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今日の読書 逆説の日本史別巻4ニッポン戦乱史/井沢元彦

井沢元彦のライフワークというか大当たり仕事になっている逆説の日本史シリーズ、別巻の4になりますが、もともとはシリーズ内のもの扱いを狙ったものではなく、「井沢元彦の戦乱の日本史」を改題し加筆改稿したものになるようです。

日本史に限らず、歴史は激動した時にこそ見えてくる物が分かるという事で、歴史上で一番激動する時期というのは戦乱期であり、戦乱期を見る事によってそれぞれの時代を分析し、それぞれのポイントから学び取ろうというようなコンセプトになっていますね。

歴史的意義であるとか、そういう大きな話から、伝わっている事が実際にはどうなのかくらいのもの、例えば川中島の合戦で上杉謙信の一騎駆けはあったのかとか、長篠の合戦の三段撃ちはあったのか、織田家のボロ勝ちの要因はなんだったのかというようなものまで集めていますが、すでに他のもので書かれている物と被っていたりはしますかね。

最近の説で北条早雲が高齢で相模の国を収める事になった超大器晩成型の下剋上の雄というのから、実際にそこまで高齢じゃなかった説が有力になりつつあるのを、やっぱり高齢だったんじゃないか説をとっていたりするのは面白かったりしますかね。

基本的には戦国時代が多めで、次には幕末、あとは古代から日露戦争までの幅広く浅くあつかったものと戦乱時代について扱っていますが、井沢元彦の書いている説をどこまで正しいものとして理解するかどうかは、それぞれの読者の判断にゆだねた方が面白いと思うので、私は全部が全部正しい説だとはしきれませんが、歴史の見方として、現在の価値判断で物事を判断する事の有害さ、天才によって切り開かれた新たな価値観の重要性、前例のないものをやり遂げて、後世に影響を与えまくった事の重要性に力点を置くという観点は、絶対的に信用できるものだと思っています。

特に、戦乱というか戦争という物に対して、現在の価値観で遡及的に過去の戦争を絶対悪という位置づけにしがちな、現在の自称平和主義者達が、本気で歴史について政治利用しか頭にないのかと思える事例がありすぎますからね。

歴史上の戦争から学び取る時に、単純な善悪対立構造的な視点から脱却する事、戦国時代についてはかなりできているものが、なぜ近代戦争については善悪価値固定主義が未だに幅を利かせているのか疑問で仕方がないので、歴史を政治利用せずに、歴史を学び取るべき教訓として生かすような形でのみ、使えるようにならないといけないなぁと自戒を込めて考えてしまうのは、井沢元彦が狙って誘導しているという事かもしれないですね(笑)


第1章 戦国武将の野望1 下剋上を勝ちぬく知恵
     相模国盗り物語 北条早雲が残した「早雲寺殿廿一箇条」の遺訓
     美濃国盗り物語 斎藤銅山の英雄伝説を否定した新発見の史料
     川中島の戦い 上杉謙信の単騎斬り込みは本当にあったか?
     毛利元就伝 「戦国謀略王」が「三本の矢」神話に込めた家訓

第2章 戦国武将の野望2 織田信長の天才的戦術
     桶狭間の戦い 今川義元の油断をついた信長の「正面攻撃」
     姉川の合戦 「野村合戦」の呼称を変えた徳川将軍家の血脈
     長篠の戦い 鉄砲の轟音が武田騎馬隊を制御不能にした
     大阪湾海戦 村上水軍に大敗して造らせた鉄甲船は「コロンブスの卵」
     本能寺の変 実行犯明智光秀の背後に「黒幕」はいたか?
     四国統一 信長と友好関係を築いた長宗我部元親の誤算

第3章 戦国武将の野望3 豊臣秀吉の天下統一戦略
     中国大返し 明智光秀の毛利宛密書を先に読んだ秀吉の勝利
     賤ヶ岳の戦い 柴田勝家の敗因は前田利家の「裏切り」だった!?
     朝鮮出兵 なぜ秀吉は家康を遠征に「参加させなかった」のか

第4章 戦国武将の野望4 徳川家康の情報工作
     上田合戦 なぜ西軍の武将・真田昌幸に徳川軍は二度も敗北したのか
     関ヶ原の戦い1 わずか一日で大合戦を決着させた家康の謀略
     関ヶ原の戦い2 謀略合戦に敗れた石田三成の「最大の失敗」
     九州の関ヶ原 息子長政の「大手柄」を諌めた黒田官兵衛の器量
     奥羽の関ヶ原 家康を激怒させた直江兼続は「名軍師」といえるのか
     大坂の陣 家康が最も恐れた真田幸村の最後の猛撃

第5章 幕末維新1 幕藩体制を揺るがした国防論
     薩英戦争 日本民族の愚かさを露呈した攘夷という空想的国防論
     新撰組疾風録 なぜ新撰組の幹部は農民出身者が多かったのか
     天狗党の争乱 明治維新につながった「勝算なき戦い」の意味
     坂本龍馬伝 もし暗殺されなかったら維新改革はどうなったか
     四境戦争 長州藩が「負け戦」に勝てた不可思議

第6章 幕末維新2 大政奉還と戊辰戦争の混沌
     鳥羽・伏見の戦い 徳川慶喜を総大将にした将軍家の「想定外」
     江戸城無血開城 「官軍」薩摩・長州の牙を抜いた勝海舟の名案
     上野戦争 彰義隊を一日で潰走させた佐賀藩の最新鋭武器
     北越戊辰戦争 武士道のために長岡を焦土にした河井継之助への評価
     会津戦争 指揮官からはぐれた白虎隊「士中二番隊」の悲劇
     箱館戦争 「蝦夷島共和国」を夢見た榎本武揚の勝算と誤算

第7章 幕末維新3 近代国家としての戦争論
     不平士族の反乱 佐賀の乱で「首謀者」となった江藤新平の義侠心
     西南戦争 「熊本城攻撃」という愚策を取った西郷隆盛の真意
     日清戦争 中国の派遣を排除しアジア全体の近代化を促した意義
     日露戦争 乃木希典・陸軍大将は名将かそれとも愚将か

第8章 日本人が学ぶべき戦乱の教訓
     蘇我vs物部の崇仏論争「戦争体験者」聖徳太子が辿り着いた「話し合い」精神
     屋島の合戦、壇ノ浦の戦い 源義経「陸でも名将、海でも名将」の決断力
     蒙古来襲 世界最強の「騎馬軍団」元寇に鎌倉幕府軍が勝った理由
     赤坂、千早城の戦い「1対100」の兵力差を復した楠木正成の勝算
     応仁の乱 日本史上最大級の内乱に見る平和の「技術」
     岡崎三郎信康事件 「服部半蔵は忍者では無かった」と考える根拠
逆説の日本史 別巻4 ニッポン戦乱史 (小学館文庫)逆説の日本史 別巻4 ニッポン戦乱史 (小学館文庫)
(2013/12/06)
井沢 元彦

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