今日の読書 そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン
現在の日本の安倍政権、賛否両論ある政権である事は間違いなく、特に憲法や国防絡みの事に関しては、イデオロギーや大人の事情により、中間的な評価がなく、賛否真っ二つしかないんじゃないかなぁというのが、個人的な感想であり、それについては現段階で評価するのは難しいなというのが正直なところですね。
完璧な政策という物はあり得ませんし、日本国内だけの問題ならば簡単な話であったとしても、国防などは外交が絡む問題であるだけに、相手の反応についても、スルーしていいものから、そのまま素直に受け止めていいもの、危機感を持っておくべきものと、事は単純ではありませんし、なにしろ国防という事にかんしては、日本が攻撃しなくたって、敵国が勝手に攻撃を仕掛けてくる事もあるわけで、それは前例を踏まえて常識的な対応をしていれば必ず何とかなるものでもなく、非常識な反応までをも想定しなければいけないので、改めて何が正解なのか、短期的には答えは出ないのはある意味では当たり前のこと。
そして、それ以上に安倍政権の特徴はアベノミクスという経済政策、これも当然賛否両論あるわけであり、当然短期的に解決するほど簡単なものではないのですが、バブル崩壊以降日本が陥ったデフレスパイラル、これを打開すると宣言したという事は今までの政権ではなかった事、インフレ=悪というか、インフレ=ハイパーインフレであるとか、インフレとスタグフレーションを恣意的になのか、単に理解していないのか、混在させてデフレが続く事を悪だとはみなさなかった時代が長く続いた中では大きな転換点として、まずは評価すべき事だろうなとは思っています。
まぁ、日本のような高齢化社会になると、蓄財したもので生きている人数が多くて、インフレよりもデフレを大歓迎する報道が目につくのは、致し方が無いというか、年寄り優遇が絶対的な善という看板にしている部分がありますからね。
それは置いておいて、現段階において、まだアベノミクスが大成功であると諸手を上げて称賛する事はできないと思います。
しかし、少なくともデフレ脱却を旗がしらに、大幅な金融緩和による超円高是正は効果を上げて、少なくとも景気のいい話を無理矢理探さないといけないという事から、全ての人が恩恵を受けているわけではないが、日本経済全体としては、上向きになっているんじゃないか、そういう空気感は作り出せてきていると思います。
先日、私は東京モーターショーを見て、2007年以来初めて右肩下がりだったショーが右肩上がりを感じさせる華やかさを取り戻していて、少なくとも景気回復を期待しているというのを感じました。(期待という言葉が、経済用語になると予測という意味が強くなって、頭を切り替えて読まないと、勘違いしてしまうのは別の話ですが)
そして、アベノミクスの標榜する政策が始まってから、これは絶対に全力で後押しする発言をするだろうと簡単に予測できたのが、ノーベル経済学賞受賞経歴のあるポール・クルーグマンであり、今の日本のデフレ脱却路線はやっぱり全力で応援する事を表明しています。
とにかく、その時々で細かな変化はあるものの、クルーグマンは日本の景気回復に関するものを発する時は、インフレターゲットという単語を覚えておけば、ある意味それでOKと思えるものばかりでしたので、デフレ脱却を宣言しただけでまずは正しい方向性だと評価するだろうと。
そして、とにかく日本が示した方向性がいかに正しいかというのを説明するために、いろいろと検証しているのが本書になりますね。
そして、この方向性に対してぶれずに、短期で結果が出なかったとしても、そこで辞めるのではなく結果が出るまでやり続ける事の必要性を強調と。
私も、散々クルーグマンの著書を読んでいますし、ごくごく基本的な経済学の知識で、不況期には金融政策にしろ財政政策にしろ拡大路線をしないといけないという事は頭に入っていました。
