今日の読書 反動世代 日本の政治を取り戻す/中野剛志・三橋貴明・柴山桂太・施光恒 インタビュー・編森健
私は基本的にローカル至上主義者です。
それぞれの地域生活は、基本的に土着の文化や歴史の上に成り立っているものであり、それは土着性があるが故に選ばれて培われてきた物であり、その中には世界的に見て普遍性のあるものと、地域的な独自性が混在してこそのものであり、決して世界的に平準化するものではなく、また逆に世界的に普遍的価値観で平準化できるものではないと、それは優劣ではなく差異で語るべきものであり、この差異が無くなる事は絶対に無いし、差異という概念を持たずに優劣でのみ語り、世界同一基準というものを作り上げる事は絶対に不可能でありますし、優劣という視点をもってそれをなそうとするならば、必ず破綻するし、破綻する前に基本的に争いになるでしょうと。
そういう意味では、私はいわゆるグローバリゼーションという物に対して反対の立場を獲り続けます。
良く言われるように、いわゆるグローバリゼーションというものが、グローバルと銘打ちながらも、やっている事はアメリカンゼーションという、アメリカ的な価値観の世界的流布、アメリカ的な政策、法整備、価値基準の流布でしかない、またそのアメリカ的な価値観のベースとなっているものが、いわゆる新自由主義であるという事が、絶対的に受け入れられない事ですし、さらに言うと、これだけ新自由主義的なやり方の失敗例が枚挙にいとまがないのにもかかわらず、それが推し進められるという事の異常さに呆れざるを得なかったりするんですが。
アメリカ国内にも、ノーベル経済学賞教授のスティグリッツのように、グローバリゼーションの害悪、アメリカが他国に対して暴力的に自国のやり方を押しつける害悪だけではなく、それこそ99%のアメリカ国民に対しても害悪にしかなっていないというのを喧伝している人もいますが、実際問題それが是正されていく気配は感じられないのが実情ではないかと。
まぁ、アメリカの場合、人工国家故に、自国が絶対正義であり、自由主義経済が永遠の右肩上がり幻想を作り続けないと、国家アイデンティティが崩れるという恐れを抱いている層もいるでしょうし、単に強欲な金持ちが世論をミスリードしているだけというのもあるでしょうし、それはまた別の話という事で。
日本の政治上で右や左、保守や革新、もはや何をもって右なのか左なのか、保守は何を守ろうとして、革新は何をどう変化させたいのか、なかなか真っ当には分かりません。
日本にとっていわゆる革新側が強固に憲法改正を反対してみたり、保守勢力が憲法改正を悲願にしてみたり、日本を取り戻すと言いながら、TPPを促進してみたり。
単純な立場すらあやふやというか、良くも悪くも分かりやすい軸を失っているなぁというのと同時に、分かりやすい軸としてあったものが、軍事力の行使を絶対悪と位置付けるか否かくらい、自国が攻撃対象になった場合、軍事力を行使する気があるか、日本国民は逆らわずに全滅すべきであるという考え方であるかどうかくらいしか、違いが無くなってしまったなぁと。
現状の安倍政権が圧倒的な多数で勝利したのも、単に全滅したくは無いという意思表示以上でも以下でもない、全肯定はできないけれども、他と比べると否定すべき点が少ないという事でのものというのが、実態ではないでしょうか。
私も圧倒的な自民党政権については、全肯定も全否定もできないという立場、デフレ脱却を狙う事は支持しますし、外交問題に関してはアジア外交で敵対的な近隣諸国からの行動に対して牽制する形になるように環太平洋のアジア諸国との連携を組んで行く事は全力で評価しますが、同時に環太平洋というものではTPP参加に全力で全否定という立場になります。
いろいろと難しい問題が山積みだったりしますけれどもね。
ここからが本題、本書は反グローバリズムを掲げている論者達のそれぞれの考え方と、その考えに至るベースになるものについてインタビューし、それぞれの著書であるとか、テレビでの発言についての真意について掘り下げるというものなっています。
