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今日の読書 今こそ読みたいケインズ/根井雅弘

資本主義を中心として近代経済学の流れとしてはアダム・スミスを祖とする古典経済と、資本主義の欠点を補完する所に力点をおいたケインズ経済学と2つの流れがありますが(資本主義全否定するためだけに存在するマルクス経済学は完全に別物)、大きく2つに分かれた学派というには新古典総合みたいに互いに取り入れたり、相手の理論を批判するために発展したりと、時々混乱したり記憶が曖昧になってしまって困るのですが、ケインズ=不況下で積極的な財政政策だよねっていうのは、ある程度お決まりとも言えるとは思います。

ケインズのそういったイメージの定着が、実はそうではないんだというところをとっかかりに、ケインズが生きた時代19世紀末から20世紀初頭の状況から生まれた学説を改めて見直して、21世紀現在の視点で改めて見つめ直してみましょうというのが本書です。

今現在の日本においてケインズから一番意識せざるを得ないのは、完全雇用を目指すために国は長期的に国内産業に投資し続けろという事に尽きますかね。

投機ではなく投資、市場にだけ任せたところで完全雇用を達成できるというのは確率的に相当に幸運じゃないとムリだぞという事ですね。

全体として経済学関係の話もあり、色々と記憶の掘り起こしになったりもして面白いのですが、一般向けとしてはこれいつきるかなぁと。

はじめに ~何度も生死を繰り返すケインズ~
第1章 誤解の元になった『自由放任の終焉』
第2章 産業政策はケインズ政策の重要な柱
第3章 『一般理論』をどう読むか
第4章 「ケインズ以後」からみたケインズ
終 章 ケインズから現代へ~一つの読書案内

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ジャンル : 小説・文学

今日の読書 徳川家康という人/本郷和人

東京大学史料編纂所教授という飛び抜けて固そうな肩書きでありながら、一般向けの歴史書を書きまくっている本郷和人による徳川家康評となります。

徳川家康の人となりを残されている結果から考察するという事ですが、織田信長、豊臣秀吉と続いてきた戦国時代の覇者と比べて異質なほど平凡な人間、忍耐と努力が突き抜けていて一般人が目指すことが出来る存在であるという事を分かりやすくまとめるものになっています。

同じ歴史学者という立場の呉座勇一ですと、こういった人物像分析は大衆的歴史観としてバッサリと切って捨てる分野ですが、逆に人物評価についても時代によって変遷があるという事はもちろん触れているとはいえ嬉々として扱う当りにスタンスが違い過ぎると思わずにはいられないですね。

それこそ司馬遼太郎という作家の扱いも、呉座勇一ば人物像のイメージを定着させた功罪の罪の方に力点を置きたがっているのが分かりやすく出ているのに対し、本郷和人だと司馬遼太郎の洞察力すげぇなというような扱いに変わるという。

学者としてどちらが本当の正解なのか歴史学者でもなんでも無いので分からないですが、一般向けに歴史に興味を持たせようという話ならば圧倒的に本郷和人の立場が強いなというのは、著書数でも分かりやすいですかね。

第1章 家康の生きざま よく耐えたよ、家康
第2章 家康の家臣団 盛況にして忠実な三河武士
第3章 家康の軍事 キラリと光るものは、ない
第4章 家康の政治・経済 なぜ江戸?
第5章 家康の外交 秀吉の尻ぬぐい?
第6章 人間・家康

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今日の読書 日本はこうしてつくられた3 徳川家康戦国争乱と王道政治/安部龍太郎

雑誌連載の取材紀行を加筆修正してまとめたものの第3弾、コロナ禍で取材が近場しか出来なくなった時期をきっかけに近場であり、なおかつ筆者が『家康』の取材も兼ねられるという事で、徳川家康を軸に据えて戦国時代関連の所に出かけましょうという事でまとめています。

安部龍太郎は戦国時代はグローバル化の時代に巻き込まれた事をもっと主軸に据えて考察すべしという視点であることを、色々な所で書いていますが、家康という事でまとめずに、キリスト教徒関係にゆかりのある地も出向いて、当時のキリスト教徒が日本に来た狙い、日本でやった事、それによって弾圧対象になったところまで含めて、さらに小説の執筆活動にも繋がるかもというような見方をしています。

