今日の読書 巨鯨の海/伊東潤
偏狭な宗教と感情論で突っ走られて、宗教的理論的な味方がいない日本が、一方的に残虐扱いされている伝統捕鯨。
伝統文化であるとか、批判するのは人種差別だという物を振りかざしても、結局感情論に負けるものですし、人種差別であると使う側は悲壮感のあるマイノリティ(虚実あるにせよ)でないと聞き入れられないというのが実情で、ただただ批判され、金を払わされというか、とかく日本は悪役にされた時のプロバガンダ対処法を持ち合わせていないよなぁと、つくづく思うのですが、本書は江戸時代から明治初期までの紀伊半島は太地を舞台にした、伝統的な組織捕鯨を扱った時代小説になります。
江戸から明治初期ですので、捕鯨をするにも命がけ、組織が乱れては命に関わるという事で厳しい掟が存在し、厳しい掟にさえ従えば捕鯨という特殊な仕事ゆえに収入はかなり得るものがあるという中での物語になります。
登場人物こそ代わり時代も流れていく形の連作短編ですが、時代が過ぎると共に掟が変わっていたり、江戸から明治に変わると、捕鯨そのものの立ち位置が変わり、特にアメリカの捕鯨の影響で鯨の数が激減していくというあたり、江戸から明治という日本の激動の歴史とリンクしていて、なかなかに興味深い構成になっているなぁと思えますね。
伊東潤の歴史小説は関東を舞台に、主に北条家や武田家をメインにして敗者側の歴史、滅びの美を感じさせるものが多いのですが、戦国の世ではなく、江戸から明治の捕鯨に携わった村を扱った時代小説も、ある意味では敗者視点になるのかもしれないなぁと思えますね、敗者だから悪であるとか敗者だから劣った者なのではなく、敗者は敗者であり、その生き様は生き様としてあるのだと。
伝統文化であるとか、批判するのは人種差別だという物を振りかざしても、結局感情論に負けるものですし、人種差別であると使う側は悲壮感のあるマイノリティ(虚実あるにせよ)でないと聞き入れられないというのが実情で、ただただ批判され、金を払わされというか、とかく日本は悪役にされた時のプロバガンダ対処法を持ち合わせていないよなぁと、つくづく思うのですが、本書は江戸時代から明治初期までの紀伊半島は太地を舞台にした、伝統的な組織捕鯨を扱った時代小説になります。
江戸から明治初期ですので、捕鯨をするにも命がけ、組織が乱れては命に関わるという事で厳しい掟が存在し、厳しい掟にさえ従えば捕鯨という特殊な仕事ゆえに収入はかなり得るものがあるという中での物語になります。
登場人物こそ代わり時代も流れていく形の連作短編ですが、時代が過ぎると共に掟が変わっていたり、江戸から明治に変わると、捕鯨そのものの立ち位置が変わり、特にアメリカの捕鯨の影響で鯨の数が激減していくというあたり、江戸から明治という日本の激動の歴史とリンクしていて、なかなかに興味深い構成になっているなぁと思えますね。
伊東潤の歴史小説は関東を舞台に、主に北条家や武田家をメインにして敗者側の歴史、滅びの美を感じさせるものが多いのですが、戦国の世ではなく、江戸から明治の捕鯨に携わった村を扱った時代小説も、ある意味では敗者視点になるのかもしれないなぁと思えますね、敗者だから悪であるとか敗者だから劣った者なのではなく、敗者は敗者であり、その生き様は生き様としてあるのだと。
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