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今日の読書 逆説の日本史16江戸名君編/井沢元彦

井沢元彦のライフワークとなっている、逆説の日本史シリーズの16冊目は、江戸時代の名君についてと、江戸時代の町民文化についてをまとめた物になります。

このシリーズは、何をもって逆説とするかというと、いわゆる日本の通説が決めてかかっている物のうち、何故それをスルーなんだ!という所、スルーした所にこそ答えがあるのに何をやっているんだ専門家は!という狙いでやっているわけですね。

そのため、ある意味では批判も目的化しているため、若干偉そうな書き方になったりもするので、それをどう感じるか読者にゆだねられてる部分はあるとは思いますが、少なくともいわゆる教科書的な視点だけを持ち得て満足していると、固定観念に縛られてしまう恐れがあるので、実際に書かれている事こそが真実なんだと信じるかどうかは別として目を通しておく事に関しては損は無いものだとは思っています。

元々、週刊誌連載のものをまとめてあるので、やや繰り返しを感じるのは困りものではありますが。

江戸名君編という事で、徳川光圀、保科正之、上杉鷹山、池田光政を取りあげ、それぞれの功績について触れていますが、やはりシリーズ内で何度も繰り返している日本史の通説における欠点である、宗教的視点の欠如と、時代の流れ全体への視点、個人が残した功績の元ネタとなるものが前の時代の何から引っ張ってきたか、そしてそれを行った事によって、後世にどうつながったのか、ここら辺は力点の入れ方が分かりやすいですね。

特にこのシリーズで江戸時代について扱っているネタでは何度も繰り返し登場する儒教に対する扱い、儒教の中でも朱子学を採用するか陽明学を採用するか、教えの中のどこをそのまま受け入れ、どこを独自解釈して採用するか、その取り入れた事によって、後世がどう転がったのか。

最初に、水戸藩と会津藩の人物を扱っているだけで、狙いは幕末への影響という事は分かりやすいですね。

そして、池田光政の教育への力の入れ方と、江戸時代の町民が当時世界的に見て高い識字率を誇った要因の1つとしても扱われる『太平記』の意味というのも面白い視点だなぁと。

それ以前に、『太平記』って戦後になってから本当に地味な扱いになってしまったと改めて思わずにはいられない、戦国時代がゲームや小説になりまくっているのと比べると、歴史小説として書かれていないわけではないのに絶対数は少ないなぁと、目を通しておかなければいけないなぁと再確認はするんですが、どうしても思っただけでいつも後回しにしてしまい困ったものだと自戒の念を込めて思わずにはいられない。

まぁ楠木正成の存在が、良くも悪くも天皇陛下への忠君として持ち上げられすぎたのが、戦後逆に持ち上げる事を悪とみなす歴史観を持つ人にとって封殺されている部分があるんでしょうなぁと。


第1章 徳川光圀の生涯編 武士の「忠義」の対象は天皇か将軍か
第2章 保科正之の生涯編 王政復古と明治維新へと発展した思想のルーツ
第3章 上杉鷹山の改革編 名門家臣を断罪した「流血」の覚悟
第4章 池田光政の善政編 「脱・仏教体制」の潮流と『太平記』注釈書
第5章 江戸文化の「江戸的」展開編 俳諧と歌舞伎と落語のルーツ
第6章 江戸文化の「江戸的」凝縮編 芸術の「大衆化」を支えてきた源泉
逆説の日本史16 江戸名君編 (小学館文庫)逆説の日本史16 江戸名君編 (小学館文庫)
(2013/06/06)
井沢 元彦

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テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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