今日の仮面ライダーウィザード総括
本日をもって仮面ライダーウィザードが終了という事で、毎回恒例化している総括っぽいものを。
最終回とはいえ、ラスト2話は特別編という事で、本編が終わってからすでに2週間経っているので、その間にある程度考えはまとめられたかなぁと思っています。
最初にウィザード全体の感想というか、評価ですが、一定水準以上楽しめた事は確かながら、細かい所の設定のつめが甘いというか、粗があって勿体ないと感じたり、全体のバランスがもう少しなんとかならなかったかなぁと、主要登場人物の出番や、話の流れ全般の伏線の張り方と回収のタイミング、もっと早くに明かしておいた方が良い謎や過去についてのものは、バランスを変えていればもっと盛り上がったんじゃないかと思えるものがありましたね。
仮面ライダーウィザードは、魔法使いという設定で魔法を使って変身したり攻撃したりというのが最大の特徴になるわけでして、その魔法を使うために指輪というアイテムが必要というのが象徴的に使われているのも大きな特徴でもあったりします。
そのため、アクションでは攻撃でパンチやチョップなど直接手で攻撃するという物が制限され、その代わりに魔法を多用したり武器を常に使用したり、制限されたアクションの中で、それでも動きを印象付けるためにいつに無く回転をするアクションだったりと、アクション面では他の作品との差別化という意味でも面白い試みだったと思いますし、パンチを制限し続けたからこそ、最終回でソラからコヨミでもある賢者の石を取り出すために、パンチ解禁という印象深いシーンにつながったので、成功したのではないかと思います。
ただ、魔法という意味では初期の頃は新しい魔法がどんどんできて、輪島さんから指輪を渡されて、役に立つのかどうなのか分からない、時には単なるネタにしかならない指輪が出てきたりしていたのですが、後半はそういった物は無くなりドラゴン系のものかインフィニティだけという感じになってしまったのが、後半までネタをやり続けるわけにいかないとはいえ、少し残念。
また、魔力切れという要素も後半になるとあまり描かれなくなり、例えばインフィニティを多用しない理由というか、言い訳として魔力切れがあるから、できれば極力インフィニティには変身したくないというようなものを入れておけば良かったのに、特に触れられなかったのを勿体ないと感じたりもしましたね。
そして、戦う理由というか基本的にはゲートが絶望するとファントムを生み出す事になり、ゲートの人は死んでしまうから守らないといけないという設定は、ゲーム的であり、ファントムがやたらめったらと暴れたりしなかったり、すでに沢山いるファントムが一斉に人を襲ったりするわけではないという制約をかける事にも成功していて面白かったのですが、絶望するとファントムが生まれるというのは面白いのですが、そこにファントムが絡む理由が弱かったかなぁと。
もちろん、ファントムが絶望的な状況を意図的に作り出すという事までは分かりやすいのですが、それこそ絶望しやすい人ならば、勝手に絶望する事もあり得るわけで、実際にファントムを倒した事によって絶望するという、酷いオチに使われた話もあったりしたわけで、もう少し設定を詰めておけばなぁと。
例えば、絶望しかけて体にひび割れができたゲートから、ファントムが何がしかの事をする事によって初めてファントムが生み出されるとか、そこまでやっておかないと中途半端な解決にしかならなかったなぁと。
ひび割れができて、アンダーワールドにいってしっかりと退治して、指輪を渡して、もう絶対にファントムは生み出されないという解決にまで持って行った例ならば問題ないのですが、とりあえず襲ってきたファントムを倒して、東京から離れていれば、もう襲われる事は無いと言われても、その根拠となるものが、特に提示されていないというのは、ひっかかりを感じた人が多かったのではないかなぁと。
それこそ、東京を離れて仮にファントムに襲われる事が無くなったとしたところで、勝手に絶望的な状況になって、勝手に絶望してしまったらば、晴人の知らない所でファントムが生み出されるという事になるのではないかと。
ゲートの扱いという事で、いろいろと粗を突っ込みたくはなりましたが、絶望したらば怪物を生みみだしてしまって自分は死んでしまうという設定は、本当に面白かったですし、終盤はやらなければいけない事が多過ぎて、おざなりになってしまいましたが、その人が本当に心のよりどころとしているのは何かというのを、じっくりとやる時間がある話は、希望は人によって様々というのを出せていて面白かったんですよね。
主要登場人物ですが、晴人は最後の希望になるというわりに、やや主体性が薄いというか戦う理由として、自分しかその力がないからという以上の動機が薄く感じられたのは否めないかなとは思いましたね。
前作フォーゼの弦太朗がキャラが濃過ぎたせいで、余計に薄く感じてしまった部分もあるでしょうし、前作との差別化という意味でキャラが被らないようにしたという狙いはあったんでしょうけれどもね。
ただ、小出しにされた過去、早いうちに両親を失い、自分は最後の希望だったという事は最後の希望であろうとする事の説明になっていましたし、悪くは無かったんですが、両親を失ってから魔法使いになるまでの間、サッカー選手を目指していたエピソードはもっと早くにやっておけばよかったのにと、もしくはあのタイミングでやるくらいならば、いっその事完全に伏せておくくらいでよかったんじゃないかなぁと思いましたね。
そして、物語のキーになったコヨミ。
初登場から、普通の人間ではないという事を散々強調していましたし、実際に魔力で生きているという特殊な立ち位置だというのもあり、終盤キーになる扱いになるのも分かるには分かるんですが、とにかく中盤ほとんど出番が無くなったというか存在意義が無くなったのが、勿体ないにもほどがあるというか、中盤もっとしっかりと出番を無理矢理にでも作っておけよと思わずにはいられなかったですね。
初期は、自分が普通じゃないという事で、晴人と輪島さん以外とは接触を避けていたのが、凛子や瞬平との壁を無くしていくあたりまで、この流れは良かったんですが、壁がなくなった事で出番も無くなってしまったなぁと。
外に出かけない代わりに晴人にファントムの状況を知らせるという役目が初期の頃にはあったのが後半はほとんど無し。
晴人とコヨミが特別に結びつきの強い2人であるという事は、初期には強調されながら、終盤になってようやく思いだしたように出てきたのが、もっと早くになんとかできなかったのかと。
凛子と瞬平は、晴人に救われたという所から、晴人の手伝いをするという役回りでしたが、警察官として、勝手に動いている部分があって本職の方は問題があるにせよ、十分に役に立った凛子はともかく、瞬平は良くも悪くもウザイという役回り過ぎたなぁと、瞬平の出番をもう少し削ってコヨミの出番を増やしておけばと思わずにはいられなかったり(笑)
2号ライダーの仁藤は、魔力を食べ続けないと自分の命が危ないという、主役以上に主役な設定、それでいて悲壮感を感じさせず、人の話は最後まで聞かないという大きすぎる欠点があるものの、良くも悪くも感情を前面に出す分かりやすさもあり、晴人と対照的で面白いキャラだったなぁと。
逆に自分からアクションを起こすような性格では無い晴人と比べて、自分からぐいぐい動き過ぎる仁藤が、存在感がありすぎてどっちが主役か分からなくなるくらい、ピンチはチャンスという性格から何から、ラストの戦いまで王道少年マンガの主人公であり、動かしやすいキャラ過ぎたのが、バランスという事を考えると終盤慌ただし展開になってしまった要因になったかもと思わずにはいられないですかね。
そして、ファントムですが、幹部扱いとしてメデューサ、フェニックスがいて、それにワイズマンが指示をだし、基本はファントムを増やすというのから始まり、ファントムを増やしてどういう意味があるのか?までは初期段階では特に明かされず。
ただ、ファントムを増やす、仲間を増やすという事を最初にだしておけば、とりあえずはそういうものとして納得ができるものですので、初期はそれで問題無し。
