今日の読書 世界史(下) ウィリアム・H・マクニール
帯の煽り文句に釣られて手にとった本著、下巻の方も読み終わりました。
下巻は、近代という事で、なぜ近代では西洋世界が完全に世界の主導権を握り、圧倒的な優位を持ち得たのかという所に力点を置いていますね。
基本的に、世界史をザックリとコンパクトにまとめるのがコンセプトの1冊なので、細かい事よりも、大きな流れそのものを追っているのですが、一貫しているのは文明と宗教の関わりで歴史をとらえているという所ですね。
宗教を中心に西洋世界が近代に力を得たという見方をすると、下手をするとキリスト教こそ最高であり他の宗教はダメという、傲慢な偏見でまとめ上げる事もできそうですが、そうではなく、むしろ西洋世界がここまで力を得たのは所詮近代からであるという事を前提にし、成功の裏側には宗教的な囚われから上手く離脱する事が出来た事、そこから自然科学分野の発展が後押しをした事を軸にしています。
逆に、他の文明圏、イスラム圏やヒンズー、儒教といったアジア一帯が何故西洋から遅れる事になったのかは、、宗教的な教えにこだわり、技術進歩への道そのものを否定したこと、また西洋諸国と比べて近代以前の成功体験が強いために、変貌への後押しがなくなっていて、変化の必要性を感じるようになるのは、西洋に蹂躙された後になってしまって、出遅れもいい所だったと。
また西洋社会で宗教に変わる新たな中心軸として現れたのが、民族主義という事で、それぞれの国々で外側へと向かう勢いは民族や国家の集権的な力であり、それを上手く使えるか否かは大きかったと。
そういうった中央集権的な変化に対応できるかどうかという所でも、日本は特異なポジションとして、民族的に簡単に集権国家となりえる下地があったこと、宗教的な囚われで海外の技術を軽視しなかった事、むしろ他のアジア、特に清がボコボコにされるという反面教師がいた事も幸いして、技術革新に取り掛かり、他に例を見ない速さで近代化に成功した唯一の非キリスト教圏の国として扱われていますね。
ところどころ、近代史としては日本の扱いは、アメリカ視点というものを感じる部分はあり粗もあるなぁとは思いますが、そこら辺まで含めて、世界史というもので日本はどう扱われているかというのを知る事は、大事だと思えるものですね。
冷戦構造や冷戦構造崩壊後までと二次大戦以降の世界史としての近代の西洋社会の成功から踏み出した新しい傾向も扱っています。
人口増大や、地球規模に大規模に影響を与えるようになった現代社会の軋轢などの混迷と、新たな社会の成長とプラスにもマイナスにもなり得る状況で、果たして今後の世界史がどうなるのかという所で終わる事になるのですが、大づかみで見た歴史の流れから考えても、現代社会というのは、今後の成り行きは見えにくいなぁと思えるものになっている事は確実だなと。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶなどという言葉がありますが、過去の歴史からこの先を予測できる範囲はあるでしょうが、過去の歴史に当てはめる事が難しい時代でもあるんじゃないかと思えたりするのもまた確かではありますね。
願わくば、歴史を学ぶ賢者が増える事を願ってみたりと、歴史が苦手な愚者がたわごとをほざいておきます。
第3部 西洋の優勢
18 地球上の大発見とその世界的影響
19 ヨーロッパの自己変革 1500-1648年
20 ヨーロッパの外縁部 ロシアと南北アメリカ 1500-1648年
21 イスラムの領域 それに従属するヒンズー教およびキリスト教の社会
1500-1700年
22 東アジア 1500-1700年
23 ヨーロッパのアンシャン・レジーム 1648-1789年
24 南北アメリカとロシア 1648-1789年
25 ヨーロッパの旧体制へのアジアの反応 1700-1850年
第4部 地球規模でのコスモポリタニズムのはじまり
26 産業革命および民主主義による西欧文明の変貌 1789-1914年
27 産業主義と民主主義に対するアジアの反応 1850-1945年
28 アフリカとオセアニア 1850-1945年
29 西欧社会 1914-45年
30 1945年以後の世界規模の抗争とコスモポリタニズム