歴史書を見るだけでは無く現地で取材をするからこそ見えてくるもの、学者視点では無く学説やら何やら踏まえてどう考えるか等々楽しめるものになっていますね。

歴史小説は史実を一定以上踏まえないことには始まらないわけですが、取材をして小説に生かすだけではなく取材紀行として発表出来る立場にあると一石二鳥感がありますな。

第1章 徳川家康 戦国を終焉させた天下人の仕事編(江戸前島)
第2章 家康が築いた全長5㎞、江戸大運河編(江戸)
第3章 大陸と京都を築いた越前と家康飛躍編(敦賀半島編)
第4章 キリシタン大名誕生と植民地化の危機編(西彼杵半島)
第5章 戦国終焉・島原の乱。家康がもたらした平和(島原半島)

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今日の読書 世界のマネージョーク集/早坂隆

世界のジョーク集のシリーズ、エスニックジョークというそれぞれの国民をある種固定概念でキャラクター化していじるというものからのスピンオフというか、ネタの対象が金絡みのものに特化させたジョークというか小咄を集めたものになります。

基本的に海外で使われているようなものを集めていて、作者が海外に取材で行っている間に起きた金に関するトラブルであるとか、ジョークの元ネタになるような文化的背景とかを挟み込んで、単に寄せ集めたものではありませんよという形になっています。

金絡みですので、世知辛いものであったり、やっかみであったりとなりますが、景気の良い話の方が少ないですね。

個人的に好きなというかエスニックジョークも兼ね備えているものとして

アメリカで教員達によるストライキが起きた。大統領は側近に言った。
「教員たちの給料をあげてやれ」
フランすえ鉄道職員によるストライキが起きた。大統領は側近に言った。
「鉄道職員の給料をあげてやれ」
ロシアで教員や鉄道職員によるストライキが起きた。大統領が側近に言った。
「特殊部隊の給料をあげてやれ」


序 章 お金とは何か?
第1章 「働き方」を笑いとばそう
第2章 経済をユーモアで
第3章 貧しい人も富める人も
第4章 ギャンブルは是か非か
第5章 お金を巡る罪と罰
第6章 お金を巡る人間模様

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今日の読書 家康はなぜ乱世の覇者となれたのか/安部龍太郎

歴史小説作家の安部龍太郎による最新学説を交えて考察する家康像の話になります。

歴史小説は元ネタとなる史料を使って小説という形に落とし込むという、通常の小説を執筆するのとは別物の作業を必要とします。

安部龍太郎という作家はそういった作業を小説の執筆だけではなく、小説家視点の考察をまとめて発表する事が多々あり、家康を主人公とする小説を現在発表中であり、これもその一環という感じですね。

戦国時代はグローバル化の波が押し寄せてきて、その流れを利用して重商主義にしようとしたのが織田信長、豊臣秀吉であり、その反動を受け止めて重農主義に引き戻したのが徳川家康であるという所に力点を置いて説明しようという試み。

日本の歴史は重商主義という改革をしようとするも、改革による弊害が出たら即座に重農主義に反動的に戻るという事を繰り返してきたという観点、重商主義を現代的感覚で言うと市場原理主義による格差社会、重農主義を相互扶助型停滞許容社会と置き換えると分かりやすく、家康は後者を選んだと。

家康は元々信長、秀吉だけではなく武田信玄からの影響も多く受けており、それらを学んでまとめた集大成の存在であるという扱いをされているわけですが、どういう影響を受けてきたかの根拠となる物を考察し、分かりやすく提示しようというのは本書では強く意識されていますね。

家康を扱うというのは、自身が小説を書いているというのもあるのでしょうが、歴史関係のものは大河ドラマの題材に乗っかるというのが定番なので、そっちの意味合いも多く今年は何だかんだと家康関係は山程扱われるのだろうなというのは簡単に予想出来ますね。

第1章 世界史のなかの戦国時代と家康
第2章 大航海時代としての戦国時代
第3章 人質時代の家康
第4章 戦国大名としての自立
第5章 武田信玄との相克
第6章 家康の逆襲
第7章 家康の苦悩と成長
第8章 信長包囲網と秀吉・光秀・家康
第9章 本能寺の変の真相と波紋
第10章 乱世最後の覇者から真の王者へ

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