ただ、初期段階からワイズマンの真意というか、裏が何かありそう、白い魔法使いとの関係は何だろう?というのを小出しにしていながら、終盤まで明かさないで行くにしろ、もう少し何がしかの要素を出せたのではないかなと。
そして、ワイズマンと白い魔法使いの正体である笛木。
大がかりな事をしておきながら、狙いは死んだ自分の娘のコヨミを蘇らせるためにやってきた事だったという、人の迷惑を考えないで、自分の感情に突っ走りまくってサバトから何からやってきたと。
悪事(本人は悪事だという自覚は無いですが)の動機が、自分の大切な人の命のためという、龍騎の神崎パターンであったというオチ、悪くは無いのですが終盤に説明不足がありすぎたかなぁと。
魔法使いはゲートが絶望を自力で抑え込んで誕生する物、そして魔法使いの魔力を使ってサバトをもう一度行って、コヨミを蘇らせるのが本当の狙いだったというのは、それはそれで話として面白くもあるのですが、魔法使いを誕生させなければいけないという事で終盤慌ただしいというか、簡単に魔法使いが生み出され過ぎたというののが、もう少しなんとかできなかったのかなぁと思わずにはいられなかったですね。
笛木は目標のために、手段を選ばないという事を表すのに、絶対服従の存在であったメデューサをあっさりと殺したというのは良かったんですがね。
そして、全てを仕組んだのが笛木であったならば、ラスボスも笛木という流れになりそうな中、そうはならずにラスボスになったソラ。
初登場からインチキ臭く、こういったトリックスターなキャラは、策士策に溺れるという形で消えるのだろうなぁと思っていただけに、ラスボスになったのには驚かされました。
しかも、ソラは人間の頃の記憶が残っている特殊なファントム、ファントムという化け物というだけではなく、人間時代、滝川空の頃からすでにサイコキラーだったという、人間の頃から化け物じゃんというキャラは、なかなかにインパクトがあったというか、朝から随分攻めた設定だなと。
実際に、滝川空がサイコキラーだったとわかる話はなかなかトラウマを与えそうな怖さがありましたからね。
で、ラスボスに昇格したソラでしたが、実際問題笛木とソラと2人残った場合、どちらがラスボスになる方が、見ている方はすっきりするかというとソラだったなぁと。
この判断はウィザードという作品の終盤では一番私は評価したい所ですかね。
笛木は、やっている事はいい迷惑ですし、許されるものではないのですが、動機は分からなくはない、愛する娘を蘇らせたいという気持ちは理解はできる。
気持は分かるけれども、やってはいけない一線を踏み越えたよねという事で、笛木を倒して話は終わるものの、どこかしら切なさは残るという感じでしょうか。
それに比べてソラは、徹頭徹尾自分の事しか考えていない、人間に戻りたいから賢者の石が必要。
自分は、望んで化け物になったのではなく、絶対的な被害者であると。
人間時代から既に大量殺人犯という化け物出あったにもかかわらず、ファントムという化け物になった自分は同情されるべき存在であると。
人間時代も、ファントムになってからも多くの被害者を生み出してきた加害者のくせに、常に被害者面をして平気な顔をしているソラというのは、何の同情も無く、本気で晴人が倒してくれてありがとうと思える存在。
しかも賢者の石を抜きとられた後は、あっさりしすぎるくらいあっさりと負けるという散り様も含めて、大物のラスボスというのではなく、悪らしい悪を倒しておしまいになるというものの気持の良さ、そういう意味ではソラがラスボスで終わったのは、気持がすっきりしたかなぁと。
もう一度改めて、ウィザードは設定から何から、準備したものは悪くは無かった。
ラスボスを倒した後のカタルシスや、晴人とコヨミの切ない別れというのも良かった。
ただ、設定をもう少しきっちりして粗を無くして、中盤から終盤にかけての話のバランスをもっとしっかりと計算して欲しかったと、もし、それができていたらば、単純に称賛するだけの事だけを書けばいいだけの作品だったのになぁと。
