今日の読書 悪左府の女/伊東潤

平安時代末期、保元の乱目前を舞台に、冷徹な頭脳ゆえに悪左府と呼ばれた藤原頼長が下級貴族の娘春澄栄子を利用して権力争いをするという歴史小説になります。

主人公は栄子であり、権力争いの卑劣な罠の仕掛合いに巻き込まれながらも何とか奮闘するというものですね。

伊東潤の作品は歴史上の敗者側から描かれることが多いですが、今回も貴族がこの世を謳歌していた時代から武士に権力が移行していく時期の貴族側であり、貴族として頭が切れる頼長が自らの力だけではどうにもならない時代の変遷、武士という立場は貴族よりも下であるという常識に囚われたあたり、常識の変化する時代だからこそという流れになっています。

時代の変化に現れた平清盛を頂点とする平家というのも、栄枯盛衰が激しすぎるのですが保元の乱の頃は順調に右肩上がりな時代ですし、どちらかというと清盛が出てくる話は頂点を極めた後、没落していくまでを描かれることが多いのですが、基本的には保元の乱まで、基本的にから外れたところ、最後まで仕掛けがありますが、それはそれ。

戦国時代を舞台とした小説ですと、直接的な戦が多くなりますが、平安時代は直接的な武力ではなく、権謀術数が重用になり戦い方もまた別のやり方ということで、混乱の時代を描いた物としては毛色が違って面白かったですね。

平安時代の権力争いとなると、詳しくは無いのですが末期になるとそれなりに見覚えのある名前が出てくる物だとして、詳しく無いなりに楽しめましたね。

私が知らないだけかもしれないですが、歴史小説はもっといろいろな時代のものがあってもいいと改めて思いました。

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今日の読書 あの子が結婚するなんて/五十嵐貴久

大手企業に勤めるアラサー女子が、中学時代からの親友の結婚式を盛り上げるプライズメイドのリーダーを頼まれることになった。

親友の結婚はそれはそれでおめでたいことだし、祝いたい気分はあるのだが、容姿に恵まれているわけでも無いぽっちゃり系で良い子という評価は出来るけれども、それ以上の評価をするほどではないのに、結婚相手はイケメンで裕福な家庭の医者であるということで、どこかしらもやもやするものを抱えてしまう。

結婚ということで舞い上がっている親友と比べ、現在は付き合っている相手もおらず、次に付き合う相手がいるならば、そのまま結婚までと意識せざるを得ないほど崖っぷちにいる心境のなか、結婚式の準備を進める事になり、新郎側の盛り上げ役であるアッシャーに惹かれてしまってというコメディになります。

五十嵐貴久の作品は、いわゆる青春時代をとっくに終わらせた年代を主人公にした青春ものという感じの作品というのが結構ありますが、これもそれに当てはまりますね、青春時代を共にした親友達との関係がそのまま立場を変えながらも続いていて、その立場が変わるイベントとして今回は結婚というものを使っています。

結婚式の準備を進めていく中での細かなトラブルを乗り越えながら結婚式までという連作短編型長編になっていて気楽に読み進めやすい感じですね。

何となくですが、連続ドラマの原作の使いやすそうというのはあります。

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今日の読書 素敵な日本人/東野圭吾

とりたててタイトルには意味が無い、短編集になります。

ここの所、短編集となると連作短編であるとか、何かしらテーマが統一されたものをよく読んでいた気がするのですが、統一感のないジャンルとしてもがっつりミステリーもあれば、日常の謎っぽいもの、ちょっとしたSFっぽいものから、完全なネタものまで幅広く収められていて、統一感と言えばいかにも東野圭吾の作品だよなという事くらいのものになっています。

シリーズ物の連作短編と違って、ある意味1つ読み終われば切り替えが効いたり、1つ読み終わるのに区切りが早く来ますし、ちょっとした空き時間向けに良いなと、短編集ってある意味ではそういうものだよなぁと再確認することになりました。

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今日の読書 城をひとつ/伊東潤

戦国時代、相模国を中心として関東に覇を唱えていた北条氏。

その北条五代を支えた影の軍師一族である大藤氏が幻の兵法書である『孟徳新書』に書かれている秘伝「入込」の術を用いて諜報活動を繰り広げる、戦国時代を舞台とした歴史小説にしてスパイゲーム小説の連作短編になります。

伊東潤は戦国時代を舞台とする歴史小説の中で、あまり陽の目を見ないできた北条氏をメインとする小説を多く発表していますが、新作になればなるほど北条氏もので名前を売ったけれどもそれ以外も書けるんだよとばかりに、扱う時代も扱う題材も幅広くなってきましたが、そんな中でも再び北条氏を軸とした物語に戻って来てくれて、個人的に嬉しくなりますね。

歴史の表舞台での活躍とは別物を題材にすることによって、自由度が高いですし、その自由度が高い中にも北条氏の善政について詰め込んでくるあたり、本当に北条五代イメージアップキャンペーン作家ですよね(笑)

戦国大名の中では、知名度のわりにエピソードがあまり知られていない北条氏ですから、こういうのは大いに喜ぶべきですね。

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今日の読書 落語魅捨理全集 坊主の楽しみ/山口雅也

山口雅也の5年ぶりの新作という事になるのですね、久しく新作を読んだ覚えが無いと思っていましたがそこまで間が空いていたとは思ってもいませんでした。

今作は新作落語の文章化という感じですね。

古典落語をいくつか混ぜてみたり、ミステリーであるとか、その他現代小ネタをを詰め込んでみたりしていますね。

密室ネタを入れると、密室の説明は未来では知られることみたいな事をしたり、サゲになりそうになると、ここでサゲになるところですがと話を続けてみたりと自由にやっているなぁと。

山口雅也だから、ガチガチの本格謎解きみたいな事を期待するとそういうものでもなく、変わった新作落語を読むというスタンスで読むものなんだなと、恐らく私は小ネタを拾いきれていないんだろうなぁと、多少上級者向けなのかもしれないと勝手に思わずにはいられない作品ですね。

元ネタとなる小ネタを拾いきれないとダメかというとそうではないですけれども。

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