今日の読書 逆説の日本史18幕末年代史編1/井沢元彦
井沢元彦のライフワークとなっている逆説の日本史シリーズ、幕末編の一発目というものになります。
逆説の日本史シリーズは、通説としての日本史、いわゆる教科書で習うような一般的に流布され常識化している日本史の弱点をつき、その解釈はおかしいであるとか、そう理解される事は問題なのではないかというスタンスで書かれている物であり、一般的な通説としての最大の弱点として、宗教というものの歴史上の影響力の軽視を上げていますが、この幕末もそれこそ宗教の影響力、ある意味井沢元彦の代名詞的存在である言霊の虚力過ぎる影響と、江戸時代に影響力を増し過ぎた朱子学の主にマイナス面の影響に力点を置き、幕末の徳川幕府の外交を愚劣とボロカスにあげつらい、同時にこれを歴史上の事と笑い飛ばせるものではなく、現在の日本でも当てはまる事があるので注意しなければならないというものにしています。
まず、一般的に信じられているペリーの黒船来航、これが突然何の前触れもなく訪れたかのように信じられている事、これを復すというのが幕末編最初のスタンスになります。
ペリーが来航するまで、アメリカは何度も江戸幕府と交渉もしているし、外交という意味では準備期間も山ほどあった。
それにもかかわらず、問題の先延ばし、信じたくないものは信じないというような状況に陥った事こそが言霊の影響というのに力点を置いて説明ですね。
これに朱子学の影響、朱子学は歴史の捏造機能がもれなくついて来ていて(儒教国の歴史認識が支離滅裂状態なのは、今の日本では結構常識になっているので捏造機能があると言うのも素直に受け入れられると思いますが)鎖国が江戸幕府開始以来守られてきた絶対に侵す事の出来ない祖法であると信じられていたという捏造。
鎖国は三代将軍家光時代から行われていて、家康は普通に海外と貿易していたというのが、いつの間にかすり替わっていて、それを守るために現実を受け入れないという、現代でも法律を守るためならば、国家存亡の危機に陥ったとしてもそれで正しいと喧伝するような人々と同じ愚行をしているという事。
そして、言霊信仰の最大の問題点として、口に出した事は実際に起きるかもしれないという捕らわれがあるせいで、問題が起こる前に対策を立てられない、対策を立てようとする事そのものが、問題を起こさせたい事とすり替わり、結局何もできずに泥縄式の後手後手をしなければいけなくなるという、ある意味手を変え品を変え歴史上の出来事が次々と起きても、ある意味繰り返しというのが延々と書かれています。
逆に、アメリカというかペリーは日本対策をがっちりとやってきたせいで日本は散々やり込められる結果になり不平等条約という大いなる負債を背負う事になるというものになりますね。
朱子学ではなく、孫子の兵法でももっと流行っていれば、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」でもう少し何とかなったのかもしれないというのは私の感想にもなりますが、江戸時代という無類の平和ボケ時代の日本では無理だったんでしょう。
これが連載されていた頃は民主党政権時代で、平和ボケ状況にぴったりの例として中国による尖閣諸島への攻撃という分かりやすいものが併記されていて、言霊信仰の問題点とっ照らし合わせやすくなっていたりしますが、現在の日本と幕末の日本というのは歴史を教訓にするという意味では噛み合わせが良いというか、当時の問題点と現在の問題点がリンクする部分も多く、ある意味書くネタには困らないし、お得意の言霊に問題点を集約しやすいのでノリノリで書いているなというのが素直な感想ですね。
第1章 『前史』としての日米交渉史 前編 オランダ国王開国勧告を拒絶した幕府の思惑
第2章 『前史』としての日米交渉史 後編 日本外交は「嘘つき」で「二枚舌」と喝破したペリー
第3章 一八五四年編 日米和親条約締結で意識的に行った誤訳
第4章 一八五五・五六年編 「徳川の終わり」を印象づけた安政の三大地震
第5章 一八五七編 「倒幕の大功労者」ハリスは何をしたか?
