FC2ブログ

今日の読書 黒南風の海/伊藤潤

加藤清正「文禄・慶長の役」異聞というサブタイトルのついた、サブタイトルそのものを舞台とした歴史小説になります。

加藤清正が主役のようなサブタイトルですが、実際に主役扱いは清正ではなく、沙也可という実在していたらしいが、実態が今一つ分かっていない、清正の家臣で朝鮮出兵中に朝鮮軍側に加わる事になった人物を、佐屋嘉兵衛として主役扱いにして物語は進んで行きます。

秀吉による朝鮮出兵は出兵した勢力も概ね厭戦ムードの中の物で一体感がなかったり、正直大失敗扱いになるものですが、何が大失敗だったのか、となると諸説入り乱れたり、また現代にプロバガンダに利用されたりもあったりするものですが、清正視点を中心に物語を組み立ていて面白くしているなというのは、宗教による影響の行動理念の違いが戦略や結果に影響を与えているというところでしょうか。

清正と小西行長との反目はこの文禄・慶長の役では有名ですが、その根っことして行長が元は商人であり武士としての理念が無かった事、キリスト教の影響から、異教徒は人間扱いしないで行けるという、一神教的な残酷さを発揮しまくっていて、これが仏教徒の清正とは相いれず、戦略的にも寛容さをもって自軍に組み込みながら進出しようとしているのを邪魔するという意味でもとにかく何もかもが対立的になるというものに。

また当時の朝鮮半島ががっつりと儒教でガチガチに固められていて、激しく硬直的な身分制度を目の当たりにして、多くの身分固定された奴隷を解放するという名目を見つけた事で、乗り気ではない異国への出兵の名目を保つようになっていく過程なども面白いですね。

さらに、明がこれに加わるとさらに、儒教というよりも中華思想が加わってきますし。

伊藤潤の作品、特に関東の北条家を主役にする作品ではいかに領民のための統治を出来るかどうかに苦心する武将の姿を描く物が多いのが特徴の1つだと思います。

この作品も最終的には日本、朝鮮、明の3つの勢力が入り乱れ、地元民が殺戮されていく中、どうすれば泥沼になってしまた状況を収める事が出来るか、落とし所へと必死に向かおうとするのを描くわけですが、落とし所へ向かうという方向性が伊藤潤の作品らしいなぁと思えましたね。
黒南風(くろはえ)の海   「文禄・慶長の役」異聞 (PHP文芸文庫)黒南風(くろはえ)の海 「文禄・慶長の役」異聞 (PHP文芸文庫)
(2013/11/11)
伊東潤

商品詳細を見る

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

おまけ

カレンダー
07 | 2014/08 | 09
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

茶留蔵

Author:茶留蔵
心身ともに不健康で知性が大いに不自由な社会不適合者

タグ
おまけ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
現在の閲覧者数:
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示
ニューリリース
メタル
QRコード
QR
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる