今日の読書 ロシアの歴史を知るための50章/下斗米伸夫編著

タイトルそのままにロシアの歴史を50章でまとめたものになります。

近代国家として存在する前の段階、タタールの軛によって支配される側としてのトラウマを出発点に軛から解放され正教を軸に徐々にロシアとしてのまとまりを作っていき巨大国家としてのロシアが作られてから、革命によってソ連となり、ソ連が崩壊してロシアに戻ってそれからというのがざっくり過ぎる流れになります。

一応はぼんやりとロシアの歴史の流れは頭に入ってはいますが、どうしてもソ連崩壊付近から以降のことが分かりやすいですね、その前は元がぼんやりしか頭に入っていないので。

ソ連崩壊をソ連という特殊事例として扱うというのも考え方の1つでしょうが、私は現在の混沌とした世界情勢、グローバル化を進めてしまったからこそ起きている軋轢というものを考える上で、暴力的な左翼革命という不自然な国家体制、しかも戦時社会主義というまず暴力ありきでまとまるという非常に左翼らしい人工的な国家作りというものは、改めて検証する価値は高いと思えてならないですね。

共産主義の敗退は資本主義の勝利という二項対立構造で考えられる事が多く、決して全くの的外れ出会ったわけでは無いとは思いますが、力点は共産主義と資本主義という経済政策上の優劣に置くべきではなく、無理矢理1つの国家とするために、それまでの伝統文化や宗教、民族を一緒くたにするために強制的にフラット化した事は、現在の暴力的なリベラル勢力による伝統文化で土着文化に対し移民が気にくわないという理由で差別にすり替えて全否定するかのように喧伝して回るということに類似性を感じずにはいられないわけですし。

もちろん、ソ連崩壊は勝手に自壊したものではなく、米ソによる冷戦構造で軍拡競争を繰り広げて耐えられなくなったという側面は無視できませんが、これもイデオロギーを中心として拡大主義があったからこそ、共産主義を拡大しなければという変な義務感を持たずに、自国だけに収めていればまた違った展開もあり得たかもしれませんが・・・イデオロギーによる対立は不可避ではあったんでしょうね。

ロシアの歴史ではありますが、当然日本との関係、日露戦争、第二次大戦で火事場泥棒的参戦からのシベリア抑留、北方領土問題など基本的に良好な関係はできないままとなっている歴史的経緯、また北方領土を4島一括返還にこだわる理想主義がかえって足を引っ張る結果に繋がっている経緯(2島返還で仮に締結をしたとしても、素直に返還という流れになるかというと、平気でちゃぶ台返ししそうな国ではありますが)いろいろと興味深いですね。

ソ連時代から引き続きロシアという国は、常に世界情勢では緊張と緩和を繰り返し、安全という概念が育たない状況だよなぁとなっていますが、良くも悪くもロシアっていうのは強者であるという立場を失う事だけは出来ない国と理解すると、普通ならば妥協するだろという時に妥協しないでむしろ全力で喧嘩を売ってくるという流れになるもの分かる気になったりします。

問題は、そんなのが隣国にあって領土問題で揉めているということで、他人事として楽しめるというわけでは無いと言う事ですかね・・・


第Ⅰ部 ルーシからロシアへ

1 キエフ・ルーシの時代――国家の建設と諸公の分立
2 タタールのくびき――異民族支配のもとで
3 モスコーヴィア(モスクワ大公国)の台頭――第三のローマの誕生
4 大荒廃と動乱(スムータ)の時代――リューリク朝からロマノフ朝へ
5 ニーコンと古儀式派――17世紀の教会分裂
6 ウクライナ問題――もうひとつのルーシ

第Ⅱ部 ロシア帝国の時代

7 ツァーリと女帝――ピョートル改革に起因する女帝の誕生
8 ロシア帝国の領土拡張――多面的帝国の実相
9 コサック――ロシア帝国の尖兵
10 「大改革」の時代――西欧化と帝国の拡張
11 自由主義の時代――10月17日詔書への道
12 ユダヤ人問題――ロシアとユダヤの複雑な関係
13 19世紀の日露関係――通商関係樹立交渉から国境画定交渉へ
14 日露戦争と日露関係――敵国から同盟国へ
15 20世紀のロシア――帝国崩壊からソヴィエト体制へ
16 ベルジャーエフの時代――精神的転換と新たな世界観の探求

第Ⅲ部 ソ連邦の時代――「ユートピアの逆説」

17 レーニン――後進ロシアを社会主義の道へ
[コラム1]ロシア革命と古儀式派
18 戦時共産主義とユートピア――新しい人間の創造
19 共産党の支配――「党=国家体制」の成立と党内政治
20 ネップの農村――農民との「結合」の試みとその破綻
21 笑顔のプロパガンダ――1930年代の政治・文化
[コラム2]ハリウッドとコルホーズ――「楽しい生活」の映画プロパガンダ
22 飢饉とテロル――1930年代の悲劇
23 スターリン――20世紀が生んだ独裁者
24 大祖国戦争――偉大なる戦勝体験
25 米ソ冷戦と抑留問題――ソ連による捕虜の「ソヴィエト化」と米占領軍の「防衛網」
26 冷戦とソ連の核開発――米国製原爆のコピーから独自体制の構築へ
27 ソヴィエト農業の悲劇と勝利――最後の緊張の年1945~1970年

第Ⅳ部 変容するソ連――「危機の30年」

28 フルシチョフ改革――非スターリン化から共産主義建設へ
29 冷戦と米ソ関係――対立と協調の二重螺旋
30 日ソ交渉と日ソ関係――北方領土交渉の原点・共同宣言
31 ソ連と中国――同盟、対抗、そして戦略的パートナーシップへ
32 待ちの政治家ブレジネフ――「停滞の時代」と米ソデタントが象徴
33 デタントとエネルギー――エネルギー大国への道
[コラム3]デタント時代における日ソエネルギー協力について
34 ブレジネフ時代の社会――安定と停滞
35 ゴルバチョフ――冷戦を終わらせた男
36 世界を変えた「新思考外交」――冷戦の終結をもたらすが、残された課題も多く
[コラム4]「新思考」と北方領土――逃した接近の機会
37 ペレストロイカと民族問題――立て直し/改革/崩壊
38 国民の総意に基づかないソ連解体――主因はペレストロイカとレーガンの対ソ戦略

第Ⅴ部 よみがえるロシア

39 エリツィンとその時代――苦難に満ちた体制転換
40 ウクライナとロシア――ウクライナの対ロ姿勢と内政
41 ロシア連邦の民族問題――進行する二つのナショナリズム
42 よみがえる宗教――民族的伝統としての正教と正教民族としての記憶
43 経済体制の転換――石油・ガスに依存する粗野な資本主義の実現
44 農業・農村問題――生産の集中化と農村の過疎化の進行
45 プーチン――無名の治安幹部から世界レベルの大統領へ
46 オリガルヒ――国有エネルギー資産の民営化で生まれた寡占資本家
47 プーチン外交――欧米との「協調」から「対立」へ
48 ロシア独自の安全保障観――影響圏的発想と過剰な国防意識
49 ロシアと未承認国家問題――ロシアの近い外国に対する重要な外交カード
50 日ロ関係――ペレストロイカから21世紀へ

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今日の読書 ユーロから始まる世界経済の大崩壊/ジョセフ・E・スティグリッツ

非対称性の研究でノーベル経済学賞を受賞しているスティグリッツによる、ユーロ体制そのものが経済崩壊を内包しているものであり、格差拡大や混乱が不可避となっているよというのを解説したものですね。

