今日の読書 ユニクロ潜入一年/横田増生
『ユニクロ帝国の光と影』という著書を出版したとたん名誉毀損で訴えられ、その裁判では勝訴を勝ち取ったものの、ユニクロ側からは全ての取材拒否を受けることになった著者が、柳井社長の実際にユニクロで働いてみればブラック企業では無い事が分かるだろという言葉を挑戦状だと受け止めて、結婚していた妻と離婚をしたあと、旧姓に戻した妻と再婚をするという手段を使って本名を変更し、立場を隠してユニクロにバイトとして潜入取材をするという留ポタージュになります。
このバイトをした1年間で得た結論は、結局ユニクロ帝国というのは、間違いではなく柳井社長の完全なるワンマン企業であり、トップダウンという命令系統はあるがボトムアップは全く反映されず、それでいて社員には働くということは考えて人より何倍も働くことだという価値観をおしつけ、たとえ不合理であっても、その不合理な条件を改善することを巻がさせるのではなく、トップからの指示を忠実にこなすことを考えろというものでしかないというものになります。
ブラック企業、やりがい搾取という日本にはびこるデフレスパイラルを象徴するようなもの、これからの日本がデフレスパイラルから脱却して、成長型インフレへとシフトする理想的な未来を歩めるのかどうか、少子高齢社会という条件の下ではなかなか厳しい問題ではあるものの、厳しいからと言って諦めたらそこで試合終了ですよというくらい正念場になっていることは確かだと思います。
実際問題、ブラック企業がはびこり過ぎて、労働者を使い捨て状態にし過ぎた結果、捨てるだけの労働者人口が減ってしまい人手不足が幅を利かせるような段階へと転換してきています。
ブラック企業が注目を浴びるようになったのは、掃いて捨てるほどの労働者がいなくなったことと、全面的に指示するかどうかは横に置いて、政府が緊縮財政こそ正義という財政再建至上主義から転換し財政政策と金融政策をガッツリと政府主導で行ってデフレスパイラル脱出を目指そうという表看板を入れ替えた影響が出ていることにより、欲しがりません勝つまでは精神を押しつけることに無理が出てきたという事、ブラック企業がブラック企業であり続ける甘えが通用しなくなってきているという現状があるというのはあるのでしょう。
ユニクロが企業としてもの凄い勢いで成長した事実は全てが労働者を搾取した結果だとする事は無理があり、実際問題右肩上がりに成長していた時は社長の判断力も冴えていた部分があるのでしょう。
しかし、その過去の栄光に囚われて完全に回りがイエスマンばかりになってカリスマ扱いを飛び越えて宗教じみている状況、ちょうど潜入取材をしていた時期は、ユニクロが値上げを決めた影響で売り上げが露骨に落ちていた時期であり、その値上げを決めたのが社長であったにもかかわらず、値上げが失敗という結論だけは絶対に議題にせず店舗業務に問題があるという結論ありきで全てを進めていた結果、現場が疲弊しまくるという悪循環になるという状況に陥るという。
筆者は、むしろそういった現場に立ち会えば立ち会うほど、ネタとして書けるという手応えを掴んでいくのが読んでいて分かりますが、同時に現場の人間が悉く疲弊しているのを、絶対的なトップダウンのせいで微妙な改善すらできなくてもどかしく思っているところなど、ユニクロで働くことのみで生計を立てている人には救いがないじゃんとなっていうるのが、ひしひしと伝わってきます。
潜入取材ということで、1つの店舗で働いただけでは偏りがあると3つの店舗で働いているのですが、狙ったようにイオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、ビックロ新宿東口店と徐々にブラック度合いが大きくなっていくのが面白いところであり、ビックロ新宿店に関しては前に勤めた2つの店舗はブラック企業の部分にだけ力点を置くのではなく、それなりに良い面も書かれているのに、ほぼほぼ最悪なことしか起こっていないという、これが働く順番が変わっていたらどうなっていたのかと思うくらい。
まぁこれを踏まえて、多かれ少なかれ働くということはこういうものだろう甘えるなと考えるか、こういう企業がはびこる世の中ってどうなんだろうと考えるか、この取材って本当の事を書いているのかどうか怪しいよねって考えるか、それは人それぞれでしょうね。
私は感謝祭というイベントでの目の回るような状況というのを読んでしまうと、感謝祭どころか普段からゆとりを持って働いて欲しいというようにしか思えないので、忙しくさせないであげようと心から誓いました。
序 章 突きつけられた解雇通知
第1章 柳井正社長からの“招待状”
第2章 潜入取材のはじまり イオンモール幕張新都心店1(2015年10月~11月)
第3章 現場からの悲鳴 イオンモール幕張新都心店2(2015年12月~2016年5月)
