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今日の読書 逆説の日本史17江戸成熟編/井沢元彦

井沢元彦のライフワークになっている逆説の日本史シリーズ、江戸時代の最後はアイヌ民族と幕府崩壊の謎について扱っています。

逆説の日本史は通説、いわゆる教科書的な歴史の問題点にこそ力点を置いて、通説で軽視している所に力点を置いて扱うという事にしているシリーズですが、ここでも通説で軽視している宗教が歴史に与えた影響、江戸時代を扱う中でおなじみになっている朱子学が幕府公認になった事による功罪について罪多めでまたもや扱っています。

朱子学は儒教の中でもより先鋭化しているものと理解すればよいようで、価値基準が善悪二元論に結び付きやすく、先人こそが正しく、その教えをただ守り続ければよいという保守性と硬直性があり、それゆえに排他性もあれば、事実の検証をよりも理想に重きを置く、実際の事実ではなく、こうあるべき理想が正しいのであって、そのために捏造する事に何のためらいもなければ捏造に無自覚になりうるという特徴がある。

過去の日本でもそうでしたが、これを理解するための現在のサンプルがすぐ側にあり、儒教国家のツッコミ所、事実から目をそらし続ける事への無自覚、歴史捏造などなど理解しやかったりしますね。

儒教の功罪の罪については、現在進行形で理解しやすいサンプルがあるので、それはそれでかつての日本の残念過ぎる部分を見せつけられ、また平和な江戸時代が保守的、硬直的だからこそ、進歩せずに済んだという、共産主義的(身分性があるので共産主義ではないですが)な社会の1つのサンプルにもなるなぁと思ったりする例も見受けられたりと理解もしやすいのですが、逆に功については、この時代儒教思想による日本史の見直しという所から、記紀の研究が進み、実は江戸時代には一般化されていなかったものが、記紀を読めるようになって、今に受け継がれるようになったという大きなものから、明治維新につながるものとして、朱子学の影響で天皇家への忠誠という概念が上手く作れるようになったために、欧米列強がやって来た時に、日本国内で分裂が起きずに済んだという流れができたというものまでがありますね、朱子学という扱いを劇薬と表現するのが正しいという事なんでしょう。

基本江戸幕府崩壊の要因を上げていくものであり、どちらかというと残念な内情を扱うものが多いのが、読んでいてなんだかなぁと思う部分が多いのですが、同時に日本の国内問題の残念な部分、問題の先送りとか外交下手とか変わらないという所に、歴史は繰り返していると思わなくも無かったり。

第1章 アイヌ民族のルーツと展開編 松前藩の卑劣な手口と幕府の無策を暴く
第2章 国学の成立と展開編 明治維新の精神的支柱となった四大人の思想
第3章 幕府外交と天保の改革編 社会を混乱させた頑迷な「祖法大事」政治
第4章 ユートピアとしての江戸編 なぜ、日本の道路舗装率は今でも低いのか
逆説の日本史 17 江戸成熟編 (小学館文庫)逆説の日本史 17 江戸成熟編 (小学館文庫)
(2014/06/06)
井沢 元彦

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テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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