今日の読書 ロスト・ケア/葉真中顕
43人もの命を奪った連続殺人者、死刑の判決を受けることすら、犯人の狙いであったというように始まるミステリーになります。
老人介護、特に認知症と呼ばれる症状を持った老人介護の地獄のような現実、家族の絆という一見すると美しいものすら素直に肯定できなくなる現状。
日本の少子高齢化問題は、分かっていたはずなのにそれが上手く対処出来ないのが現状であり、対策も現実や現場と対策をするいわゆる政治、企業のお偉方との現状認識の乖離によって、上手く噛み合わないまま。
そこに、正義、善意というものが果たしてどう意味を持つのか、それぞれの正義や善意というものはどういった立場の人間が口に出して意味を持つのか、それこそお前が言うなというような身も蓋もない安全地帯の正論と、剥き出しのエゴが社会を回している側面がある市場原理主義的な資本主義社会、医療などを含めた福祉と、利益というものを重要視する事が正しいとされるビジネスとの噛み合わせの悪さ、利益というものに着目した場合の官僚主義的な優遇税制や補助金の基準の噛み合わせの悪さ、それぞれが、それぞれの立場の違いが生み出す社会の齟齬などなど、そういったものを丸飲みにした考えさせられる作品ですね。
世の中金がすべてではない、しかし、同時に金によってどうにでも救われるものもいるし、金が無いというだけで、果てしなく地獄の生活に陥る事もある、それも本人の責任とおっかぶせるには理不尽な理由でいくらでもそうなり得るなど、少子高齢化問題だけでは無く、世代間格差、格差固定社会といった問題点まで明示していたり暗喩していたりと、いくらでも読み方ができて、なおかつミステリーとしてしっかりとまとめてあるというのが凄いですね。
これだけ、テーマを詰め込むとどこかしらとっちらかって全体で気に散漫になってもおかしくないし、飛んでも無く冗長になってもおかしくはない、それを上手くバランスをとって長くなりすぎない形にまとめているのは、本当に新人賞の受賞作なのかと驚きます。
老人介護、特に認知症と呼ばれる症状を持った老人介護の地獄のような現実、家族の絆という一見すると美しいものすら素直に肯定できなくなる現状。
日本の少子高齢化問題は、分かっていたはずなのにそれが上手く対処出来ないのが現状であり、対策も現実や現場と対策をするいわゆる政治、企業のお偉方との現状認識の乖離によって、上手く噛み合わないまま。
そこに、正義、善意というものが果たしてどう意味を持つのか、それぞれの正義や善意というものはどういった立場の人間が口に出して意味を持つのか、それこそお前が言うなというような身も蓋もない安全地帯の正論と、剥き出しのエゴが社会を回している側面がある市場原理主義的な資本主義社会、医療などを含めた福祉と、利益というものを重要視する事が正しいとされるビジネスとの噛み合わせの悪さ、利益というものに着目した場合の官僚主義的な優遇税制や補助金の基準の噛み合わせの悪さ、それぞれが、それぞれの立場の違いが生み出す社会の齟齬などなど、そういったものを丸飲みにした考えさせられる作品ですね。
世の中金がすべてではない、しかし、同時に金によってどうにでも救われるものもいるし、金が無いというだけで、果てしなく地獄の生活に陥る事もある、それも本人の責任とおっかぶせるには理不尽な理由でいくらでもそうなり得るなど、少子高齢化問題だけでは無く、世代間格差、格差固定社会といった問題点まで明示していたり暗喩していたりと、いくらでも読み方ができて、なおかつミステリーとしてしっかりとまとめてあるというのが凄いですね。
これだけ、テーマを詰め込むとどこかしらとっちらかって全体で気に散漫になってもおかしくないし、飛んでも無く冗長になってもおかしくはない、それを上手くバランスをとって長くなりすぎない形にまとめているのは、本当に新人賞の受賞作なのかと驚きます。
![]() | ロスト・ケア (2013/02/16) 葉真中 顕(はまなか・ あき) 商品詳細を見る |