地下室で手記 2013年12月13日

今日の読書　疾風ロンド／東野圭吾

スキーやスノーボードといったウインタースポーツの人気が年々低下していき、スキー場の閉鎖など、ウインタースポーツ業界が斜陽産業扱いになっている昨今、そういったウインタースポーツ再興を願って東野圭吾はスキー場を舞台にする作品を狙って発表し続けていますが、この作品もその一環の作品になります。

スキー場を舞台にした作品でスキー場に爆弾が仕掛けられたという事で、スキー場爆破という脅しに対してどうするかというのが、『白銀ジャック』という作品でしたが、スキー場を舞台に脅して金を奪おうという意味では似ているのが本作品。

しかし、今回はスキー場に生物兵器を隠されたというもので、なおかつ脅迫犯は脅迫してきた直後に事故死してしまい、金を間に持った駆け引きで対処するわけにはいかず、隠し場所を自力で探さないといけないというもの。

数少ない手掛かりから、生物兵器は無事回収できるのかという本筋と、スキーやスノボーに関するＰＲをふんだんに取り込みウインタースポーツにいかに興味を持たせられるかという作者の狙いと両方を楽しむ作品になっています。

ウインタースポーツ再興、普及をかなり強く意識しているために、構造もシンプルで間口の広いミステリー、まだミステリーに関して読書経験が薄い若者も入って来れるように意識しているかなとも思えますね。

間口が広い作りですので、テンポも良く分かりやすく気楽に読む事が出来ますね。

ただ、多少の疑問は読書好きと自分が体を動かす方のスポーツ好きって、どれくらいリンクしているんだろう？という事だったりしますね。