今日の読書 ラスト・ワルツ/柳広司
ジョーカー・ゲームから始まる日本帝国の諜報機関であるD機関のスパイ達が暗躍するシリーズの4作目になります。
日本の軍部の価値観とは相いれないD機関のスパイ達の知的駆け引きを楽しむシリーズですが、今作に収録された3作のうち2作は敵との情報収集合戦であるとか、情報工作に関するものよりも、本当に怖いのは味方による裏切りや、味方に仕掛けられた情報戦であるという事のネタになっています。
D機関は優秀なスパイの集まりとして描かれていますが、実際の歴史を踏まえた歴史小説や時代小説という設定でもありますので、当然第二次世界大戦の日本は敗者になるというのは動かせない事実。
スパイが奮闘してもなお負ける要因がちらついてしまうあたりに、歴史の悲哀を感じますし、当時の日本軍部の主流派の限界というのがチラつかされていたりします。
現在の世界はこの当時以上に情報戦の意味合いが強くなっているというか、実際の戦闘そのものよりも実は情報戦争が常に起こっていると考える方が自然な状況になっていて、現在の日本にはD機関に相当するものがあるのだろうかと心配してしまうくらい、ある種のリアリティがあったりします。
前作のパラダイス・ロストが日本が直接戦争に向かうのを防ぐ事が出来なかったという形のネタが多く、優秀なスパイがいてもダメなものはダメという悲劇的な展開になり、それでシリーズを終わらせるのかなとすら思えたのですが、D機関に所属している人物であるのならば別に時系列にこだわらずにいられるのも、このシリーズなんだなと改めてわかりましたし、私が普段多く読むような基本的なミステリーとは違う切り口の知的ゲームな小説ですし、続いてくれると喜ばしいですね。
日本の軍部の価値観とは相いれないD機関のスパイ達の知的駆け引きを楽しむシリーズですが、今作に収録された3作のうち2作は敵との情報収集合戦であるとか、情報工作に関するものよりも、本当に怖いのは味方による裏切りや、味方に仕掛けられた情報戦であるという事のネタになっています。
D機関は優秀なスパイの集まりとして描かれていますが、実際の歴史を踏まえた歴史小説や時代小説という設定でもありますので、当然第二次世界大戦の日本は敗者になるというのは動かせない事実。
スパイが奮闘してもなお負ける要因がちらついてしまうあたりに、歴史の悲哀を感じますし、当時の日本軍部の主流派の限界というのがチラつかされていたりします。
現在の世界はこの当時以上に情報戦の意味合いが強くなっているというか、実際の戦闘そのものよりも実は情報戦争が常に起こっていると考える方が自然な状況になっていて、現在の日本にはD機関に相当するものがあるのだろうかと心配してしまうくらい、ある種のリアリティがあったりします。
前作のパラダイス・ロストが日本が直接戦争に向かうのを防ぐ事が出来なかったという形のネタが多く、優秀なスパイがいてもダメなものはダメという悲劇的な展開になり、それでシリーズを終わらせるのかなとすら思えたのですが、D機関に所属している人物であるのならば別に時系列にこだわらずにいられるのも、このシリーズなんだなと改めてわかりましたし、私が普段多く読むような基本的なミステリーとは違う切り口の知的ゲームな小説ですし、続いてくれると喜ばしいですね。