そもそも、『副題が格差と混乱を生み出す通貨システムの破綻とその衝撃』ですから。

スティグリッツはいわゆるグローバル経済というものが格差拡大を進めるためのシステムであるとして、グローバル経済の論理的なバックボーンがいわゆる市場原理主義であることから、批判しまくりで十数年という感じですが、市場原理主義がグローバルという表看板は美名のものをむしばみ、本来の目的である連帯感を強め、安定を図るというものをむしろ逆に転換していると言うことを事細かに分析しています。

ヨーロッパはヨーロッパとしてまとまろうとする動きがあり、理由としては互いに反目して戦争を起こしたりなんだりという反省から、協力関係になる事こそが重要であるとなった事があるわけですが、行きすぎた反目が悪い結果を及ぼす事は分かりやすいのですが、逆に協力関係になる事の手段と目的と入れ替わったりすると、それはそれで大問題になる、表看板が素晴らしくても中身が伴わないとむしろ大失敗に陥ると言う事になり、現在のヨーロッパの混乱は表看板にこだわったせいで、その不満が噴出している状況、イギリスのEU離脱なんていうのも、EUの表看板に則ってボロカスに叩かれたりもしましたが、EUのシステム事態無理矢理感が強いので、結果論としてはイギリス離脱が大成功になる可能性もある。

逆にイギリスが離脱したことを受けてEUが問題点と真摯に向き合い大改革に成功する可能性はそれはそれであるでしょうが、課題は山積み状態であり、イギリスをボロカスに叩いているだけではむしろ悪い方に進むでしょうね。

EUの問題点としては経済の結びつきを強め、移民の促進を強めた事が格差拡大、労働者の低賃金化の促進に貢献しているという事。

労働者が自由に移動すると言うことは、低賃金労働者の獲得が容易になった大企業が労働者に対して賃金を抑える効果を強め、文句があるなら換えはいくらでもいるよという体制を強固にした事。

貿易に関しては税金によて輸入過多の状況を防ぐことが出来ず、弱小国家の産業は育たず、弱小国家は弱小国家のまま、労働者を雇うことが出来ずに移民していって、そういった人材がまた戻ってくればいいけれども、戻ってこないなど。

そして統一通貨であるユーロがさらに状況悪化を促進し、基本為替レートによる景気変化への対応策を奪っているにもかかわらず、なおかつ金融政策に自由度を持たないから政府による景気刺激策に制限がある状況で、なおかつ、財政赤字削減こそ正義という市場原理主義な自由主義経済思想者達の論理により、財政政策という将来への投資が封じられていて、長期的に景気が良くなるわけが無い状況。

基本的に新古典派な自由主義経済では政府は財政赤字の削減とインフレ率の抑制だけしていればよく、それこそが正義となった結果、硬直的になっていて、今財政赤字の削減をするタイミングじゃ無い、今インフレの心配をする時じゃ無いというのにも関わらず、そこだえにこだわるという、日本でも似たような悪夢がありましたが、緊縮財政こそ正義となった場合、格差は拡大して不況は脱せず阿鼻叫喚というのをいろいろな角度から検証。

そして、統一通貨ユーロや経済圏のEUの失敗とアメリカ経済との比較として、なんでアメリカで出来ることがヨーロッパでは出来ないのかという解説で、EUはそれぞれの国としてやっている部分とEUとしてやっている部分が中途半端な状況であり、黒字国が赤字国を救うために分配するというようなことをしているわけでもなく、それによって国によっての格差が固定されるという問題と、基本的に別の国だから別の文化があり混ざりきらないと言うことと、国を離れて経済移民すると出て行かれた国は国として廃れてしまうという問題があると。

これがアメリカならばどこかの州で仕事が無くなって別の州に多くの住民が移動する事になっても同じアメリカだから、どこかの州がすたれて無くなるわけでは無いから、それほど問題にはならないという比較。

ただ、この比較を持ち出した時に思ったのは、いかにもアメリカだよなと思い、アメリカって地方の土着文化というものが根付いていない所詮は人口国家でしかないというのを、無自覚のうちに認めていると言う事と、日本国内でもこれは参考にならない、日本国内の過疎と過密という状況を分析させようとしても無理かもしれないなと思わずにはいられなく、土着的な国家では無い人口国家であるアメリカのある種の強さというものも逆に感じたりもしましたね。

