FC2ブログ

今日の読書 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告/エマニュエル・トッド

フランスの歴史人口学者による現在のヨーロッパの問題点を分析すると、いかにドイツが元凶となっているかという事が分かるというのを狙って刺激的に説明したインタビュー記事をまとめた本になります。

ヨーロッパに限らず、現在世界中できな臭い感じになっていて、きっかけによっては大惨事が起こりえる、実際に中東はすでに大惨事になっているという状況ですが、日本が今考えなければいけないことは、いかに大惨事を日本に招き入れないか、そしていかに上手く立ち回って今度こそは悪の枢軸の汚名を着せられないようにするかと言うことだと思っています。

私は戦争は反対ですが、有史以来規模の大小問わなければ地球上から戦争が絶えたことはないよねという考え方から世界平和は祈るけれども、まぁ無理だからせめて日本人ならば日本だけでも平和ならばそれでいいだろうというかそこまでを考えるのが限界だろうという考え方になっていると言うだけなんですよね。

それはそれとして、著者もまず考えるのは愛する祖国であるフランスのことであり、そのフランス視点から見て、ヨーロッパを不安定化させている元凶はドイツであると分析しているものであり、同時にフランスがドイツに隷属している形になっていることを嘆きまくっています。

ドイツがヨーロッパを牛耳る形になった元凶は、当然のごとく統一通貨ユーロの存在。

ユーロの恩恵を受けているのはドイツであるという説明は、経済系の本を読んだ時にも書いているので今更ですが、その恩恵をドイツだけが受けた結果、ドイツは相対的に経済が好調、アメリカはかつての強大国から現在徐々に弱体化に向かっており、それを受けてドイツは脱アメリカを狙い始めている。

二次大戦以降、好むと好まざるを関係なくアメリカが中心となって一応の安定を保ってきたわけですが、そのキーとなるのがアメリカがヨーロッパではドイツ、太平洋では日本を抑えていたから。

両国とも第二次世界大戦の敗戦国ですが、同時に復興後は工業国として躍進。

アメリカを中心とした世界というのは、価値観という意味では自由主義を絶対的なものとするというのがありますが、ドイツも日本もアングロサクソン的な価値観としての自由主義とは伝統的に別の価値観である、権威主義的傾向があり、これが強まると価値観がぶつかり合うという分析をしています。

面白いのは、ドイツの権威主義と日本の権威主義を似て非なるものとして分析しているという事。

ドイツは工業国としての成功の裏に、ドイツ圏とも言える東欧諸国を下請け扱いにして囲い込みをしておいしい思いをしてきて、それが帝国主義的拡大主義の相似形をなしているというのに対し、日本は権威主義の傾向はありながらも、伝統的に人に迷惑をかけるのを極端に嫌う傾向があり、二次大戦以降まではともかく、敗戦後完全に帝国主義的拡大主義は見ることができないという分析。

ここら辺は、実は他国と地続きな大陸的な文化と島国という文化の違いかもしれませんが、あくまでもドイツ批判の引き立て役として日本が扱われているだけなので特に触れられてはいないのがやや残念。

ドイツの危険性を指摘すると同時に、ドイツの危険性はスルーされているのに、ロシアの危険性に過剰に反応する事への批判も多めに捕っています。

いわゆるかつての東西という単純な分け方は本質を見誤るとして、ロシアを批判するためにドイツの危険性に目が向かない事への警鐘だらけだったりもします。

フランスの価値観とドイツの価値観が相容れない部分が多く見える、隣国だからこそ差異がよく分かるというのがあるのでしょうが、非常に面白い分析の1つでした。

実際問題、ドイツが本当に世界を破壊させるのかどうか分かりませんし、誰が味方で誰が敵になるのか、一寸先は闇みたいなものになるのがよくあることですが、とりあえずドイツの動向については注視しておくに超したことは無いとは思います。

ドイツが脱アメリカをしている感じは、メルケル首相の中国への接近なんていうのを見ても分かりますし、そんな中でのVWの不祥事祭なんていうのも、某かのきっかけになり得るものですし、何よりもドイツは世界で唯一、世界大戦2連敗という無類の逆クラッチプレイヤーぶりを持った国でもありますからね。

これを読んでドイツという国を嫌いにはなりませんが、少なくとも戦争になった時に手を組むかどうかは慎重にしたい相手であることは確かですよね。

1 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
   自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
   ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ
   ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
   アメリカとEUの産業上の不均衡
   アメリカと「ドイツ帝国」の衝突

2 ロシアを見くびってはいけない
3 ウクライナと戦争の誘惑
4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
5 オランドよ、さらば! 銀行に支配されるフランス国家
6 ドイツとは何か?

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

おまけ

カレンダー
12 | 2016/01 | 02
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

茶留蔵

Author:茶留蔵
心身ともに不健康で知性が大いに不自由な社会不適合者

タグ
おまけ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
現在の閲覧者数:
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示
ニューリリース
メタル
QRコード
QR
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる