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今日の読書 プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア 小泉悠

現在世界中を見回してみて、存在感のある政治家としてプーチンほど長い間その地位を守ってきた人はいないのではないかと思います。

最初に大統領になったのが2000年ですから、そこからずっと1度大統領を任期満了しておきながら、首相になってなおかつ大統領に再選するという荒技を使って国家元首を続けてきているというだけで、ある意味驚きですが、そのおかげでプーチンに絡んだ書籍も沢山目にしてきました。

いろいろと読んできた中でも私もまだまだ知らない事だらけだなと本書を読んで思わされたのは、プーチンに力点は置いていますが、基本ロシアの現状分析とロシアを分析する上での前提条件として、思考そのものの根本的な違いを軸に、軍事や安全保障をメインに扱っているという事ですね。

どうにも、軍事系の知識は疎いので理解しきれていないのですが、ロシアの過大評価してもいけないし、過小評価してもいけない感はありありと伝わってきますね。

筆者が前に読んだ『大国の暴走』という米中露という大国が暴走する理由というのを、座談会形式でまとめたものの、ロシア担当だったということで、被る部分があるのですが、そのおかげでロシアの国家概念の違い、いわゆる国境線で別の国という近代国家のお約束ではなく、勢力圏という概念と、ソ連解体から勢力圏が削られていく事への危機感というのは、覚えておかなければいけないことだと理解を助けてくれましたし、ハードパワーとソフトパワーという概念の西側諸国との違い、ハードパワーというベタな軍事力とソフトパワーという文化的な影響力という一般的な西側諸国の使い方と違い、ロシアのソフトパワーはベタな軍事力ではない形での武力行使、テロリストや一般人の暴動というかたいのものと想定しているという事。

認識の違いを理解しておくというのは、改めて重要ですし、日本とロシアの連携が仮に強くなるにせよ、価値観を共有していないという理解をもっておいて、互いに都合の良い解釈のしあいにならないようにすることは大事だよなと思わされるものですね。


序 章 プーチンの目から見た世界
第1章 プーチンの対NATO政策
     1ロシア軍の復活
     2NATOに対する「弱者の戦略」
     3ロシアの軍事力を支える「介入」と「拒否」
第2章 ウクライナ紛争とロシア 「ハイブリッド戦争」の実際
     1「ハイブリッド戦争」の方法論
     2クリミア半島電撃戦
     3泥沼化するドンバス紛争 もう1つの「ハイブリッド戦争」
     4ロシアにとっての「ハイブリッド戦争」
第3章 「核大国」ロシア
     1ロシアと「核なき世界」
     2積極隠しようドクトリンへの傾斜?
第4章 旧ソ連諸国との安易ならざる関係
     1不信の同盟CSTO
     2「同盟」のレゾンデートル
     3ミンスクに「礼儀正しい人」が現れる日
第5章 ロシアのアジア・太平洋戦略
     1日中露の三角関係
     2極東ロシアの軍事力
第6章 ロシアの安全保障と宗教
     1宗教をめぐるポリティックス
     2ロシアの安全保障と「イスラム・ファクター」
     3「イスラム国」とロシア
第7章 軍事とクレムリン
     1「シロヴィキ」の台頭
     2シロヴィキをめぐる軋轢
     3「国家親衛軍」をめぐって
第8章 岐路に立つ「宇宙大国」ロシア
     1宇宙作戦能力の回復
     2宇宙産業の建て直しはなるか
     3もう1つの重要課題 外国依存からの脱却

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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