基本的には、移民推奨、自由貿易最高というような自由主義経済、財政赤字削減こそ正義、インフレ抑制こそ正義(デフレは素晴らしい)なんていうようなものは格差拡大になるよというのが分かれば良いのかなと。

自由主義経済に毒された、中道左派が増えたせいで世の中極右と極左が目立つようになっているという分析、自称中道系の政治家達はよく肝に銘じた方が良さそうですね、日本に真っ当な中道がもともといたのかどうかは知りませんが。


日本版への特別寄稿 イギリスのEU離脱とヨーロッパの苦難

はじめに ユーロという十字架に磔にされるヨーロッパ

第1部 危ういヨーロッパ
 第1章 危ういユーロ
 第2章 ユーロを構築した経済学の誤り
 第3章 ヨーロッパのお粗末な成果

第2部 誕生時からの欠陥品
 第4章 単一通貨が機能する条件とは?
 第5章 不況を生み出す拡散型システム
 第6章 不平等を拡大した欧州中央銀行

第3部 破滅を呼ぶ見当違いの政策
 第7章 いかにしてトロイカ政策は、危機当事国を締め上げて、不況へ落とし込んだか
 第8章 失敗の上塗りをする構造改革

第4部 世界経済が前へ進む道
 第9章 機能するユーロ圏の創設
 第10章 円満な離婚は可能なのか?
 第11章 "柔軟なユーロ"をつくる
 第12章 未来へ向けて

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今日の読書 偽りの帝国/熊谷徹

副題が、『緊急報告・フォルクスワーゲン排ガス不正の闇』という、昨年発覚したフォルクスワーゲン社がアメリカでディーゼルエンジンのNOx排出量を違法ソフトウェアによって不正な数値を記録させていたという、巨大な詐欺事件および発覚後の対応のまずさで莫大な訴訟騒ぎに発展してしまったという、なかなかインパクトのあった事件を検証したものになります。

この事件に関しては、前に『VW不正と中国・ドイツ経済同盟』というものを読んでいたりするのですが、そっちではドイツという国の問題点として大きくとらえて、フォルクスワーゲン社そのものの問題点は切り口の1つという扱いになっているのに対し、こっちはドイツという国の問題ではなく、あくまでも企業としての問題について、会社の成り立ちから、人事面の特徴と企業風土に力点を置いて、グローバルな大企業としての問題だけを扱っています。

フォルクスワーゲン社の特徴として大きく扱われているのは、ポルシェ・ピエヒ家の絶対的な権力体制であり、上意下達と合理化が染みついていて、無茶筋な条件、例えば今回の事件であれば、NOx排出量をディーゼルエンジンで基準値以下にしながら、なおかつCO2も削減し燃費も向上させる。

アメリカ基準では規制が厳しいのはNOx、ヨーロッパで規制が厳しいのはCO2、それぞれ条件が違いながら、両方共に水準を高めるのは相反する部分が多く共存し得ないものであり、開発するとなると手間暇金とかけないといけないのに、合理化もしないといけないのでそれも出来ない。

技術革新のようなものの場合、失敗は単独では失敗ですが、失敗という実験結果から得る物というのは大きく、何が可能で何が不可能なのかを知ることそのものに失敗というのはありえないものですが、これに金銭や時間の制限が加わると失敗そのものが許されなくなり、大きな意味での成功というのは掴めなくなるものですが、目先の目標のために失敗した事であるとか、その条件では不可能であると進言する事そのものが出来ない、それをすると左遷させられたり首が飛んだりするような社風が出来上がってしまっていた。

