今日の読書 逆説の世界史1古代エジプトと中華帝国の興廃/井沢元彦
井沢元彦が逆説の日本史というライフワークに加えて、今度は新たに世界史もやり始めたという事で。
逆説シリーズというのは、基本的には歴史学者が陥りやすい間違いであるとか、誤解であるとか説明足らずというものを、学者ではないからこそ陥る罠を回避して、学者が袋小路に入っているのを、袋小路に入っていますよという指摘をするというのが狙いと思っていいものだと解釈していいと思います。
逆説の日本史の場合、学者が専門分化しすぎていて通史という概念を失っている、今の常識で物事をとらえ過ぎていて、当時の価値観、主に宗教的な価値基準というものを軽視し過ぎている、文献至上主義で証拠となる文献に書かれていない部分についての考察が踏み込めなくなってしまい、文献内の矛盾点などに対して弱いなどなどですね。
世界史のシリーズも基本的には同じスタンスですが、これにさらに付け加えて自分の文化や宗教や伝統を身びいきした視点を取り除くというものに力点を置いている形ですね。
どうしても、近代以降の世界はキリスト教徒の白人が引っ張ってきた事実があり、その事実を踏まえたうえで、だからキリスト教徒の白人は素晴らしいという結論に行きがちになりがちになり、それが流布してしまっている点があり、近代が素晴らしい結果を与えた事が、だから優れているという形で直結させない、価値判断基準もそういうものに囚われないという狙いを何度も何度も繰り返しています。
今回は古代エジプトと中華帝国という事で、古代エジプトはピラミッドの謎を中心に、何故現代科学でもそう簡単に作り得ない技術を持った古代エジプトが、その技術が継承されない形で終わってしまい、謎が残りまくった存在になってしまったのかというもを検証しています。
基本ラインは情報伝達手段が残っているかどうかの重要性とヒエログラフという文字が残されながら、何故それがきちんと継承されなかったかという分析に、多神教という宗教観と言霊信仰という、日本人には理解しやすいツールで検証しています。
また、多神教、言霊信仰、表意文字と表音文字の扱いなどについては、一神教との違いや一神教の多くの国では感覚的に理解しにくいだろうという事、表意文字と表音文字の扱いについて、表音文字の方が絶対的に進化した形という思いこみが、表音文字を使う言語圏の人間には出来上がっている概念である事などなど、かなり意識的に書かれていますね。
というのも、小学館のHPで連載されているものですが、同時に英訳版も出ているので、完全に日本人向けに書いているのではなく、英語でしか読む事の出来ない、日本国籍外の人にも読まれる事を意識しているからでしょうね。
そのせいで、若干回りくどさを感じるのは感じるんですが(苦笑)
中国に関しては、一時は世界的に一番進んでいたはずなのに、何故その後はひたすら停滞するしかないのかというものを、儒教という宗教を中心に分析し、その停滞と悪影響、近代化していない現在の中国は、何故近代化しないのかというのは、停滞する理由として面々と受け継がれているというところにまで踏み込んでいます。
儒教特に朱子学の悪影響というものは、逆説の日本史でも散々扱い、完全に害悪扱いし、中華思想というものの悪影響こそ、現在おかれる被害者としての日本という立ち位置にすると理解しやすいというもので、私としてはまたきたなという思いはあるんですが、これも英語で世界発信しているという意味では、できるだけ流布して欲しい類のものというか、これこそ英訳版を発表している意味かなぁと、どれだけ世界的に目を通される機会があるのかは知りませんが。
逆説シリーズを今まで読んでいると、そのノウハウを世界史にただ移行させただけではなく、通史としての扱いの仕方が、時系列に沿ってひたすら細かく扱うというよりは、かなりザックリと決めた力点部分だけをしっかりと、その当時の影響とその後の影響という形で扱っているので、時系列に沿ったものを読みたい人向けというよりは、大づかみ型で知りたい人向けになるかなと、それ以上にとにかく英訳版というか、日本人向けだけではないという書き方が、いろいろと気になりましたね、日本人であれば常識の部分を説明していたりするのが多々出てきましたので。
そのせいで、今後どういう形でいろいろと取りあげるのかという興味よりも、果たして英訳版というのはどれだけの人の目に触れることになるのか?という興味ばかりが気になって仕方ありませんでした(笑)
序 章 人類はいかにして文明を持ったか 通史としての世界史を書く方法論
第1話 民族、宗教、イデオロギーを超越した新たな視点
第2話 時代分類は「利器の材質」から「情報蓄積ツール」へ
第1章 古代エジプト文明の崩壊 科学技術情報を隠蔽したファラオの言霊信仰
第1話 なぜ巨大ピラミッドが建造されたのか
第2話 ヒエログリフと文字の起源
第2章 中国文明の力量と停滞 六百年も停滞し続ける「中華思想」国家の臨界
第1話 儒教文明の呪縛と毛沢東の文化大革命
第2話 朱子学国家が東アジアに与えた悪影響
