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今日の読書 ジョーカー・ゲーム/柳広司

戦時中の日本に設立されたスパイ養成学校のD機関、そこで徹底的にスパイとはどうあるべきかを叩き込まれたスパイ達が繰り広げる諜報活動を集めた短編集になります。

諜報活動、正々堂々という真っ正直というか馬鹿正直な概念とは真逆の存在。

特に、戦時中の日本の軍部のように日本古来の文化とは違う、人工的な一神教にガッツリとなってしまった組織の概念からすると卑怯な存在ともいえる存在がスパイであったりします。

しかし、とらわれを持ってしまった論理で動くのではなく感情で動く組織と化してしまい、物事の本質を見抜くという作業をおろそかにし、こうあるべきであるという理想論でしか動けなくなってしまった組織にとって、卑怯であると蔑む存在ではなく、むしろ徹底的な現実路線でしか物事を考えないスパイの存在こそが必要であったんだなと思わずにはいられなくなるのが本著だったりします。

戦争というのは政治の一手段であり、善悪や好き嫌いだけで判断出来るものではありません、時代によって価値観が変わり現代の倫理だけで物事を計った所で何の意味もない事くらい、おそらく誰でも分かっているはずですが、その事を論理で考えられても倫理で受け入れられない人が多いような気がします。

しかし、戦争というのは避けるに越した事はなく、ガッツリとぶつかり合う殺し合いなど失うものが多すぎる事も事実でしょう。

ガッツリとぶつかり合う戦争を喜ぶような人は、軍需産業関係者か人の命をどうとも思わないような人種差別主義者くらいのものだと思いたいものです。

スパイによる諜報活動は基本的には自国の安全のために行われ、戦争回避や外交上自国に不利になる要素を徹底的に潰す事を目的とするものだと思います。

残念ながら日本は諜報活動という意味では先の大戦で敗戦国となってしまった事から考えて、失敗してしまったと言わざるを得ません。

諜報活動を行ったとして、それを生かせないのであれば意味がないわけですからね。

この短編で扱われているスパイ達は、常人離れをした存在として描かれ、自らの自負心のみで行動できる事まで含め現実に必要な存在であると思わざるを得ない、ある種の魅力があります。

自分でなりたいとかは思わないですけどもね(それ以前に完全に無理ですが)

私はスパイ小説というものはあまり読んでいませんが、舞台や道具立てが特殊なだけであり、事件の収束具合は、切れ味のいい本格推理小説で探偵が真相を明かすのと同じ感覚を感じ、楽しんで読む事ができました。

きな臭い話なので、爽快感は感じませんけどもね(苦笑)

しかし、同時に今の日本の現状を見ると、情報戦という意味であまりにも失敗しているなぁと感じざるを得ないですね。

ひょっとしたら、現代の日本にも日本の利益になるように情報戦を戦っている優秀な人材がいるのかもしれないですが、どうにも今の日本人の目に触れるものは、どこの国の政府かわからないような利益誘導ですとか、どこの国のマスメディアなのか分からないような報道の在り方とか・・・

いい加減、日本が仕掛けなければそれだけで戦争は起きないという、バカなとらわれから解放された人材だけで世の中を回してくれないかなぁって思わずには入れれないですね。

何となく、読んでただ楽しむだけではなく、そういう所まで考えたくもなる1冊ですね。
ジョーカー・ゲームジョーカー・ゲーム
(2008/08/29)
柳 広司

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テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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