それもあり、技術も伸びずに不正をしなくては行けないところまで追い詰められていた。

これが、大きな軸として不正をせざるを得なくなった後、不正がばれてからの対応のまずさということでは、グローバル企業でありながら、ドイツの常識で物事を考えすぎていた、訴訟大国のアメリカというものを分かっていなさすぎて、誤魔化そうと時間稼ぎをしていたらば、その姑息な手段そのものが泥沼に引きずり込まれる結果を招いたと言う事ですね。

どことなく、ドイツ企業というのは一般的に真面目なイメージ作りがあり、不正を行っていたというと驚いてしまう風潮はありますが、対岸の火事扱いにするには、日本の企業のダメなところと被っているなぁと思えて仕方が無く、中でも触れられていますが、実際問題直後に三菱自動車が不正がばれて日産自動車傘下に入ったあたり、ドイツと日本と失敗する時の失敗の仕方は類似性があると思わずにはいられなかったですね。

不正をしていたというだけではなく、労働環境がブラック企業じゃないかと、上司の命令が絶対であるという会社が全てブラック企業扱いするのは考え方が甘いと言われるかもしれないですが、不正せざるを得ない環境、法に触れることをしないといけない環境はやっぱりブラック企業ですね。

ヨーロッパと日本と違いはあるものの、ある程度伝統国家的な保守性が根っこにあって、外側の危機管理が甘くなる傾向があるのかなぁというのと、先進国での失敗例ではアメリカが独自性が強いだけと思えたりもしますが、それはそれで別の話ですね。

本編とはあまり関係ないといえば関係ないですが、一応中でも触れられているように、フォルクスワーゲンはアドルフ・ヒトラーが国民みんなに自家用車が普及するようにという狙いで振興されたものであることは有名ですね。

ヨーロッパではヒトラーは全否定しなければいけないものという強迫観念があるように思える節だらけですが、そのわりにフォルクスワーゲンって普通に残っているよなぁって、一応ヒトラーの功績扱いにして問題ないもののはずなのに、だからぶっ潰せ!にはなっていなんですよね。

まえがき 地下室の死体
第1章  VW排ガス不正の衝撃
第2章  帝国の内なる不安
第3章  不正はいかにして行われたか
第4章  襲いかかる巨額の経済負担
第5章  不正は氷山の一角

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今日の読書 敗者烈伝/伊東潤

歴史上敗者と呼ばれる人物を主人公に据えた歴史小説を書く傾向の高い伊東潤による、敗者の要因について扱ったエッセイになります。

歴史の教訓から学ぶ事の重要性は大きいと思いますが、勝者よりも敗者から学ぶ事の方が得る物がある。

勝者を分析してまねる事というのは、条件次第で真似しようがない部分があるのに対して、敗者から学ぶ、失敗から学ぶ方は普遍性が高いというのはあると思います。

歴史上栄華を極めた存在が敗者として転がり落ちる要因というのは、油断という身も蓋もないものが多く、その油断の仕方も自信過剰、成功体験への囚われ、他人に対して興味が薄く空気が読めなかったり、増長し過ぎて必要以上に敵を作る、自分の行動は絶対正義としすぎて柔軟性に欠く、などなど枚挙にいとまが無いわりに、そのまま現代社会でいくらでも置き換え可能なものがありますね。

成功体験への囚われとか、大企業病や組織の官僚化といったものにそのまま当てはまりますし。

そういった敗者の失敗はどのようにして起きたのか、分岐点となる分かりやすいものはあったのか、そもそも敗者になりやすい立場にいたのか、敗者になったが故に必要以上に無能扱いされてしまっているのではないか、などなど興味深く読む事ができますね。

そして、扱っている人物を主人公とした小説がかなり被っていたりもしますので、もっと詳しく知りたい人向けに自著も宣伝していたりするのは、元々新聞連載だったからこそですかね、告知込みの仕事だったと(笑)

逆に今後本著で扱いながら、小説で書いていない人物を主人公にする作品が出るのかどうかというのも興味のあるところですね、古代とか難しそうですけれども、古代で扱っている人物は蘇我入鹿だけですね。

