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今日の読書 世界の99%を貧困にする経済/ジョセフ・E・スティグリッツ

ノーベル経済学賞、ノーベル賞の中でも非常に評価が別れるというか、自然科学分野と違い、社会科学分野というものは、絶対的な証明が不可能なために、胡散臭く扱われてしまう事もあり、またノーベル賞受賞した経済学論理も、簡単に失敗作であると認められるものも出てくるために、ノーベル賞受賞した経済学者だから正しい事を言っているという保証書にはならないのですが、スティグリッツに関しては政治的に悪用されにくい論理を提唱しているという事では、一定以上の信用ができると思います。

とにかく軸になるものは、情報の非対称性についての考察というか、非対称性が与える社会への害悪という事になり、つきつめれば不公平、不公正を是正する事が社会にとって必要であるという、ある意味では当たり前と思える事、しかし、現在の社会において絵空事とも言っていい事になってしまっている事の強調だからです。

アメリカ向けに書かれているので、現在のアメリカの状況、アメリカはかつて信じられていたような世界一夢のある国ではなく、アメリカンドリームという言葉も最早まやかしでしかない、まずそこから気付くべきであり、また、アメリカンドリームという幻想で都合の悪い事を覆い隠そうとしている勢力がある事を理解すべきであり、その幻想で現実を覆い隠そうとしているのが、超富裕層という全体の1%を占める存在達である。

その富裕層がむさぼっている富は富裕層の公正な稼ぎで生み出されたものではなく、大多数の人々の権利を削っているものでしか無く、また、それを許すような法整備に熱心になり、永遠のハンデキャップマッチを仕掛け続けているという事ですね。

簡単に言うと、利権を持つものが、その利権をより強固に、より大規模にする事に全てを無責任にかけ続けていると。

そのメインはいわゆる金融関係者、日本でも普通に報道されて呆れさせられた事として、リーマンショックなど金融バブルで世界中が吹っ飛んでいる時、その要因をつくった金融関係者のお偉方は、その損失を出した事の責任を完全に他人事のように振る舞い、銀行がつぶれる事のマイナス面だけを強調し、税金で補填させながら、自分の給料は当たり前のように懐におさめたというものがありました。

金融全体を吹っ飛ばしておいて、それに巻き込まれた人はその人の責任と斬って捨てておきながら、自分の収入だけは無責任に確保というモラルハザードをおこせたのは、自分は責任を取らないで済むように法整備をしていたからというような例を上げ続けています。

また、スティグリッツの著書では何年も何年も言い続けていますがグローバル化というものを推し進め、累進課税の減税を大々的に推し進めた事が現在のアメリカの大問題の1つとして上げているのも、見慣れた事ですね。

減税しなければ資本を移すという脅しにより、累進課税を減税させ、その悪影響は税収で賄われる社会サービスをことごとく破壊する結果になっていると。

アメリカ向けに書かれているので、そのまま日本に当てはめる事はできませんが、対岸の火事では済ませない問題点は、日本に置き換えてもいくらでも応用できるでしょう。

ようは、特定団体の利益のために国民の大多数を犠牲にしてはいけないという、ある意味当たり前のことが、現在の民主主義では行われていないと。

特定団体からの圧力(献金やら抗議)によって、利権の拡大を飲み込んでしまう政治家、また一度利権が出来てしまうと、破壊が困難になるという事は、誰しもが特定団体をいくつも思い浮かべる事ができるでしょう。

アメリカがメインで、その次にヨーロッパの例(というかユーロという単一通貨を作ってしまって独自に金融政策ができなくなったという自縄自縛)が少しあるくらいで、日本については、触れられたのは市場の失敗の例として、原発が事故を起こしても責任をしっかりと取らないというシステム程度しか出てこなかったりするのですが、それとはまた別に読んでいて面白いなと思うのは、右派(保守派)の使い方ですね。

現在の日本では右を批判する時に、経済政策に関しては、公共投資をする事を右側として批判しますが、アメリカの例ですと公共投資の削減と減税のセットを右として批判しているという事ですね。

アメリカの右というのは、いわゆる市場原理主義、市場の失敗と政府の失敗であれば市場の失敗の方がほとんど失敗しない、というか、市場の失敗なんてあってはいけないというくらいにイデオロギーに固まった人をさすわけですが、左右の使い方の違いが、日本とアメリカという同じ資本主義なり民主主義の国家であっても全く違うなと。

もし当てはめるならば、増税せずとも無駄を省けば財政健全化するという考え方は極右という事になり、公共事業を拡大すると公言している現政府は左翼扱いになるんですよね、ここら辺の違いに、右か左かというものは国によって全く別物になり、それを念頭に置かないまま読んでいるとわけがわからなくなりそうだなって。

そして、アメリカの例からも日本で確実に念頭に置かないといけないのはマスメディアを利用した大衆認識の操作の卑劣さと、不況期の緊縮財政は自殺行為という事ですね。

まぁ公共事業を増やすにあたっても、その財源を自分の懐に収める輩がいるとダメだという点に関しては、本書の中に触れられていないのは気にはなりますが。

世の中に完璧な制度などという物は無く、政府も失敗すれば市場も失敗する、失敗する事が前提として、それぞれの不得意分野を潰すような社会制度を考えないといけないんでしょうね、それこそ情報の非対称性を潰すという、権力者が一番嫌がる事をしなければいけないんですが・・・どうなんでしょうね?

少なくとも今の日本のマスメディアは情報の非対称性を一所懸命守っていますが、それはまた別の話。


序 困窮から抜け出せないシステム

第 1章 1%の上位が99%の下位から富を吸い上げている
第 2章 レントシーキング経済と不平等な社会の作り方
第 3章 政治と私欲がゆがめた市場
第 4章 アメリカ経済は長期低迷する
第 5章 危機にさらされる民主主義
第 6章 大衆の認識はどうのように操作されるか
第 7章 お金を払える人のための“正義”
第 8章 緊縮財政という名の神話
第 9章 上位1%による上位1%のためのマクロ経済政策と中央銀行
第10章 ゆがみのない世界への指針
世界の99%を貧困にする経済世界の99%を貧困にする経済
(2012/07/21)
ジョセフ・E・スティグリッツ

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