今日の読書 【新訳】地下室の記録 ドストエフスキー 亀山郁夫訳
夏休みの宿題の定番の1つに読書感想文というものがあったりなかったり、とりあえず私はこの課題は大嫌いだったりするんですが、課題としての読書感想文が嫌いと言いながら、ブログには読んだ本について書いていたりする矛盾、まぁ純粋に課題としてのものが嫌いという事ですかね。
それは置いておいて、ここの所毎年8月にはいわゆる文学作品を最低1冊は読むようにしています、その狙いは読書感想文を課題に出された人が曲がり間違って、参考にしようと検索をかけてきた時に、是非この作品を読んで感銘を受け、将来この作品の主人公のような一生を送りたい!と力強く宣言して欲しいと思える作品を、わざわざ読んでおいて、そういう感想を書くような善良な生徒が1人でもいれば、日本はまだまだ大丈夫だと思えるだろうという事からですね。
前置きはおいておいて、本書、地下室の記録です。
ブログタイトルを見てもらえれば分かる通り、私が影響を受け人生の指針とした作品であります。
そして、本書で3パータンめの翻訳版を読んだ事になりますね。
最初に読んだのは、新潮文庫版の江川卓訳(どうしても、実力はあったのに、いろいろとインチキなイメージだけが強くなってしまうピッチャーと名前が被りすぎて困るんですが)の地下室の手記、そして2冊目が光文社古典新訳文庫版の安岡治子訳の地下室の手記、そして今回ので3パターン目ということになりますね。
1冊目は1969年に翻訳されたものであり、2冊目は2007年とここの間には時間が経っているので、当然読みやすさというか言葉づかいやリズム感というものは、より現代的になっていて良かったのですが、3パターン目を読んで今回が一番しっくりくるなと思ったのが、一人称ですね。
江川卓訳では「ぼく」安岡治子役では「俺」今回の亀山郁夫訳では「わたし」一人称主語の違い、これは日本語独特の感覚であり、欧米言語では通常変化は無いですし、ロシア語に関しても「Я」の一種類であり、これにどれを当てはめるかは翻訳者の感覚によるものだと思うのですが、私の場合、より感情移入しやすいのは今回であったなと。
基本的にこの物語は2部構成で、1部は元小役人で40歳になる男が、黙々と引きこもって世の中に対する鬱憤を暴走する自意識のもとで書きなぐるというもの。
自分は優秀なはずなのに、社会不適合者にしかなれない事に対する不満や、自分よりも劣っているはずのものが、不真面目に合理的に世渡りをして、それをよしとしている社会構造に対し憎悪し罵倒し、その様に対して自虐的になってみたりと、本当に社会不適合者丸だしで、私としては感情移入しやすいことこの上ない。
2部は、小役人時代、すでに社会不適合者丸だしで、まともに人と交わる事ができず、ひたすらケンカ腰で自分が相手を屈服させないとダメなんだという強迫観念にでも囚われたかのような形で、呼ばれてもいない学生時代の知り合いたちの集まりに押しかけては、空気をひたすら悪くし、ひたすら暴走する自意識のためだけに、娼婦に八つ当たりし、八つ当たりした事に今度はおびえるという、情緒不安定な出来事についての事をガッツリとやります。
ドストエフスキーの文学は、19世紀のロシアを舞台にしているという事や、ドストエフスキーが死刑宣告の後、流刑に変更されたというような状況の下で書かれたという事を考慮すると、いろいろと深読みができるという事のようですが、そういう深読みを取っ払うと、ただひたすらに自意識過剰の社会不適合者が、かつては回りに迷惑をかけ、現在は死ぬまで引きこもって鬱憤を書きまくるというだけの話だったりします。
かなり身も蓋もない表現ですが(苦笑)
そういった、自意識過剰で社会不適合者でありながら、学生時代の成績は優秀だったという主人公のキャラクター性を考えると、一人称表記は、やはり「わたし」が一番しっくりとくるよなぁと思わずにはいられないんですよね。
光文社の古典新訳文庫を読んだ時、全体が読みやすくなっているのに、何で「俺」にしてしまったんだろうと、これでは単純に粗暴さばかりが強調されてしまい、回りにケンカを吹っかけたり、場の空気を壊しまくっている単なるバカな印象になってしまうのではないかと。
社会不適合者でも、知性はある。
その知性の使い方を明らかに間違っていても、粗暴なふるまいの裏側には、どうしょうもない葛藤がうずめいている。
そんな主人公に粗暴なイメージはつけて欲しくは無い、それだと私の感情移入がしにくいと残念に思った事を考えると、余計に今回の翻訳版は嬉しくなってしまいましたね。
まぁこれは単純に好みの問題でしか無いんでしょうが。
とりあえず、改めて私の人生に影響を与えた作品ですし、これからも私は引きこもって誰に向けているでもない駄文を書き散らかして行こうと再確認させられるものでしたと。