いわゆる右だ左だ保守だ革新だというカテゴライズがしにくい、またある意味では全方位にケンカを吹っかけている一方、それぞれの立場を越えて支持もされる、特殊な、そしてある意味では今後中心となっていくかもしれない立場を、まとめて反動世代として扱っている物ですね。
4人の立ち位置は微妙に違いますが、根底に流れているのは日本の良い所の再確認と同時に良さを守り大事にしていくという事、日本を自画自賛する事はなんとなくお行儀がよろしくないと思ってしまう面もありますが、自画自賛できる所は自画自賛しても良いという事ですかね。
どうにも、日本の戦後教育というか、日本の戦後論壇は自虐教育や日本を良い国だとする事を忌避しすぎたり、また差別と直結したりし過ぎた弊害が強くなっているので、それを取っ払う事はどうしても重要かなと。
いわゆるグローバリゼーションという物に対して、感覚的に受け入れられない人、何だかよく分からないけれどもグローバリゼーションって良い事なんでしょ?と深く考えないで受け入れている人は、一度目を通すと、あやふやな感じのものが多少晴れていくのではないかと思える一冊ですね。
第1章 官僚で「保守」の異端児は「企業よりも国民、世の中のために動く」 中野剛志
所属する組織に反旗を翻す官僚
英国留学、社会主義の伝統を身につける
実践への応用や経験主義の議論を求めて
第2章 国民のパワーを結集して新政権後の日本をつくる 三橋貴明
異色の経済評論家として
転職につぐ転職、デビュー作は異例の売れ行き
安倍首相の正しい選択、間違えた選択
雇用の創出は市場が決める
第3章 歴史から世界システムの崩壊とグローバル化を読み解く 柴山桂太
歴史家としての視点
経済思想を学ぶということ
新しい危機
第4章 リベラル・デモクラシーの理念と地域の文化的資源を語る 施光恒
不安定で揺れる自我の持ち主、日本
グローバル化の弊害
国家の重要性
時代と反動分子 森健
それぞれの地域生活は、基本的に土着の文化や歴史の上に成り立っているものであり、それは土着性があるが故に選ばれて培われてきた物であり、その中には世界的に見て普遍性のあるものと、地域的な独自性が混在してこそのものであり、決して世界的に平準化するものではなく、また逆に世界的に普遍的価値観で平準化できるものではないと、それは優劣ではなく差異で語るべきものであり、この差異が無くなる事は絶対に無いし、差異という概念を持たずに優劣でのみ語り、世界同一基準というものを作り上げる事は絶対に不可能でありますし、優劣という視点をもってそれをなそうとするならば、必ず破綻するし、破綻する前に基本的に争いになるでしょうと。
そういう意味では、私はいわゆるグローバリゼーションという物に対して反対の立場を獲り続けます。
良く言われるように、いわゆるグローバリゼーションというものが、グローバルと銘打ちながらも、やっている事はアメリカンゼーションという、アメリカ的な価値観の世界的流布、アメリカ的な政策、法整備、価値基準の流布でしかない、またそのアメリカ的な価値観のベースとなっているものが、いわゆる新自由主義であるという事が、絶対的に受け入れられない事ですし、さらに言うと、これだけ新自由主義的なやり方の失敗例が枚挙にいとまがないのにもかかわらず、それが推し進められるという事の異常さに呆れざるを得なかったりするんですが。
アメリカ国内にも、ノーベル経済学賞教授のスティグリッツのように、グローバリゼーションの害悪、アメリカが他国に対して暴力的に自国のやり方を押しつける害悪だけではなく、それこそ99%のアメリカ国民に対しても害悪にしかなっていないというのを喧伝している人もいますが、実際問題それが是正されていく気配は感じられないのが実情ではないかと。
