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今日の読書 図説フランス革命史/竹中幸史

フランスでマクロン政権に対する大規模デモが起きたという事で、フランスというだけでとりあえず革命でも起きるのかと思ってしまうくらいフランス革命というものの知名度は高いとh思うのですが、実はぼんやりとした知識だけしか持ち合わせていないのに気付き(あまねく持ち合わせている知識はぼんやりとしたものだけですが)とりあえず、一般向けにまとめられたものでも読み直すかと思い手に取りました。

最新の学術成果を踏まえているからというのも関係するとは思いますが、かつてと比べて単純な階級闘争史観な分析は姿を消していて、日常生活に困窮した者達がそれに対して立ち上がり、倒すべきものははっきりしているけれども、倒し方、落としどころ、倒したあとのことなどについては、まとまりがなく、まとまりを作るためにとりあえず地域的な繋がりが出来たり、身分的な繋がりが出来たりしながら動きだし、手段と目的がその都度入れ替わったり、手段も目的も統一見解が出来ていなかったり、むりやり統一感を作ろうとして、全体主義恐怖政治へと向かったりと、短期間の大激動と結局近代以降、フランス革命ほど血腥い事まで針が振りきれることこそ減っているものの、似たような事を繰り返していると確認する事になった気分ですね。

旧体制であるアンシャン・レジームを否定するにしても部分否定から全否定まであまねくありますが、全否定を表看板に掲げるとある意味何も考えずに勢いで突破できるというところから、部分否定で済まそうとする人間を日和ったと攻撃し、その攻撃している事による全能感に陶酔して殺戮祭に容易に移行出来るという当たり、現代の日本でも容易に目にすることが出来るというか、全肯定か全否定かの二択で物事を考える状況って改めて恐ろしなと。

フランス革命もアンシャン・レジーム全否定、キリスト教全否定というところまで突っ走り、そのために看板の付け替え、宗教由来の地名から宗教性を排除、暦も宗教由来だからと1週間の区切りを変えたり、月の名前も全面改定なんてして混乱を引き起こし、結局使い勝手が悪かったからとあっさりと戻してみたりとか、革命によって生活の困窮状態から脱することを期待する一般庶民の願いは横に置かれて権力闘争をするとか、揺り戻して王政復古へ向かってみるとか、この時代のフランスにいたくないと本気で思えるものですが、冷静に見ると現代でも似たような事だらけだなと、革命か保守かどちらかが正義でどちらかが悪というような分析をしないように学者はなっているでしょうが、一般人は単純に善悪二元論に飛びつきますし、フランス革命の時代は新聞というものが一気に発展し、売り上げを競うように分かりやすくイラスト入りで書かれるようになったり、主観丸出しで煽っていたりとか、今でも十分に同じ事をやっていると、知れば知るほど人間のやることはそれほど変らないものだなと。

この時代の登場人物となると、マリーアントワネットとルイ14世とか16世とかナポレオンくらいしか名前を知らないようなものでしたが、ロビス・ピエールという当時の人権派弁護士出身者が革命後、ある意味暴走する理想論者という形の独裁者となって、粛正の嵐を起こしていたというのを目にすると、個人的に弁護士出身の政治家は、何かというと対立関係で物事を薦めようとする癖が目に付きやすく限界があり、弁護士だらけの政府や政党というものは無理があるという持論を持っているので(日本の政治家の多くが法学部に偏っている事が経済政策の面で大いに問題になっているという持論もありますが)ロビス・ピエールという歴史上の人物が私の持論を補強してくれているという事で、これからは人権派弁護士出身者の政治家はまるでロビス・ピエールの生まれ変わりという目で見るというのもいいのかなと思う次第。

歴史は繰り返すというほど、全く同じ事を繰り返すとは思いませんが、フランス革命というのは近代の出発点的な意味合いがあると考えると、近代の問題点の縮図として知識を持ち合わせておくというのは大事だなと改めて思えましたね。

それ以前に、フランス革命についての前知識がなさ過ぎであった自分が一番問題だと思いますが。

第 1章 揺らぐ「絶対王政」
第 2章 世論の誕生
第 3章 一七八九年の成果
第 4章 九一年体制 革命は終わらない
第 5章 新生への希望 市民のまわりでいったい何が変ったのか
第 6章 第一共和政と国王の死
第 7章 反革命とジャコバン独裁
第 8章 革命礼拝 非キリスト教化、英雄伝説、愛国教育
第 9章 独裁の神経網 実働部隊としての地方ジャコバン=倶楽部
第10章 テルミドールの反動 被害者は誰?
第11章 革命の軟着陸 総裁政府、そしてブリューメルのクーデタへ
第12章 長い革命 十九世紀における大革命の「記憶」

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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