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今日の読書 敗者烈伝/伊東潤

歴史上敗者と呼ばれる人物を主人公に据えた歴史小説を書く傾向の高い伊東潤による、敗者の要因について扱ったエッセイになります。

歴史の教訓から学ぶ事の重要性は大きいと思いますが、勝者よりも敗者から学ぶ事の方が得る物がある。

勝者を分析してまねる事というのは、条件次第で真似しようがない部分があるのに対して、敗者から学ぶ、失敗から学ぶ方は普遍性が高いというのはあると思います。

歴史上栄華を極めた存在が敗者として転がり落ちる要因というのは、油断という身も蓋もないものが多く、その油断の仕方も自信過剰、成功体験への囚われ、他人に対して興味が薄く空気が読めなかったり、増長し過ぎて必要以上に敵を作る、自分の行動は絶対正義としすぎて柔軟性に欠く、などなど枚挙にいとまが無いわりに、そのまま現代社会でいくらでも置き換え可能なものがありますね。

成功体験への囚われとか、大企業病や組織の官僚化といったものにそのまま当てはまりますし。

そういった敗者の失敗はどのようにして起きたのか、分岐点となる分かりやすいものはあったのか、そもそも敗者になりやすい立場にいたのか、敗者になったが故に必要以上に無能扱いされてしまっているのではないか、などなど興味深く読む事ができますね。

そして、扱っている人物を主人公とした小説がかなり被っていたりもしますので、もっと詳しく知りたい人向けに自著も宣伝していたりするのは、元々新聞連載だったからこそですかね、告知込みの仕事だったと(笑)

逆に今後本著で扱いながら、小説で書いていない人物を主人公にする作品が出るのかどうかというのも興味のあるところですね、古代とか難しそうですけれども、古代で扱っている人物は蘇我入鹿だけですね。

第1章 古代・平安・源平
  古 代 蘇我入鹿 頂点から一気に没落した国際派
  平 安 平 将門 調子に乗りすぎた野心家
  平 安 藤原頼長 厳格に過ぎた摂関政治への護持者
  源 平 平 清盛 事を急ぎすぎてすべてを失った独裁者
  源 平 源 義経 己の力量を過信した天才武将
  コラム 勝者烈伝 源 頼朝 恐妻家の墓穴

第2章 南北朝・室町
  南北朝 高 師直 建武の新政をぶち壊した婆娑羅者
  南北朝 足利直義 愚兄への甘えから墓穴を掘った賢弟
  室 町 太田道灌 己の手腕を恃みすぎた大軍略家
  室 町 足利義政 戦国時代を招いた無気力将軍
  コラム 勝者烈伝 足利尊氏 気分屋、天下を取る

第3章 戦国・江戸
  戦 国 今川義元 一瞬油断が命取りになった海道一の弓取り
  戦 国 武田勝頼 人間洞察力に欠けた最強の侍大将
  戦 国 織田信長 己を克服できなかった史上最強の英傑
  戦 国 明智光秀 白と黒の二面性を併せ持った謀反人
  戦 国 北条氏政 慎重さが足枷となった名家の四代目
  戦 国 豊臣秀次 独裁者に操られた悲劇の後継者
  戦 国 石田三成 有能でありながらも狭量の困った人
  江 戸 豊臣秀頼 時代の波に押し流された賢き人
  江 戸 天草四郎 勝算なき戦いに駆り出された美少年
  コラム 勝者烈伝 徳川家康 敵を知り、己を知れば

第4章 幕末・明治
  幕 末 松平容保 援軍に利用されて捨てられたお殿様
  幕 末 徳川慶喜 思いつきで動き回って自滅した小才子
  幕 末 大鳥圭介 最後まであきらめない理系指揮官
  幕 末 榎本武揚 薩長政府に徹底抗戦した気骨の人
  明 治 江藤新平 正義を貫きすぎた硬骨漢
  明 治 西郷隆盛 肥大化した人望にのみ込まれた人格者
  明 治 桐野利明 西郷への敬愛に準じた最後の志士
  コラム 勝者烈伝 大久保利通 そして誰もいなくなった

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