まぁ、アメリカの場合、人工国家故に、自国が絶対正義であり、自由主義経済が永遠の右肩上がり幻想を作り続けないと、国家アイデンティティが崩れるという恐れを抱いている層もいるでしょうし、単に強欲な金持ちが世論をミスリードしているだけというのもあるでしょうし、それはまた別の話という事で。
日本の政治上で右や左、保守や革新、もはや何をもって右なのか左なのか、保守は何を守ろうとして、革新は何をどう変化させたいのか、なかなか真っ当には分かりません。
日本にとっていわゆる革新側が強固に憲法改正を反対してみたり、保守勢力が憲法改正を悲願にしてみたり、日本を取り戻すと言いながら、TPPを促進してみたり。
単純な立場すらあやふやというか、良くも悪くも分かりやすい軸を失っているなぁというのと同時に、分かりやすい軸としてあったものが、軍事力の行使を絶対悪と位置付けるか否かくらい、自国が攻撃対象になった場合、軍事力を行使する気があるか、日本国民は逆らわずに全滅すべきであるという考え方であるかどうかくらいしか、違いが無くなってしまったなぁと。
現状の安倍政権が圧倒的な多数で勝利したのも、単に全滅したくは無いという意思表示以上でも以下でもない、全肯定はできないけれども、他と比べると否定すべき点が少ないという事でのものというのが、実態ではないでしょうか。
私も圧倒的な自民党政権については、全肯定も全否定もできないという立場、デフレ脱却を狙う事は支持しますし、外交問題に関してはアジア外交で敵対的な近隣諸国からの行動に対して牽制する形になるように環太平洋のアジア諸国との連携を組んで行く事は全力で評価しますが、同時に環太平洋というものではTPP参加に全力で全否定という立場になります。
いろいろと難しい問題が山積みだったりしますけれどもね。
ここからが本題、本書は反グローバリズムを掲げている論者達のそれぞれの考え方と、その考えに至るベースになるものについてインタビューし、それぞれの著書であるとか、テレビでの発言についての真意について掘り下げるというものなっています。
いわゆる右だ左だ保守だ革新だというカテゴライズがしにくい、またある意味では全方位にケンカを吹っかけている一方、それぞれの立場を越えて支持もされる、特殊な、そしてある意味では今後中心となっていくかもしれない立場を、まとめて反動世代として扱っている物ですね。
4人の立ち位置は微妙に違いますが、根底に流れているのは日本の良い所の再確認と同時に良さを守り大事にしていくという事、日本を自画自賛する事はなんとなくお行儀がよろしくないと思ってしまう面もありますが、自画自賛できる所は自画自賛しても良いという事ですかね。
どうにも、日本の戦後教育というか、日本の戦後論壇は自虐教育や日本を良い国だとする事を忌避しすぎたり、また差別と直結したりし過ぎた弊害が強くなっているので、それを取っ払う事はどうしても重要かなと。
いわゆるグローバリゼーションという物に対して、感覚的に受け入れられない人、何だかよく分からないけれどもグローバリゼーションって良い事なんでしょ?と深く考えないで受け入れている人は、一度目を通すと、あやふやな感じのものが多少晴れていくのではないかと思える一冊ですね。
第1章 官僚で「保守」の異端児は「企業よりも国民、世の中のために動く」 中野剛志
所属する組織に反旗を翻す官僚
英国留学、社会主義の伝統を身につける
実践への応用や経験主義の議論を求めて
第2章 国民のパワーを結集して新政権後の日本をつくる 三橋貴明
異色の経済評論家として
転職につぐ転職、デビュー作は異例の売れ行き
安倍首相の正しい選択、間違えた選択
雇用の創出は市場が決める
第3章 歴史から世界システムの崩壊とグローバル化を読み解く 柴山桂太
歴史家としての視点
経済思想を学ぶということ
新しい危機
第4章 リベラル・デモクラシーの理念と地域の文化的資源を語る 施光恒
不安定で揺れる自我の持ち主、日本
グローバル化の弊害
国家の重要性
時代と反動分子 森健
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