第4章 会社は誰のものか ららぽーと豊洲店(2016年6月~8月)
第5章 ユニクロ下請け工場に潜入した 香港NGO
第6章 カンボジア“ブラック告発”現地取材
第7章 ビックロブルース ビックロ新宿東口店(2016年10月~12月)
終 章 柳井正社長への“潜入の勧め”
このバイトをした1年間で得た結論は、結局ユニクロ帝国というのは、間違いではなく柳井社長の完全なるワンマン企業であり、トップダウンという命令系統はあるがボトムアップは全く反映されず、それでいて社員には働くということは考えて人より何倍も働くことだという価値観をおしつけ、たとえ不合理であっても、その不合理な条件を改善することを巻がさせるのではなく、トップからの指示を忠実にこなすことを考えろというものでしかないというものになります。
ブラック企業、やりがい搾取という日本にはびこるデフレスパイラルを象徴するようなもの、これからの日本がデフレスパイラルから脱却して、成長型インフレへとシフトする理想的な未来を歩めるのかどうか、少子高齢社会という条件の下ではなかなか厳しい問題ではあるものの、厳しいからと言って諦めたらそこで試合終了ですよというくらい正念場になっていることは確かだと思います。
実際問題、ブラック企業がはびこり過ぎて、労働者を使い捨て状態にし過ぎた結果、捨てるだけの労働者人口が減ってしまい人手不足が幅を利かせるような段階へと転換してきています。
ブラック企業が注目を浴びるようになったのは、掃いて捨てるほどの労働者がいなくなったことと、全面的に指示するかどうかは横に置いて、政府が緊縮財政こそ正義という財政再建至上主義から転換し財政政策と金融政策をガッツリと政府主導で行ってデフレスパイラル脱出を目指そうという表看板を入れ替えた影響が出ていることにより、欲しがりません勝つまでは精神を押しつけることに無理が出てきたという事、ブラック企業がブラック企業であり続ける甘えが通用しなくなってきているという現状があるというのはあるのでしょう。
ユニクロが企業としてもの凄い勢いで成長した事実は全てが労働者を搾取した結果だとする事は無理があり、実際問題右肩上がりに成長していた時は社長の判断力も冴えていた部分があるのでしょう。
しかし、その過去の栄光に囚われて完全に回りがイエスマンばかりになってカリスマ扱いを飛び越えて宗教じみている状況、ちょうど潜入取材をしていた時期は、ユニクロが値上げを決めた影響で売り上げが露骨に落ちていた時期であり、その値上げを決めたのが社長であったにもかかわらず、値上げが失敗という結論だけは絶対に議題にせず店舗業務に問題があるという結論ありきで全てを進めていた結果、現場が疲弊しまくるという悪循環になるという状況に陥るという。
筆者は、むしろそういった現場に立ち会えば立ち会うほど、ネタとして書けるという手応えを掴んでいくのが読んでいて分かりますが、同時に現場の人間が悉く疲弊しているのを、絶対的なトップダウンのせいで微妙な改善すらできなくてもどかしく思っているところなど、ユニクロで働くことのみで生計を立てている人には救いがないじゃんとなっていうるのが、ひしひしと伝わってきます。
潜入取材ということで、1つの店舗で働いただけでは偏りがあると3つの店舗で働いているのですが、狙ったようにイオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、ビックロ新宿東口店と徐々にブラック度合いが大きくなっていくのが面白いところであり、ビックロ新宿店に関しては前に勤めた2つの店舗はブラック企業の部分にだけ力点を置くのではなく、それなりに良い面も書かれているのに、ほぼほぼ最悪なことしか起こっていないという、これが働く順番が変わっていたらどうなっていたのかと思うくらい。
まぁこれを踏まえて、多かれ少なかれ働くということはこういうものだろう甘えるなと考えるか、こういう企業がはびこる世の中ってどうなんだろうと考えるか、この取材って本当の事を書いているのかどうか怪しいよねって考えるか、それは人それぞれでしょうね。
私は感謝祭というイベントでの目の回るような状況というのを読んでしまうと、感謝祭どころか普段からゆとりを持って働いて欲しいというようにしか思えないので、忙しくさせないであげようと心から誓いました。
序 章 突きつけられた解雇通知
第1章 柳井正社長からの“招待状”
第2章 潜入取材のはじまり イオンモール幕張新都心店1(2015年10月~11月)
第3章 現場からの悲鳴 イオンモール幕張新都心店2(2015年12月~2016年5月)
第4章 会社は誰のものか ららぽーと豊洲店(2016年6月~8月)
第5章 ユニクロ下請け工場に潜入した 香港NGO
第6章 カンボジア“ブラック告発”現地取材
第7章 ビックロブルース ビックロ新宿東口店(2016年10月~12月)
終 章 柳井正社長への“潜入の勧め”