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今日の読書 図書館内乱/有川浩

図書館戦争シリーズ第2弾、文庫化したので再読しました。

検閲制度が出来上がり、表現の自由が図書館にしか保証されないという荒唐無稽に思える世界設定でありながら、現代の日本はそれを荒唐無稽だと笑い飛ばせない現状になってしまって、洒落にならないという困った状況なんですが、それはとりあえずおいておいて。

内乱からテレビアニメ化した時に無かった事にされている(セル版のDVDには入っていたそうですが)、突発性難聴にかかって右耳は完全に左耳は補聴器を使ってもかなり微妙にしか聞き取れないという中途聴覚障害になってしまった少女が登場し、重要な役回りをする話が入っているんでしたな。

テレビアニメ化の際、聴覚障害について真正面から扱っているという事がネックになって削られたというような話は目にしますが、障害を真正面から扱い、障害者差別という問題について、一石を投じるという意味で障害と差別と正義感というなかなか難しい所に切り込んだなと前に読んだ時も思いましたが、改めて思いましたね。

聴覚障害は障害の中でも地味(見た目で分かりにくい部分がありますし、気付かない人には気付かないものですし)ですし、障害者としての声も大きくなかったりしますからね(会話がしにくいからという要素も多分にありますし、全聾ならともかく、中途半端に聞こえ方が悪い人は、それ故に回りを気にしてというか、聞き取れなかった事を繰り返させる事に大いに引け目を感じてしまう部分があるので、知らない人との会話そのものを回避したがる部分もあるわけだったりしますし。

聴覚障害者そのものが、あまり取りあげられる事はありませんが、それに対する正義感から出発した差別という問題がキーになっていたりします。

同情心や正義感が本人の意思を飛び越えて、その行動は差別だ!と叫ぶ事で、差別をしたわけでもないものを糾弾する危険性にをここまで的確に表すというのに感心してしまいますね。

同情や正義感から出発したものというのは、本人達に悪意が無い分やっかいであるという事は、論理で抗議しても分かってもらえず暴走するというのは、昨今よく目にし過ぎますね。

また、それを利用して差別と言えば何でも事がすんでしまうという構造を悪用する輩というのもいるから、余計に話を厄介にしているというか。

お話の中では本人が差別だと微塵も感じていない所に、勝手に回りが差別じゃん!と騒ぎたて、それを政治利用されてしまうという流れですので、差別を悪用という所まではいかないのですが、差別を受けた当事者はその差別という騒動で困ってしまう誰も得をしない状況になり得る事があるという事は我々は自覚する必要があるなと改めて思いますね。

文庫版には本編の他にショートストーリーと対談が載っているのですが、今回はアニメのDVD特典ではなく書き下ろし作品。

そして、図書館戦争に引き続き先日お亡くなりになってしまった俳優で読書好きでしられる児玉清さんと作者の有川浩さんの対談。

児玉さんのエンターテインメントとして抜群に面白いという前提を何度も強調しながら、今回は主人公のキャラのよさと同時に作品全体にあるキャラクターの男らしさ女らしさというものに対する扱いと、社会の寛容性という所に持っていく流れは興味深いですね。

今の日本はらしさを強要する事が悪という風潮を強くし過ぎて、本来当たり前に持っているはずのものを歪ませているのではないかというのを、男女両方から当たり前のように意見として出てくる所に意味があるなぁと思ったり。

本当にこのシリーズは、根っこに考えさせられるものが沢山あるんですよね。

普通にバカキャラをエンターテインメントとして読む事も出来るというか、ふき出すような話が多々あるんですけど(笑)
図書館内乱  図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)
(2011/04/23)
有川 浩

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