とはいえ、関係者の皆さんには1年間楽しませてもらいました、お疲れ様という気持ちの方が大きいですかね。







最終回とはいえ、ラスト2話は特別編という事で、本編が終わってからすでに2週間経っているので、その間にある程度考えはまとめられたかなぁと思っています。
最初にウィザード全体の感想というか、評価ですが、一定水準以上楽しめた事は確かながら、細かい所の設定のつめが甘いというか、粗があって勿体ないと感じたり、全体のバランスがもう少しなんとかならなかったかなぁと、主要登場人物の出番や、話の流れ全般の伏線の張り方と回収のタイミング、もっと早くに明かしておいた方が良い謎や過去についてのものは、バランスを変えていればもっと盛り上がったんじゃないかと思えるものがありましたね。
仮面ライダーウィザードは、魔法使いという設定で魔法を使って変身したり攻撃したりというのが最大の特徴になるわけでして、その魔法を使うために指輪というアイテムが必要というのが象徴的に使われているのも大きな特徴でもあったりします。
そのため、アクションでは攻撃でパンチやチョップなど直接手で攻撃するという物が制限され、その代わりに魔法を多用したり武器を常に使用したり、制限されたアクションの中で、それでも動きを印象付けるためにいつに無く回転をするアクションだったりと、アクション面では他の作品との差別化という意味でも面白い試みだったと思いますし、パンチを制限し続けたからこそ、最終回でソラからコヨミでもある賢者の石を取り出すために、パンチ解禁という印象深いシーンにつながったので、成功したのではないかと思います。
ただ、魔法という意味では初期の頃は新しい魔法がどんどんできて、輪島さんから指輪を渡されて、役に立つのかどうなのか分からない、時には単なるネタにしかならない指輪が出てきたりしていたのですが、後半はそういった物は無くなりドラゴン系のものかインフィニティだけという感じになってしまったのが、後半までネタをやり続けるわけにいかないとはいえ、少し残念。
また、魔力切れという要素も後半になるとあまり描かれなくなり、例えばインフィニティを多用しない理由というか、言い訳として魔力切れがあるから、できれば極力インフィニティには変身したくないというようなものを入れておけば良かったのに、特に触れられなかったのを勿体ないと感じたりもしましたね。
そして、戦う理由というか基本的にはゲートが絶望するとファントムを生み出す事になり、ゲートの人は死んでしまうから守らないといけないという設定は、ゲーム的であり、ファントムがやたらめったらと暴れたりしなかったり、すでに沢山いるファントムが一斉に人を襲ったりするわけではないという制約をかける事にも成功していて面白かったのですが、絶望するとファントムが生まれるというのは面白いのですが、そこにファントムが絡む理由が弱かったかなぁと。
もちろん、ファントムが絶望的な状況を意図的に作り出すという事までは分かりやすいのですが、それこそ絶望しやすい人ならば、勝手に絶望する事もあり得るわけで、実際にファントムを倒した事によって絶望するという、酷いオチに使われた話もあったりしたわけで、もう少し設定を詰めておけばなぁと。
例えば、絶望しかけて体にひび割れができたゲートから、ファントムが何がしかの事をする事によって初めてファントムが生み出されるとか、そこまでやっておかないと中途半端な解決にしかならなかったなぁと。
ひび割れができて、アンダーワールドにいってしっかりと退治して、指輪を渡して、もう絶対にファントムは生み出されないという解決にまで持って行った例ならば問題ないのですが、とりあえず襲ってきたファントムを倒して、東京から離れていれば、もう襲われる事は無いと言われても、その根拠となるものが、特に提示されていないというのは、ひっかかりを感じた人が多かったのではないかなぁと。
それこそ、東京を離れて仮にファントムに襲われる事が無くなったとしたところで、勝手に絶望的な状況になって、勝手に絶望してしまったらば、晴人の知らない所でファントムが生み出されるという事になるのではないかと。