しかし、どうにも日本の財政政策はある意味硬直的で、公共事業が必要な公共事業ではなく、無駄な公共事業が繰り返され、公共事業という存在そのものが利権でしかなくなっていて、波及効果を生みださなくなっている事もあり、財政政策が効果を出しにくいという事も理解していましたし、金融政策も、単に利率を下げた所で、それに釣られて闘志をする人がいなくなって意味がなくなってるよなぁという実感もあり、さらに不況下でさらに不況感を煽り、日本全体を悲観論に巻き込む世論誘導などもあり、どうしたものかとなるのも仕方がないとは思っていました。
そういう物を全部ひっくるめて、今は非常時だからある意味では日本人の常識を砕くような強さを見せるべきというのはクルーグマンの意見になっていて、デフレが終焉して右肩上がりを信じる、信じるに足るものを見せる事が必要だと。
根拠の無い楽観論は危険ですが、必要以上の悲観論というのも、また逆の意味で危険ではありますからね。
ただ、現段階で示した方向性と反するように、消費税の増税を早くも来年にしていたり、強欲なアメリカ企業が猛威をふるう可能性の高いTPP締結など、デフレ脱却にマイナスになるものが控えているのは、大いに気がかりではありますね。
クルーグマンはアメリカの保険制度をボロカスにしている一方で日本の保険制度の方が優れていると褒めていますが、そのクルーグマンの母国のアメリカが変わってくれない事には日本はそのアメリカの保険会社に社会制度を壊される可能性が高いというのが危惧されるものであり、日本を評価してくれるのは嬉しいが、本国の社会問題はそれ以上に危険だと煽ってくれて、日本の危惧するべき点を是非解消してもらえないものかと、必要以上の期待をする始末。
とりあえず、課題は山積みですし、今右肩上がりを感じさせているのが、いつ単なる幻想だったと終わってしまうかは分かりません。
懸念事項として、いわゆるケインジアン系の経済政策を中心にしておきながら、なぜかブレインとして市場原理主義系の竹中平蔵もいたりする事なんですよねぇ、明らかに矛盾するので。
しかし、現段階で示した方向性、これだけは正しいものだと評価されているのだと理解するには、わかりやすい1冊ですね。
方向性が正しい事がゴールも正しいとは限らないのが政治の世界ですけれども・・・
第1章 「失われた20年」は人為的な問題だ
第2章 デフレ期待をただちに払拭せよ
第3章 中央銀行に「独立性」はいらない
第4章 インフレ率2%達成後の日本
第5章 10年後の世界経済はこう変わる
完璧な政策という物はあり得ませんし、日本国内だけの問題ならば簡単な話であったとしても、国防などは外交が絡む問題であるだけに、相手の反応についても、スルーしていいものから、そのまま素直に受け止めていいもの、危機感を持っておくべきものと、事は単純ではありませんし、なにしろ国防という事にかんしては、日本が攻撃しなくたって、敵国が勝手に攻撃を仕掛けてくる事もあるわけで、それは前例を踏まえて常識的な対応をしていれば必ず何とかなるものでもなく、非常識な反応までをも想定しなければいけないので、改めて何が正解なのか、短期的には答えは出ないのはある意味では当たり前のこと。
そして、それ以上に安倍政権の特徴はアベノミクスという経済政策、これも当然賛否両論あるわけであり、当然短期的に解決するほど簡単なものではないのですが、バブル崩壊以降日本が陥ったデフレスパイラル、これを打開すると宣言したという事は今までの政権ではなかった事、インフレ=悪というか、インフレ=ハイパーインフレであるとか、インフレとスタグフレーションを恣意的になのか、単に理解していないのか、混在させてデフレが続く事を悪だとはみなさなかった時代が長く続いた中では大きな転換点として、まずは評価すべき事だろうなとは思っています。
まぁ、日本のような高齢化社会になると、蓄財したもので生きている人数が多くて、インフレよりもデフレを大歓迎する報道が目につくのは、致し方が無いというか、年寄り優遇が絶対的な善という看板にしている部分がありますからね。
それは置いておいて、現段階において、まだアベノミクスが大成功であると諸手を上げて称賛する事はできないと思います。
しかし、少なくともデフレ脱却を旗がしらに、大幅な金融緩和による超円高是正は効果を上げて、少なくとも景気のいい話を無理矢理探さないといけないという事から、全ての人が恩恵を受けているわけではないが、日本経済全体としては、上向きになっているんじゃないか、そういう空気感は作り出せてきていると思います。
先日、私は東京モーターショーを見て、2007年以来初めて右肩下がりだったショーが右肩上がりを感じさせる華やかさを取り戻していて、少なくとも景気回復を期待しているというのを感じました。(期待という言葉が、経済用語になると予測という意味が強くなって、頭を切り替えて読まないと、勘違いしてしまうのは別の話ですが)
そして、アベノミクスの標榜する政策が始まってから、これは絶対に全力で後押しする発言をするだろうと簡単に予測できたのが、ノーベル経済学賞受賞経歴のあるポール・クルーグマンであり、今の日本のデフレ脱却路線はやっぱり全力で応援する事を表明しています。
とにかく、その時々で細かな変化はあるものの、クルーグマンは日本の景気回復に関するものを発する時は、インフレターゲットという単語を覚えておけば、ある意味それでOKと思えるものばかりでしたので、デフレ脱却を宣言しただけでまずは正しい方向性だと評価するだろうと。
そして、とにかく日本が示した方向性がいかに正しいかというのを説明するために、いろいろと検証しているのが本書になりますね。
そして、この方向性に対してぶれずに、短期で結果が出なかったとしても、そこで辞めるのではなく結果が出るまでやり続ける事の必要性を強調と。
私も、散々クルーグマンの著書を読んでいますし、ごくごく基本的な経済学の知識で、不況期には金融政策にしろ財政政策にしろ拡大路線をしないといけないという事は頭に入っていました。
しかし、どうにも日本の財政政策はある意味硬直的で、公共事業が必要な公共事業ではなく、無駄な公共事業が繰り返され、公共事業という存在そのものが利権でしかなくなっていて、波及効果を生みださなくなっている事もあり、財政政策が効果を出しにくいという事も理解していましたし、金融政策も、単に利率を下げた所で、それに釣られて闘志をする人がいなくなって意味がなくなってるよなぁという実感もあり、さらに不況下でさらに不況感を煽り、日本全体を悲観論に巻き込む世論誘導などもあり、どうしたものかとなるのも仕方がないとは思っていました。
そういう物を全部ひっくるめて、今は非常時だからある意味では日本人の常識を砕くような強さを見せるべきというのはクルーグマンの意見になっていて、デフレが終焉して右肩上がりを信じる、信じるに足るものを見せる事が必要だと。
根拠の無い楽観論は危険ですが、必要以上の悲観論というのも、また逆の意味で危険ではありますからね。
ただ、現段階で示した方向性と反するように、消費税の増税を早くも来年にしていたり、強欲なアメリカ企業が猛威をふるう可能性の高いTPP締結など、デフレ脱却にマイナスになるものが控えているのは、大いに気がかりではありますね。
クルーグマンはアメリカの保険制度をボロカスにしている一方で日本の保険制度の方が優れていると褒めていますが、そのクルーグマンの母国のアメリカが変わってくれない事には日本はそのアメリカの保険会社に社会制度を壊される可能性が高いというのが危惧されるものであり、日本を評価してくれるのは嬉しいが、本国の社会問題はそれ以上に危険だと煽ってくれて、日本の危惧するべき点を是非解消してもらえないものかと、必要以上の期待をする始末。
とりあえず、課題は山積みですし、今右肩上がりを感じさせているのが、いつ単なる幻想だったと終わってしまうかは分かりません。
懸念事項として、いわゆるケインジアン系の経済政策を中心にしておきながら、なぜかブレインとして市場原理主義系の竹中平蔵もいたりする事なんですよねぇ、明らかに矛盾するので。
しかし、現段階で示した方向性、これだけは正しいものだと評価されているのだと理解するには、わかりやすい1冊ですね。
方向性が正しい事がゴールも正しいとは限らないのが政治の世界ですけれども・・・
第1章 「失われた20年」は人為的な問題だ
第2章 デフレ期待をただちに払拭せよ
第3章 中央銀行に「独立性」はいらない
第4章 インフレ率2%達成後の日本
第5章 10年後の世界経済はこう変わる
![]() | そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書) (2013/09/14) ポール・クルーグマン 商品詳細を見る |