下巻は、近代という事で、なぜ近代では西洋世界が完全に世界の主導権を握り、圧倒的な優位を持ち得たのかという所に力点を置いていますね。
基本的に、世界史をザックリとコンパクトにまとめるのがコンセプトの1冊なので、細かい事よりも、大きな流れそのものを追っているのですが、一貫しているのは文明と宗教の関わりで歴史をとらえているという所ですね。
宗教を中心に西洋世界が近代に力を得たという見方をすると、下手をするとキリスト教こそ最高であり他の宗教はダメという、傲慢な偏見でまとめ上げる事もできそうですが、そうではなく、むしろ西洋世界がここまで力を得たのは所詮近代からであるという事を前提にし、成功の裏側には宗教的な囚われから上手く離脱する事が出来た事、そこから自然科学分野の発展が後押しをした事を軸にしています。
逆に、他の文明圏、イスラム圏やヒンズー、儒教といったアジア一帯が何故西洋から遅れる事になったのかは、、宗教的な教えにこだわり、技術進歩への道そのものを否定したこと、また西洋諸国と比べて近代以前の成功体験が強いために、変貌への後押しがなくなっていて、変化の必要性を感じるようになるのは、西洋に蹂躙された後になってしまって、出遅れもいい所だったと。
また西洋社会で宗教に変わる新たな中心軸として現れたのが、民族主義という事で、それぞれの国々で外側へと向かう勢いは民族や国家の集権的な力であり、それを上手く使えるか否かは大きかったと。
そういうった中央集権的な変化に対応できるかどうかという所でも、日本は特異なポジションとして、民族的に簡単に集権国家となりえる下地があったこと、宗教的な囚われで海外の技術を軽視しなかった事、むしろ他のアジア、特に清がボコボコにされるという反面教師がいた事も幸いして、技術革新に取り掛かり、他に例を見ない速さで近代化に成功した唯一の非キリスト教圏の国として扱われていますね。
ところどころ、近代史としては日本の扱いは、アメリカ視点というものを感じる部分はあり粗もあるなぁとは思いますが、そこら辺まで含めて、世界史というもので日本はどう扱われているかというのを知る事は、大事だと思えるものですね。
冷戦構造や冷戦構造崩壊後までと二次大戦以降の世界史としての近代の西洋社会の成功から踏み出した新しい傾向も扱っています。
人口増大や、地球規模に大規模に影響を与えるようになった現代社会の軋轢などの混迷と、新たな社会の成長とプラスにもマイナスにもなり得る状況で、果たして今後の世界史がどうなるのかという所で終わる事になるのですが、大づかみで見た歴史の流れから考えても、現代社会というのは、今後の成り行きは見えにくいなぁと思えるものになっている事は確実だなと。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶなどという言葉がありますが、過去の歴史からこの先を予測できる範囲はあるでしょうが、過去の歴史に当てはめる事が難しい時代でもあるんじゃないかと思えたりするのもまた確かではありますね。
願わくば、歴史を学ぶ賢者が増える事を願ってみたりと、歴史が苦手な愚者がたわごとをほざいておきます。
第3部 西洋の優勢
18 地球上の大発見とその世界的影響
19 ヨーロッパの自己変革 1500-1648年
20 ヨーロッパの外縁部 ロシアと南北アメリカ 1500-1648年
21 イスラムの領域 それに従属するヒンズー教およびキリスト教の社会
1500-1700年
22 東アジア 1500-1700年
23 ヨーロッパのアンシャン・レジーム 1648-1789年
24 南北アメリカとロシア 1648-1789年
25 ヨーロッパの旧体制へのアジアの反応 1700-1850年
第4部 地球規模でのコスモポリタニズムのはじまり
26 産業革命および民主主義による西欧文明の変貌 1789-1914年
27 産業主義と民主主義に対するアジアの反応 1850-1945年
28 アフリカとオセアニア 1850-1945年
29 西欧社会 1914-45年
30 1945年以後の世界規模の抗争とコスモポリタニズム
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