地下室で手記 2015年12月11日

今日の読書　アイアン・レディ／二階堂黎人

人間の刑事と女性アンドロイドのコンビが事件を解決するという近未来ＳＦの設定を使ったアクション満載のミステリー小説のシリーズ１作目になります。

二階堂黎人はいわゆる本格ミステリー小説でデビューして、かなりマニアックな方面の作品が多いですが、同時に手塚治虫マニアとしても有名であり、その影響の強いＳＦ小説も出していますが、新たにＳＦ刑事物のシリーズを開始するという事になって、ある意味メインのコンビの初顔合わせと近未来の設定の紹介を兼ねた形の作品になっています。

手塚治虫作品の元ネタとする小ネタは私が詳しくはないので分からないのですが、石ノ森章太郎作品を元ネタとする小ネタは有名すぎるというのもあり、気付いたものもありますね。

基本私はＳＦものは小説で読むのを苦手としていますが、近未来とはいえ現代の状況からイメージしやすいものにとどまっていて、楽に読むことができました。

ＳＦではあるものの、ミステリーの手法がメインで私が慣れているからというのもあるかもしれないですし、１作目ということで、このシリーズの世界観の説明を丁寧にしておこうという意図があるからかもしれないですね。

二階堂黎人は本来メインのシリーズとして二階堂蘭子のシリーズがありましたが、このシリーズの中のシリーズともいえる、魔王ラビリンスとの対決の締め方が正直残念な結果になってしまい、今後どうなるんだろうと思ったのですが、新シリーズの出足は悪くはないですね。

二階堂蘭子のシリーズも魔王ラビリンス後の新たな展開の出足は見せているので、まだ持ち直す可能性はありますけれども、ちょっと期待値は落ちてしまっているので、持ち直さないようならば新たなシリーズで立て直してくれえばいいかなって。

たぶんノンシリーズもののクロノ・モザイクは面白かったので、ガチガチの本格ミステリーよりはＳＦ要素のあるものの方が実はいいアイディアがあるのではないかと予想もできますね。