ゲートの扱いという事で、いろいろと粗を突っ込みたくはなりましたが、絶望したらば怪物を生みみだしてしまって自分は死んでしまうという設定は、本当に面白かったですし、終盤はやらなければいけない事が多過ぎて、おざなりになってしまいましたが、その人が本当に心のよりどころとしているのは何かというのを、じっくりとやる時間がある話は、希望は人によって様々というのを出せていて面白かったんですよね。
主要登場人物ですが、晴人は最後の希望になるというわりに、やや主体性が薄いというか戦う理由として、自分しかその力がないからという以上の動機が薄く感じられたのは否めないかなとは思いましたね。
前作フォーゼの弦太朗がキャラが濃過ぎたせいで、余計に薄く感じてしまった部分もあるでしょうし、前作との差別化という意味でキャラが被らないようにしたという狙いはあったんでしょうけれどもね。
ただ、小出しにされた過去、早いうちに両親を失い、自分は最後の希望だったという事は最後の希望であろうとする事の説明になっていましたし、悪くは無かったんですが、両親を失ってから魔法使いになるまでの間、サッカー選手を目指していたエピソードはもっと早くにやっておけばよかったのにと、もしくはあのタイミングでやるくらいならば、いっその事完全に伏せておくくらいでよかったんじゃないかなぁと思いましたね。
そして、物語のキーになったコヨミ。
初登場から、普通の人間ではないという事を散々強調していましたし、実際に魔力で生きているという特殊な立ち位置だというのもあり、終盤キーになる扱いになるのも分かるには分かるんですが、とにかく中盤ほとんど出番が無くなったというか存在意義が無くなったのが、勿体ないにもほどがあるというか、中盤もっとしっかりと出番を無理矢理にでも作っておけよと思わずにはいられなかったですね。
初期は、自分が普通じゃないという事で、晴人と輪島さん以外とは接触を避けていたのが、凛子や瞬平との壁を無くしていくあたりまで、この流れは良かったんですが、壁がなくなった事で出番も無くなってしまったなぁと。
外に出かけない代わりに晴人にファントムの状況を知らせるという役目が初期の頃にはあったのが後半はほとんど無し。
晴人とコヨミが特別に結びつきの強い2人であるという事は、初期には強調されながら、終盤になってようやく思いだしたように出てきたのが、もっと早くになんとかできなかったのかと。
凛子と瞬平は、晴人に救われたという所から、晴人の手伝いをするという役回りでしたが、警察官として、勝手に動いている部分があって本職の方は問題があるにせよ、十分に役に立った凛子はともかく、瞬平は良くも悪くもウザイという役回り過ぎたなぁと、瞬平の出番をもう少し削ってコヨミの出番を増やしておけばと思わずにはいられなかったり(笑)
2号ライダーの仁藤は、魔力を食べ続けないと自分の命が危ないという、主役以上に主役な設定、それでいて悲壮感を感じさせず、人の話は最後まで聞かないという大きすぎる欠点があるものの、良くも悪くも感情を前面に出す分かりやすさもあり、晴人と対照的で面白いキャラだったなぁと。
逆に自分からアクションを起こすような性格では無い晴人と比べて、自分からぐいぐい動き過ぎる仁藤が、存在感がありすぎてどっちが主役か分からなくなるくらい、ピンチはチャンスという性格から何から、ラストの戦いまで王道少年マンガの主人公であり、動かしやすいキャラ過ぎたのが、バランスという事を考えると終盤慌ただし展開になってしまった要因になったかもと思わずにはいられないですかね。
そして、ファントムですが、幹部扱いとしてメデューサ、フェニックスがいて、それにワイズマンが指示をだし、基本はファントムを増やすというのから始まり、ファントムを増やしてどういう意味があるのか?までは初期段階では特に明かされず。
ただ、ファントムを増やす、仲間を増やすという事を最初にだしておけば、とりあえずはそういうものとして納得ができるものですので、初期はそれで問題無し。
ただ、初期段階からワイズマンの真意というか、裏が何かありそう、白い魔法使いとの関係は何だろう?というのを小出しにしていながら、終盤まで明かさないで行くにしろ、もう少し何がしかの要素を出せたのではないかなと。
そして、ワイズマンと白い魔法使いの正体である笛木。
大がかりな事をしておきながら、狙いは死んだ自分の娘のコヨミを蘇らせるためにやってきた事だったという、人の迷惑を考えないで、自分の感情に突っ走りまくってサバトから何からやってきたと。
悪事(本人は悪事だという自覚は無いですが)の動機が、自分の大切な人の命のためという、龍騎の神崎パターンであったというオチ、悪くは無いのですが終盤に説明不足がありすぎたかなぁと。
魔法使いはゲートが絶望を自力で抑え込んで誕生する物、そして魔法使いの魔力を使ってサバトをもう一度行って、コヨミを蘇らせるのが本当の狙いだったというのは、それはそれで話として面白くもあるのですが、魔法使いを誕生させなければいけないという事で終盤慌ただしいというか、簡単に魔法使いが生み出され過ぎたというののが、もう少しなんとかできなかったのかなぁと思わずにはいられなかったですね。
笛木は目標のために、手段を選ばないという事を表すのに、絶対服従の存在であったメデューサをあっさりと殺したというのは良かったんですがね。
そして、全てを仕組んだのが笛木であったならば、ラスボスも笛木という流れになりそうな中、そうはならずにラスボスになったソラ。
初登場からインチキ臭く、こういったトリックスターなキャラは、策士策に溺れるという形で消えるのだろうなぁと思っていただけに、ラスボスになったのには驚かされました。
しかも、ソラは人間の頃の記憶が残っている特殊なファントム、ファントムという化け物というだけではなく、人間時代、滝川空の頃からすでにサイコキラーだったという、人間の頃から化け物じゃんというキャラは、なかなかにインパクトがあったというか、朝から随分攻めた設定だなと。
実際に、滝川空がサイコキラーだったとわかる話はなかなかトラウマを与えそうな怖さがありましたからね。
で、ラスボスに昇格したソラでしたが、実際問題笛木とソラと2人残った場合、どちらがラスボスになる方が、見ている方はすっきりするかというとソラだったなぁと。
この判断はウィザードという作品の終盤では一番私は評価したい所ですかね。
笛木は、やっている事はいい迷惑ですし、許されるものではないのですが、動機は分からなくはない、愛する娘を蘇らせたいという気持ちは理解はできる。
気持は分かるけれども、やってはいけない一線を踏み越えたよねという事で、笛木を倒して話は終わるものの、どこかしら切なさは残るという感じでしょうか。
それに比べてソラは、徹頭徹尾自分の事しか考えていない、人間に戻りたいから賢者の石が必要。
自分は、望んで化け物になったのではなく、絶対的な被害者であると。
人間時代から既に大量殺人犯という化け物出あったにもかかわらず、ファントムという化け物になった自分は同情されるべき存在であると。
人間時代も、ファントムになってからも多くの被害者を生み出してきた加害者のくせに、常に被害者面をして平気な顔をしているソラというのは、何の同情も無く、本気で晴人が倒してくれてありがとうと思える存在。
しかも賢者の石を抜きとられた後は、あっさりしすぎるくらいあっさりと負けるという散り様も含めて、大物のラスボスというのではなく、悪らしい悪を倒しておしまいになるというものの気持の良さ、そういう意味ではソラがラスボスで終わったのは、気持がすっきりしたかなぁと。
もう一度改めて、ウィザードは設定から何から、準備したものは悪くは無かった。
ラスボスを倒した後のカタルシスや、晴人とコヨミの切ない別れというのも良かった。
ただ、設定をもう少しきっちりして粗を無くして、中盤から終盤にかけての話のバランスをもっとしっかりと計算して欲しかったと、もし、それができていたらば、単純に称賛するだけの事だけを書けばいいだけの作品だったのになぁと。
とはいえ、関係者の皆さんには1年間楽しませてもらいました、お疲れ様という気持ちの方が大きいですかね。