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今日の遺作 ★/DAVID BOWIE

デヴィッド・ボウイの今年1月8日にリリースされた3年ぶりの最新アルバムにして遺作となった作品になります。

発売2日後の1月10日に突然の死去で、一体何が起きているのか分からない状況であったりしましたが、実は癌による闘病生活をしていたというのは後になって明かされました。

この死去のニュースを目にした時には、この最新作を2~3度通しで聞いただけで、まだ解説も読んでいなければ歌詞の中身も読んでいない、作られたMVも目にしていないという中、ただただこのアルバムはデヴィッド・ボウイらしい新しいことをしようとする実験性が感じられ、まだまだ健在だなというようにしか思っていませんでした。

前作の『The Next Day』は10年ぶりに新作発表、しかも引退説が語られていた中で突然の復活、この情報化社会の中でよくぞ隠し通せたものだという驚きと同時に、10年間にたまっていたものを吐き出した感のあるボリュームのあるアルバムにいろいろと思うものがあったりしました。

今作は曲数も7曲と少なめでアルバム全体の長さも短く、それが故に3年ぶりという間を置かない感じと共にこれからまだまだ健在ぶりを発揮し続けるための作品だと勝手に思えるものでした。

前情報無しで聞いていたので、レコーディングに携わったのがジャズミュージシャンであったというのは知らず、ジャズに詳しくない私はプログレッシブ・ロックの流れを感じ、デヴィッド・ボウイのアルバムとしては『Scary Monsters』がよぎっったというか、不協和音による不安を煽る感じが似ていると思ったのと、『Scary Monsters』にはキング・クリムゾンのロバート・フリップが参加していたという後付けの知識からも余計にプログレっぽく感じたというのもあるのでしょう。

そして、プログレっぽいというだけで、実験作や先進性という先入観が私の浅い知識にはすり込まれているので、余計にデヴィッド・ボウイが闘病生活の中で作ったアルバムという事を感じ取らなかったというのもあるのかもしれないですね。

ただし、歌詞を聞いただけで分かっていれば違った印象を持っていたでしょうし、死を知る前にMVを目にしていたらば、ものすごく死を意識させられて不安定な心地が強まっていたかもしれません。

返す返すもアルバム発売と時を同じくして訃報を目にしなくてはいけなくなった事が不幸だったと。

1曲目のアルバムと同じタイトルの★、こういう記号をタイトルにするという思わせぶりなところがいかにもらしい作品ですが、10分近い曲は映像が荒廃した世界で不安を煽るような所から後半何かしらの救いを感じられるようなポップな曲に転換し、またもや荒廃したところに戻っていくというドラマチックな構成ですが、I'm a blackstarと連呼されると、デヴィッド・ボウイの異星人感が強まるというか、本当に人間じゃ無くて★なのかもしれないという説得力がありすぎるというか、訃報がなければそこまで考えなかったですが。



2曲目の'Tis a Pity She Was a Whoreが最初に聞いたときに一番ひっかかりのあった曲で、気分を不安定にするサックスがプログレっぽいというイメージを強めた曲であり、こういう曲があるからデヴィッド・ボウイはまだまだ現役だと私が勝手に思ったりもしたんですよね。

曲のタイトルは17世紀に書かれた劇作のタイトルからとっていて曲全体もその影響下にあるらしいのですが、私は全く知りません。



3曲目のLazarusこのMVがデヴィッド・ボウイが死を覚悟したなかで作られたものとして闘病を暗示させるにもほどがあるとして死後に話題になったものですが、このMVによる死のリアリティったらないというか、癌と闘病しながらもこれだけのことをしているデヴィッド・ボウイの鬼気迫る表現者としての魂がすさまじすぎるなぁと。



4曲目のSue (Or In a Season of Crime)は2014年にシングルとして発表されていた曲の


新ヴァージョンになるのですが、the x-ray's fine、X戦に問題は無いという歌詞があると何か深読みしたくなるという。



5曲目のGirl Loves Meではcheenaと中国人を呼ぶ俗語が連呼されていたりするのですが、China girlという曲が頭をよぎったり、cheenaと俗語にするとより支那って感じがして、イギリス人のデヴィッド・ボウイだからクレームを入れられないだろうけども、日本人がこの曲をカバーしたりしたらば、人種差別扱いで猛烈にクレームが来そうという余計な事が頭をよぎりました、本当に余計な事ですが、China girlも歌ったのがデヴィッド・ボウイじゃなければ、猛烈に抗議されそうなきわどい感じなんですけれども、変に政治的な事をからめるのも野暮ですね。



6曲目のDollar Daysは緊迫感のある曲が続いてきた中での一服の清涼剤っぽい曲になっていますが、詞をを読むとなんだか人生の精算をしているのか?と思わなくない感じに。

どうとでもとれるようにぼかしていながらも狙っているんだろうなぁというのもデヴィッド・ボウイだから。



ラストの I Can't Give Everything Awayはタイトルからして遺言のように感じてしまうのもまた深読みかもしれないですね、ただ全ては与えられないとしながらも、実は全て伝えようとしてきたよというメッセージにとる人も当然いると計算はしているのではないか、キャッチーな曲で煙に巻いてもいますが、ストレートにメッセージを提示するよりもよっぽど伝わるのではないでしょうか、歌詞を見るまでは私は気付かなかったですし、キャッチーな締めくくりの曲に次作を期待していたものなんですよね。



最もメジャーなカルトヒーローにして20世紀で最も影響力のあるアーティストがこの世からいなくなってしまったのは1つの時代が終わりを告げている証拠かもしれないですね。

その遺作となった本作、訃報を知る前にこの『★』は『Scary Monsters 』をどこか想起させるアルバムだと勝手に思っていたのは、私が無意識のうちにデヴィッド・ボウイが日本と関わりが深いというのを嬉しく思う事を感じ取っていたのかもしれないですね、『Scary Monsters 』の1曲目の『(It's No Game (Part1)』は日本語ナレーションみたいなのが入ってる曲ですし、そもそも出火吐・暴威なんていう漢字表記までもっているような人でしたし。


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