今日の読書 おやすみラフマニノフ/中山七里

『さよならドビュッシー』に続くピアニスト岬洋介シリーズの2作目になります。

今回は音大の完全密室と言える現場から時価2億円相当のストラディバリウスのビオラが姿を消した事を発端とする事件に巻き込まれた定期演奏会を目前とした学生オーケストラの面々が、音大という潰しの利かない大学だからこその将来の不安と事件への不安や懐疑などで押しつぶされそうになりながら奮闘せざるを得ない状況になっていくというもの。

音楽で飯を食べていくというのは狭き門、音大に通っていたとしてもそれは変わらず、大学4年になると現実から目を背けることも出来なくなり、しかもこの作品が発表された2010年といえばリーマンショックからの不況、さらに日本国内は不況期に事業仕分けこそ正義と緊縮財政を派手にぶっ放して不況を加速させるという状況でとにかく学生の不安を煽りまくっていた時期というのもあり、追い詰められ方が半端ない状況になっていて、そんな状況で一縷の望みを賭けて演奏会へと向かう姿は青春ものとしては崖っぷち感が半端ないですね。

『さよならドビュッシー』でもそうでしたが、2作目にしてこのシリーズは追い詰められた若者が追い詰められた中でいかに音楽に対して本気で向かい、与えられた困難を乗り越えるのかというのをやるものなのかと分かりました。

ミステリー要素はミステリー要素でしっかりと抑えていますし、王道感が非常に強いですね。

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今日の読書 歴女美人探偵アルキメデス大河伝説殺人紀行/鯨統一郎

『邪馬台国はどこですか?』シリーズの早乙女静香と『九つの殺人メルヘン』シリーズの桜川東子のシリーズの2人と翁ひとみの3人の歴女が集まるウォーキングの会アルキ女デスのシリーズ最新作になります。

旅行先を歴史関係から選んで、現地で殺人事件に巻き込まれるというトラベルミステリーですが、シリーズ初期の頃は事件にも、関わった歴史に見立てた事件なんていうものもありましたが、今回は旅先を決める導入部程度のものになっていて、トラベルミステリー色がより強まった感じですね。

石狩川、利根川、信濃川に出かける3作品になっていますが、歴史繋がりというよりも完全に川だからという繋がりになっています。

早乙女静香がこのシリーズで、完全に殺人事件に首を突っ込む探偵役になってしまっているので、そりゃ『邪馬台国はどこですか?』のシリーズに戻すよりも、同じ仕組みで役回りを組み替えた新しいものを書くよなって思わずにはいられないですね。

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今日の読書 不良品探偵/滝田務雄

伝説の不良品と言われるほどの、ポンコツながら探偵としての能力だけはある高校生の藍須救武とその後輩でできれば不良品と関わりたくないとしながらも巻き込まれてワトソン役をやらされる白城一馬は、ボケ役でMの役回りの探偵とツッコミでSの役回りのワトソン役というコンビ。

これに、ボケ役でSな女性刑事である海老根とツッコミでMな後輩男性刑事蟹江という2組のコンビが事件を解決する形の連作短編集になります。

実質解決するのは不良品探偵であり、刑事コンビは警察としての権力ありきの行動であるか、基本引っかき回し役ですが。

滝田務雄はコンビは大抵明確にボケとツッコミ、ボケに振り回される気の毒なツッコミ役というのが多いのですが、今回は2組のコンビがあるというのもあり、動きにバリエーションがあり、かなり自由度が高い感じになっています。

高校生が主役というのは筆者の初のパターンですが、刑事コンビが関わってからは高校が舞台となる事件から離れるので、さほど高校生が主役のミステリーという感じはしませんし、基本学校メインというのは不得意なんだろうなと思わずにはいられないですが、さほど問題なく楽しめますね。

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今日の読書 さよならドビュッシー/中山七里

このミステリーがすごい!大賞を受賞し、中山七里のデビュー作となる作品をようやく読みました。

ずっと気になっていたのですが、なんとなく後回しにとし続けてしまった事に後悔するくらい面白い王道作品でした。

話としては、高校入学を目前に控えたピアニスト志望の女子が大災難に合ってしまい、困難な状況に陥りながらも、決死の覚悟でピアニストを目指すことになり、それを風変わりな若手ピアニストが手伝う事になるというもの。

最初の災難だけではなく、その後も不可解な事件やら何やらに巻き込まれてというのがミステリー要素ですが、仮にミステリー要素無しでも王道青春ものとして十分楽しむことが出来ますが、ミステリー要素もミステリー要素で十分すぎるくらいに王道なものに仕上がっています。

惜しむべくは、私が知っているクラシック曲、タイトルを聞いただけですぐにどういう曲だか頭の中で再生できる曲が少ないということですね。

ショパンのエチュードなんていうのも何曲も出てきますが、聞いたことはありますが頭の中で再生できるのは革命だけですし、ここら辺の知識はもっとあれば良かったなぁと。

個人的には、今後シリーズの主人公となるピアニストに感情移入しやすいところを見つけたと同時に、ピンポイントで指摘したくもあるなぁっていうのもありました。

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今日の読書 歴史はバーで作られる/鯨統一郎

『邪馬台国はどこですか?』のシリーズがシリーズが進んでいったために、登場キャラクターの立ち位置が変化してきたり、スピンオフ作品に出るようになってしまったりで原型である、歴史解釈合戦のような形で進める事ができなくなってしまったので、似て非なる登場人物を配置しての原点回帰作品に作り替えたという趣になります。

バーに集まる、市井の歴史学者の老人と知識ゼロだが頭は冴えている美人バーテンダーが学会の若手のホープと教え子の4人が歴史上の通説とは離れた謎の解明をするというものですね。

話を回すのは市井の学者の話を聞いた美人バーテンダーがその説を推しまくり、通説にあるあやふやな点をツッコミ、その通説破りの力技具合を心の中でツッコむのが教え子というもになっています。

凄く原点回帰作品だなぁと思わずにはいられないのですが、こういう原点回帰は大歓迎ですね。

扱っているネタがネアンデルタール人、八百屋お七、マヤ文明、銅鐸、源義経と統一感がありませんが、基本敵に文献というデータが希薄というのが共通点と言えば共通点ですかね。

データが不足しているからこそ、想像力だけで突き進むことが出来るというのは、作者の得意とするところでもありますしね。

まぁ、元々通説そのものがデータが希薄なので、何が正解なのか分からない所は多々ありますが、元々歴史的にこれが正しいと主張するものではなく、こう考えると面白いよねっていうものですので、楽しければそれでよしなものですね。

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