第1章 古代・平安・源平
  古 代 蘇我入鹿 頂点から一気に没落した国際派
  平 安 平 将門 調子に乗りすぎた野心家
  平 安 藤原頼長 厳格に過ぎた摂関政治への護持者
  源 平 平 清盛 事を急ぎすぎてすべてを失った独裁者
  源 平 源 義経 己の力量を過信した天才武将
  コラム 勝者烈伝 源 頼朝 恐妻家の墓穴

第2章 南北朝・室町
  南北朝 高 師直 建武の新政をぶち壊した婆娑羅者
  南北朝 足利直義 愚兄への甘えから墓穴を掘った賢弟
  室 町 太田道灌 己の手腕を恃みすぎた大軍略家
  室 町 足利義政 戦国時代を招いた無気力将軍
  コラム 勝者烈伝 足利尊氏 気分屋、天下を取る

第3章 戦国・江戸
  戦 国 今川義元 一瞬油断が命取りになった海道一の弓取り
  戦 国 武田勝頼 人間洞察力に欠けた最強の侍大将
  戦 国 織田信長 己を克服できなかった史上最強の英傑
  戦 国 明智光秀 白と黒の二面性を併せ持った謀反人
  戦 国 北条氏政 慎重さが足枷となった名家の四代目
  戦 国 豊臣秀次 独裁者に操られた悲劇の後継者
  戦 国 石田三成 有能でありながらも狭量の困った人
  江 戸 豊臣秀頼 時代の波に押し流された賢き人
  江 戸 天草四郎 勝算なき戦いに駆り出された美少年
  コラム 勝者烈伝 徳川家康 敵を知り、己を知れば

第4章 幕末・明治
  幕 末 松平容保 援軍に利用されて捨てられたお殿様
  幕 末 徳川慶喜 思いつきで動き回って自滅した小才子
  幕 末 大鳥圭介 最後まであきらめない理系指揮官
  幕 末 榎本武揚 薩長政府に徹底抗戦した気骨の人
  明 治 江藤新平 正義を貫きすぎた硬骨漢
  明 治 西郷隆盛 肥大化した人望にのみ込まれた人格者
  明 治 桐野利明 西郷への敬愛に準じた最後の志士
  コラム 勝者烈伝 大久保利通 そして誰もいなくなった

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今日の読書 ラトヴィアを知るための47章/志摩園子・編著

一般的にはラトビアと表記されるものの、編者のこだわりでラトヴィアと統一表記するというこだわりも込めた、ラトヴィア全般の知識をコンパクトにまとめた1冊。

リトアニア、ラトヴィア、エストニアのバルト三国というのは、かつてソ連邦崩壊で真っ先に飛び出た地域と言う事で、非常に存在感を示したわけですが、正直私の知識は偏っているので、ひとまとめとしてのバルト三国という以外の知識はバスケットボール選手から。

リトアニアは早い段階からNBA選手として活躍するだけではなくオリンピック代表でメダルを捕ったり、アメリカのバスケットボールとは全く違うタイプの戦い方をしたり、また名前がサボニスやイルガウスカス、ストンベルガス、ヤシケビシャスと最後がスとつくだけではなく、何となくリトアニアっぽいよねと感覚的に分かる存在感を持っていたのですが、お隣のラトビアも昨シーズンのルーキーであるクリスタプス・ポルジンギスという規格外の選手が出てきて、バルト三国という括りでバスケも凄いんだねと意識するようになりました。

まぁアンドリス・ビエドリンシュという選手もNBAでは短期間だけ活躍していましたけれどもね。

偏った知識を持っているだけでは面白くないですし、バルト三国という存在はソ連という壮大な社会実験に関わった国。

共産主義という経済的実験なだけではなく、ヨーロッパにおける近代民族国家が成立してまだ間もないところから、一気に民族的独自性や土着文化をないがしろにする全体主義という2つを柱とした社会制度の実験につきあわされた被害者という意味でも、やはり歴史的教訓としてしっかりと意識しないといけないですね。

私は、ソ連にしろ旧ユーゴスラビアにしろ、異民族国家を無理矢理一つにまとめる事の無謀さという所に力点を置いて、混ぜるな危険という事にして、行きすぎたグローバリゼーションは土着性破壊の全体主義であり、かつての共産主義国家の過ちを繰り返す可能性が高いという考え方に固まっているので、混ぜすぎる事の悲劇は必要上に喧伝する立場だったりします。

ラトヴィアについて歴史的な背景も少し振れますが、基本は現在についてなので、ソ連から独立した後のことを中心として扱われていますが、やはりソ連に組み込まれていた反動というのは1つのカギになっています。

国家として独立して基本ラトヴィア人のための民族国家となるのを理想としてはいるものの、ソ連時代に移住してきたロシア人の割合が一定数いて、それまではラトヴィア人のアイデンティティとしてラトビア語を話せるようにしている一方、共通語としてのロシア語は必須。

ロシア人は共通語としてのロシア語しか知る必要はなく生活してきたのが、今度はラトヴィア回帰路線に巻き込まれて、それまでのソ連では多数派のロシア人という立場から少数派の立場に入れ替わるという状況。

そしてロシア系ラトヴィア人として生きていくという選択をし、完全ラトヴィア回帰をしたいという、ラトヴィア系ラトヴィア人に対してロシア語も使えるような社会に残して行き、これが逆に完全ラトヴィア化したいけれども、ラトヴィア語しか話せないラトヴィア人は就職で不利になるという、いろいろな捻れというか、独立国家として振り切りたいし、全体的に民族国家回帰しきりたいのに、振り切れないジレンマを抱えている社会というのが何とも皮肉というか何というか。

そういうった社会背景、強烈なアイデンティティ回帰というのを軸に、伝統的なラトヴィアの文化、特に歌の祭典が好きであるとか知らない事ばかりで読んでいて楽しめました。

個人的に興味を惹いたのは、リーマンショックを発端とする世界不況期に、不況期の緊縮財政という普通とは逆、欲しがりません勝つまでは精神で乗り越えたという事ですかね。

日本でも参考にしてみればという扱いではありますが、人口198万人という名古屋と札幌の間くらいの国民の数ということと、国のトップが先頭きって給料減らしたり、共産主義時代の多くの省けるだけの無駄が残っていたという事と、まだ独立国家に戻って間もないと言う事で、国家総動員してナショナリズムを良い方向に使えたし、金持ちがちょろまかそうにも誤魔化すには国家として監視するにはちょうど良い規模、それこそ日本でも国全体では機能しきらない部分が、地方自治体だと何とか経費削減を本当の意味で削減もでき、失業の嵐になってもそれはそれで国民一体で乗り切ろうとする下地があったからこそというのも感じたり。

単純に本気で食えなければ、EUの他の地域に出稼ぎに行っていたというのもあるんですけれどもね、実際に日本国内の地方では食えない人が都市部に流入するのと同じ構図で。

ただまぁ、現段階では国民国家として復活したからこその勢いみたいなのはあるのかもしれないなぁと思ったり、また日本と比較するならば、それこそ戦後復興期かもしれないと思ったり。

あと、ラトヴィアだけのことだとなかなか親近感がわかないので、日本との関係性について触れられていて、日本人に対しては、ロシアを挟んだ隣の国という見方であるとか、小国なのにロシアに勝った国というインパクトであるとか、翻訳された文学のイメージとか、まだまだ実際の日本人との関係がそれほどないからこその偏見はあるものの、その偏見込みで印象は悪くはないようですね。

そのイメージと違う日本人を目の当たりにしてどう思うのかは知りませんが。

このシリーズはとりあえず全体を網羅しているので楽しめますね。

1 自然と都市
2 歴史
3 言語と生活
4 文化
5 社会
6 政治と経済
7 国際関係

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