持のために粛清の嵐になってしまうというのは、暴力的左翼の宿命なんでしょうが、正義のためという看板を背負った革命っていうのはそういうものだよなぁと。

明治政府が維新以降残った人材が小粒になってしまったし、ならざるを得なかったのはこういう事なんだろうなぁと考えさせられるものでした。

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今日の読書 恋のゴンドラ/東野圭吾

スキーやスノーボードは、かつては冬の娯楽として猫も杓子も行くものというような同調圧力ではないかというくらい流行った時代がありますが、現在すっかり大衆性を失い流行り物から脱落している現状のようです。

まぁ若者の○○離れという頭の悪い分析手法になると、若者のスキー離れなんていう事になるのでしょうが、そういう頭の悪い分析手法はともかくとして、ウインタースポーツ全般を盛り上げようという意図をもった作品を連発している東野圭吾作品の中でも、今作は一番若者のスキー離れと言われるよりも遙か前、同調圧力的にスキーが華やかし頃よもう一度という感じの作品ですね。

基本のノリが、バブル華かやしき頃のいわゆるトレンディードラマを彷彿とさせるゲレンデを舞台にした、男女の恋愛に関するあれこれ、バブル期との大きな違いは結婚を意識して焦りを感じる年齢が30歳と上がった事くらいで、あの時代のノリを現代に持ち込んでみましたという感じですかね。

連作短編型長編ですが、それこそ一昔以上前の連ドラのノリ、現代でやったらばいつの時代だよと叩かれる可能性大と感じるくらい(笑)

まぁ、明るい話題も少なく、または明るい話題に持っていこうとするとやっかみによって叩かれるような時代であるからこそ、逆に何も考えないで気楽に楽しめるものを書こうという意図のもとの作品だと思っています。

変に社会派作品だらけになるのは、それはそれで面白くないですからね。

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