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今日の読書 リトアニア民族の苦悩と栄光/畑中幸子、ヴィルギリウス・チュパイティス

日本でリトアニアに興味を持っている人がどれくらいいるのかはわかりませんが、興味を持つきっかけは、ソ連崩壊によるまっさきに独立したバルト三国だからというものと、人口325万人という多摩地区以下の人口の小国なのに、バスケットボールでは大国というか、国は小さいけれども選手の大きく、それでいて上手い選手が異様にいる国のどちらか以外にあったらばかなり珍しいのではないかと。

私もリトアニアに対する興味は明らかにバスケットボール強国であるという事と、名前が特徴的という事がなければ、気になる国では無かったでしょう。

少なくとも、バルト三国の他の2国エストニアとラトビアは国の名前を知っているというレベル、ラトビアはアンドリス・ビエドリンシュの名前がでてくるくらいですかね、またバスケ関係ですが。

ソ連時代のバスケットボールの英雄アルビダス・サボニスを筆頭に、ジドルナス・イルガウスカスと高さと上手さを併せ持つセンターを筆頭に、サルナス・ヤシケビシェス、サルナス・ストンベルガス、現役NBAプレイヤーではリーナス・クレイザ、ヨナス・ヴァランチュナスなどリトアニア人以外ではあまり聞き慣れない名前が並んでいて、一度知ってしまうと気になってしまう存在感というものがリトアニアにはあると勝手に思っています。

単純に変わった響きで、かつ、伝統的な民族性が感じられるの名前が好きという私の好みの問題でもあるんでしょうが。

しかし、リトアニアについてバスケットボールのスタイルは知っている物の、どういう国かというと、本当にバルト三国の1つという以上の知識は持ち合わせていません。

旧ソ連という暴力的左翼の共産主義独裁国家の断末魔のような末期から、ソ連崩壊あたりは、一応、全く興味が無い人よりは知ってはいますが、ほとんどはロシアにかんするものであり、ソ連に強引にまとめられた本来民族国家であった国家については、個々に知っているというほどの物ではありません。

という事で、せっかく気になる国の1つではあるしと本書を手に取りました。

リトアニアはヨーロッパでもキリスト教が導入されるのが遅かったという、特異な文化もあり、民族独自の文化が色濃く残っていた国ではある物の、小国の悲しさ、常に周囲の脅威に脅かされてきた国であったと。

19世紀から国家の危機が何度もあり、そのたびに難民として他国に流れていくものの、難民として他国で稼ぎを得たらば、故郷に戻ってなんとかしようという、涙ぐましい民族の絆があり、それゆえに小国として絶滅させられなかったと。

しかし、その後のソ連に組み込まれてからの困難は、左翼による民族独自文化、独自宗教観、独自言語などなど全否定され、ひたすら暴力的な左翼による監視に耐えしのばざるを得なかったと。

その後、ソ連崩壊から、民族国家として復活はするものの困難な道を進んでいるという事になるのは、リトアニアに限った話ではなくなるのですが、リトアニアはこういう形で、何とかしようとしているという形でまとめられています。

日本に住んでいますと、海に囲まれた島国という恵まれた条件のおかげで異民族による暴力的支配というものを、なかなか自覚できません。

それは、本当に素晴らしくありがたい事なのですが、だからこそ民族、郷土、国家の独自性を守る事の重要性というのは、小国から学ぶべき所はあるなと思わざるを得ないですね。

世界のグローバル化というものが喧伝される昨今ですが、グローバルというものは、文化や価値観の一元化を現すのではなく、それぞれの独自性をしっかりと尊重し、その差異から生まれる交流を大事にするという事、決して優劣で語る物ではないんですね。

そして、そういった独自性を守るためにも、暴力的に国という単位をまとめるのではなく、伝統国家は基本的に民族国家に立ち戻り、一国では成しえない事を他国と連携するという形にするのが正しいのだろうと改めて思いますね。

リトアニア人の、祖国を蹂躙され難民になっても、しっかりと祖国のために戻っていこうとする姿は感銘するものですし、現在世界的に移民によるいざこざの解消のためにも、リトアニアに見習って、移民として短期間他国で学んだり稼いだりした人々は、それを祖国や郷土のために持ち帰り、祖国の発展のために力を尽くすというのを奨励する事が、一番平和的な解決なのではないかと思わずにはいられないですね。

本書ではリトアニアのバスケットボールについて本文では触れられていないのですが、関連年表にオリンピックのバスケットボールの銅メダルは書かれていたりします。

バスケの強さは立派にリトアニアという民族国家にとって、重要な独自性となっている証拠ですかね。

プロローグ

1 歴史の流れ
   リトアニアの夜明け
   リトアニア大公国の発展
   ヨーロッパ列強のはざまで
   国なきリトアニア人

2 リトアニア人の離散
   十九世紀の八〇年代
   新大陸への道
   リトアニア移民社会
   民族の覚醒
   共和国の誕生とリトアニア系アメリカ人
   リトアニアの戦争難民

3 共和国の誕生と崩壊
   独立の前夜
   共和国の誕生
   二十年間の葛藤
   運命の日

4 リトヴァック
   リトアニアのユダヤ人
   戦間期のユダヤ人
   リトヴァックが姿を消すまで

5 世紀の悲劇
   国家のパニック
   ソビエト政府の形成
   人民議会
   ソ連邦の併合とソビエト化
   世紀の悲劇 ジェノサイド

6 レジスタンス
   ソビエトによる第一次占領
   ドイツによるリトアニア占領
   リトアニア人の反ナチス・レジスタンス
   ソビエトによる第二次占領とジェノサイド
   反ソビエト・レジスタンス

7 ソ連邦時代
   ソビエト化
   スターリンの死と“雪解け”
   ソビエト人の養成
   さまざまな抵抗
   リトアニア共産党
   損なわれた国家

8 チャンスをえたリトアニア人
   人民戦線サユディスの登場
   国民の支持
   法は無法の上に作られない
   社会の民主化
   権力をえて
   三月十一日

9 国家の復活
   権力に対する法律
   封鎖
   国家建設
   軍事的手段
   ソ連邦およびロシア共和国との交渉
   国際的アジェンダに関して

10新たなる葛藤
   パワーバランスの変化 
   リトアニア共産党の残存
   政治的行き詰まり
   経済的危機
   選挙のタイミング
   リトアニア民主労働党の政治

11私有化
   サユディストと私有権
   私有化への手がかり
   農業部門における変化
   国有企業の私有化
   特権官僚たちによる私有化
   個人所有の返還

12世界に向かって
   民主主義の作り顔と規則
   EUへの道
   NATOの傘下に

エピローグ
リトアニア―民族の苦悩と栄光リトアニア―民族の苦悩と栄光
(2006/07)
畑中 幸子、ヴィルギリウス・ユオザス チェパイティス 他

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ジャンル : 小説・文学

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