逆説の日本史シリーズは、通説としての日本史、いわゆる教科書で習うような一般的に流布され常識化している日本史の弱点をつき、その解釈はおかしいであるとか、そう理解される事は問題なのではないかというスタンスで書かれている物であり、一般的な通説としての最大の弱点として、宗教というものの歴史上の影響力の軽視を上げていますが、この幕末もそれこそ宗教の影響力、ある意味井沢元彦の代名詞的存在である言霊の虚力過ぎる影響と、江戸時代に影響力を増し過ぎた朱子学の主にマイナス面の影響に力点を置き、幕末の徳川幕府の外交を愚劣とボロカスにあげつらい、同時にこれを歴史上の事と笑い飛ばせるものではなく、現在の日本でも当てはまる事があるので注意しなければならないというものにしています。
まず、一般的に信じられているペリーの黒船来航、これが突然何の前触れもなく訪れたかのように信じられている事、これを復すというのが幕末編最初のスタンスになります。
ペリーが来航するまで、アメリカは何度も江戸幕府と交渉もしているし、外交という意味では準備期間も山ほどあった。
それにもかかわらず、問題の先延ばし、信じたくないものは信じないというような状況に陥った事こそが言霊の影響というのに力点を置いて説明ですね。
これに朱子学の影響、朱子学は歴史の捏造機能がもれなくついて来ていて(儒教国の歴史認識が支離滅裂状態なのは、今の日本では結構常識になっているので捏造機能があると言うのも素直に受け入れられると思いますが)鎖国が江戸幕府開始以来守られてきた絶対に侵す事の出来ない祖法であると信じられていたという捏造。
鎖国は三代将軍家光時代から行われていて、家康は普通に海外と貿易していたというのが、いつの間にかすり替わっていて、それを守るために現実を受け入れないという、現代でも法律を守るためならば、国家存亡の危機に陥ったとしてもそれで正しいと喧伝するような人々と同じ愚行をしているという事。
そして、言霊信仰の最大の問題点として、口に出した事は実際に起きるかもしれないという捕らわれがあるせいで、問題が起こる前に対策を立てられない、対策を立てようとする事そのものが、問題を起こさせたい事とすり替わり、結局何もできずに泥縄式の後手後手をしなければいけなくなるという、ある意味手を変え品を変え歴史上の出来事が次々と起きても、ある意味繰り返しというのが延々と書かれています。
逆に、アメリカというかペリーは日本対策をがっちりとやってきたせいで日本は散々やり込められる結果になり不平等条約という大いなる負債を背負う事になるというものになりますね。
朱子学ではなく、孫子の兵法でももっと流行っていれば、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」でもう少し何とかなったのかもしれないというのは私の感想にもなりますが、江戸時代という無類の平和ボケ時代の日本では無理だったんでしょう。
これが連載されていた頃は民主党政権時代で、平和ボケ状況にぴったりの例として中国による尖閣諸島への攻撃という分かりやすいものが併記されていて、言霊信仰の問題点とっ照らし合わせやすくなっていたりしますが、現在の日本と幕末の日本というのは歴史を教訓にするという意味では噛み合わせが良いというか、当時の問題点と現在の問題点がリンクする部分も多く、ある意味書くネタには困らないし、お得意の言霊に問題点を集約しやすいのでノリノリで書いているなというのが素直な感想ですね。
第1章 『前史』としての日米交渉史 前編 オランダ国王開国勧告を拒絶した幕府の思惑
第2章 『前史』としての日米交渉史 後編 日本外交は「嘘つき」で「二枚舌」と喝破したペリー
第3章 一八五四年編 日米和親条約締結で意識的に行った誤訳
第4章 一八五五・五六年編 「徳川の終わり」を印象づけた安政の三大地震
第5章 一八五七編 「倒幕の大功労者」ハリスは何をしたか?