第3話 歴史を改竄する中国共産党の偏向教育
逆説シリーズというのは、基本的には歴史学者が陥りやすい間違いであるとか、誤解であるとか説明足らずというものを、学者ではないからこそ陥る罠を回避して、学者が袋小路に入っているのを、袋小路に入っていますよという指摘をするというのが狙いと思っていいものだと解釈していいと思います。
逆説の日本史の場合、学者が専門分化しすぎていて通史という概念を失っている、今の常識で物事をとらえ過ぎていて、当時の価値観、主に宗教的な価値基準というものを軽視し過ぎている、文献至上主義で証拠となる文献に書かれていない部分についての考察が踏み込めなくなってしまい、文献内の矛盾点などに対して弱いなどなどですね。
世界史のシリーズも基本的には同じスタンスですが、これにさらに付け加えて自分の文化や宗教や伝統を身びいきした視点を取り除くというものに力点を置いている形ですね。
どうしても、近代以降の世界はキリスト教徒の白人が引っ張ってきた事実があり、その事実を踏まえたうえで、だからキリスト教徒の白人は素晴らしいという結論に行きがちになりがちになり、それが流布してしまっている点があり、近代が素晴らしい結果を与えた事が、だから優れているという形で直結させない、価値判断基準もそういうものに囚われないという狙いを何度も何度も繰り返しています。
今回は古代エジプトと中華帝国という事で、古代エジプトはピラミッドの謎を中心に、何故現代科学でもそう簡単に作り得ない技術を持った古代エジプトが、その技術が継承されない形で終わってしまい、謎が残りまくった存在になってしまったのかというもを検証しています。
基本ラインは情報伝達手段が残っているかどうかの重要性とヒエログラフという文字が残されながら、何故それがきちんと継承されなかったかという分析に、多神教という宗教観と言霊信仰という、日本人には理解しやすいツールで検証しています。
また、多神教、言霊信仰、表意文字と表音文字の扱いなどについては、一神教との違いや一神教の多くの国では感覚的に理解しにくいだろうという事、表意文字と表音文字の扱いについて、表音文字の方が絶対的に進化した形という思いこみが、表音文字を使う言語圏の人間には出来上がっている概念である事などなど、かなり意識的に書かれていますね。
というのも、小学館のHPで連載されているものですが、同時に英訳版も出ているので、完全に日本人向けに書いているのではなく、英語でしか読む事の出来ない、日本国籍外の人にも読まれる事を意識しているからでしょうね。
そのせいで、若干回りくどさを感じるのは感じるんですが(苦笑)
中国に関しては、一時は世界的に一番進んでいたはずなのに、何故その後はひたすら停滞するしかないのかというものを、儒教という宗教を中心に分析し、その停滞と悪影響、近代化していない現在の中国は、何故近代化しないのかというのは、停滞する理由として面々と受け継がれているというところにまで踏み込んでいます。
儒教特に朱子学の悪影響というものは、逆説の日本史でも散々扱い、完全に害悪扱いし、中華思想というものの悪影響こそ、現在おかれる被害者としての日本という立ち位置にすると理解しやすいというもので、私としてはまたきたなという思いはあるんですが、これも英語で世界発信しているという意味では、できるだけ流布して欲しい類のものというか、これこそ英訳版を発表している意味かなぁと、どれだけ世界的に目を通される機会があるのかは知りませんが。
逆説シリーズを今まで読んでいると、そのノウハウを世界史にただ移行させただけではなく、通史としての扱いの仕方が、時系列に沿ってひたすら細かく扱うというよりは、かなりザックリと決めた力点部分だけをしっかりと、その当時の影響とその後の影響という形で扱っているので、時系列に沿ったものを読みたい人向けというよりは、大づかみ型で知りたい人向けになるかなと、それ以上にとにかく英訳版というか、日本人向けだけではないという書き方が、いろいろと気になりましたね、日本人であれば常識の部分を説明していたりするのが多々出てきましたので。
そのせいで、今後どういう形でいろいろと取りあげるのかという興味よりも、果たして英訳版というのはどれだけの人の目に触れることになるのか?という興味ばかりが気になって仕方ありませんでした(笑)
序 章 人類はいかにして文明を持ったか 通史としての世界史を書く方法論
第1話 民族、宗教、イデオロギーを超越した新たな視点
第2話 時代分類は「利器の材質」から「情報蓄積ツール」へ
第1章 古代エジプト文明の崩壊 科学技術情報を隠蔽したファラオの言霊信仰
第1話 なぜ巨大ピラミッドが建造されたのか
第2話 ヒエログリフと文字の起源
第2章 中国文明の力量と停滞 六百年も停滞し続ける「中華思想」国家の臨界
第1話 儒教文明の呪縛と毛沢東の文化大革命
第2話 朱子学国家が東アジアに与えた悪影響
第3話 歴史を改竄する中国共産党の偏向教育
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