ぜひ、読書感想文の宿題ににこの作品を書こうと思うような人がいましたら、是非力強く、この主人公のような生き様を私はしたいと結ぶようなものを書いて欲しいと心底思います。
それは置いておいて、ここの所毎年8月にはいわゆる文学作品を最低1冊は読むようにしています、その狙いは読書感想文を課題に出された人が曲がり間違って、参考にしようと検索をかけてきた時に、是非この作品を読んで感銘を受け、将来この作品の主人公のような一生を送りたい!と力強く宣言して欲しいと思える作品を、わざわざ読んでおいて、そういう感想を書くような善良な生徒が1人でもいれば、日本はまだまだ大丈夫だと思えるだろうという事からですね。
前置きはおいておいて、本書、地下室の記録です。
ブログタイトルを見てもらえれば分かる通り、私が影響を受け人生の指針とした作品であります。
そして、本書で3パータンめの翻訳版を読んだ事になりますね。
最初に読んだのは、新潮文庫版の江川卓訳(どうしても、実力はあったのに、いろいろとインチキなイメージだけが強くなってしまうピッチャーと名前が被りすぎて困るんですが)の地下室の手記、そして2冊目が光文社古典新訳文庫版の安岡治子訳の地下室の手記、そして今回ので3パターン目ということになりますね。
1冊目は1969年に翻訳されたものであり、2冊目は2007年とここの間には時間が経っているので、当然読みやすさというか言葉づかいやリズム感というものは、より現代的になっていて良かったのですが、3パターン目を読んで今回が一番しっくりくるなと思ったのが、一人称ですね。
江川卓訳では「ぼく」安岡治子役では「俺」今回の亀山郁夫訳では「わたし」一人称主語の違い、これは日本語独特の感覚であり、欧米言語では通常変化は無いですし、ロシア語に関しても「Я」の一種類であり、これにどれを当てはめるかは翻訳者の感覚によるものだと思うのですが、私の場合、より感情移入しやすいのは今回であったなと。
基本的にこの物語は2部構成で、1部は元小役人で40歳になる男が、黙々と引きこもって世の中に対する鬱憤を暴走する自意識のもとで書きなぐるというもの。
自分は優秀なはずなのに、社会不適合者にしかなれない事に対する不満や、自分よりも劣っているはずのものが、不真面目に合理的に世渡りをして、それをよしとしている社会構造に対し憎悪し罵倒し、その様に対して自虐的になってみたりと、本当に社会不適合者丸だしで、私としては感情移入しやすいことこの上ない。
2部は、小役人時代、すでに社会不適合者丸だしで、まともに人と交わる事ができず、ひたすらケンカ腰で自分が相手を屈服させないとダメなんだという強迫観念にでも囚われたかのような形で、呼ばれてもいない学生時代の知り合いたちの集まりに押しかけては、空気をひたすら悪くし、ひたすら暴走する自意識のためだけに、娼婦に八つ当たりし、八つ当たりした事に今度はおびえるという、情緒不安定な出来事についての事をガッツリとやります。
ドストエフスキーの文学は、19世紀のロシアを舞台にしているという事や、ドストエフスキーが死刑宣告の後、流刑に変更されたというような状況の下で書かれたという事を考慮すると、いろいろと深読みができるという事のようですが、そういう深読みを取っ払うと、ただひたすらに自意識過剰の社会不適合者が、かつては回りに迷惑をかけ、現在は死ぬまで引きこもって鬱憤を書きまくるというだけの話だったりします。
かなり身も蓋もない表現ですが(苦笑)
そういった、自意識過剰で社会不適合者でありながら、学生時代の成績は優秀だったという主人公のキャラクター性を考えると、一人称表記は、やはり「わたし」が一番しっくりとくるよなぁと思わずにはいられないんですよね。
光文社の古典新訳文庫を読んだ時、全体が読みやすくなっているのに、何で「俺」にしてしまったんだろうと、これでは単純に粗暴さばかりが強調されてしまい、回りにケンカを吹っかけたり、場の空気を壊しまくっている単なるバカな印象になってしまうのではないかと。
社会不適合者でも、知性はある。
その知性の使い方を明らかに間違っていても、粗暴なふるまいの裏側には、どうしょうもない葛藤がうずめいている。
そんな主人公に粗暴なイメージはつけて欲しくは無い、それだと私の感情移入がしにくいと残念に思った事を考えると、余計に今回の翻訳版は嬉しくなってしまいましたね。
まぁこれは単純に好みの問題でしか無いんでしょうが。
とりあえず、改めて私の人生に影響を与えた作品ですし、これからも私は引きこもって誰に向けているでもない駄文を書き散らかして行こうと再確認させられるものでしたと。
ぜひ、読書感想文の宿題ににこの作品を書こうと思うような人がいましたら、是非力強く、この主人公のような生き様を私はしたいと結ぶようなものを書いて欲しいと心底思います。
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