今日の読書 本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想/三好範英
基本的に私はいわゆるグローバリズムというものに懐疑的というか、歯止めの利かない行きすぎたグローバリズムは危険という扱いをしています。
少なくとも行きすぎたグローバリズムというものは、行きすぎたナショナリズムと同じ土俵で批判すべきものであり、いかに極端に行きすぎないようにするかが重要であって、グローバリズムを善ナショナリズムを悪というような単純な二項対立構造で理解させるような世論誘導はそのままナショナリズムを絶対善と扱うことと同義語であることは理解しておくべきだと思っています。
現在のヨーロッパはEUという組織、統一通貨のユーロというものを中心に各国の伝統や差異を軽視し、同じヨーロッパだし分かり合える世界としてまとまることが出来るという理想論によってまとめられ、その理想論がさらに歯止めをなくし移民難民も分かり合える存在だから受け入れることこそ善であり、反対するのは差別主義者というレッテルを貼って暴走してしまっているように見受けられます。
思想的な右左どっちもスタンスそのものは本来善悪で分けられるものでは無いはずなのに、いわゆる左側は表看板に掲げている理想論という外面が素晴らしく見える分、その理想論を反対しにくい世論形成を作りやすくしています。
しかし、理想論は理想論でありエリートが作り上げた理論が現実社会と大きく乖離していくというのは良くある事というか、いわゆる社会学系分野は理想と現実が大きく乖離するのが定番と言っても過言ではないくらい、外面の良い理想論によって現実社会がむしろ破壊される例なんていうのは、いくらでも思いつくでしょう。
現在のヨーロッパはそういった建前、理想論が瓦解し裏切られたとして、外面の悪い、ある意味では下品ととらえられる剥き出しの本音が出てきてカオス状態になっているというのを本書ではまとめていて、脅威は外側からと内側からの両面から迫られているとまとめます。
外側の脅威はロシアの軍事的動向と移民問題。
内側の脅威は難民を受け入れてしまった事による影響によるポピュリズム政党だらけになっている現状、ユーロ危機最大の被害を受けたギリシャ経済とドイツの財政均衡至上主義による、不況期の緊縮財政という不景気を払拭する気一切無しな経済政策。
ロシアの軍事動向はバルト三国のようにソ連から離れロシアに近い国ほど危機感を募らせ、徴兵制の復活まで招いているというもの、移民問題は言わずもがなですが、経済難民が紛れ込み治安悪化を招いたり、国家財政の圧迫でひさしを貸して母屋を取られると感じさせる結果、対立が起こるという地獄のスパイラル。
ドイツの難民歓迎受け入れというものは、それを見ただけで個人的に正気の沙汰ではないと思っていましたが、本書を読んで基本的にドイツで受け入れるためにはドイツ人として同化する事を条件とし、ドイツ語をマスターしないとダメであるとか、あまり日本では報じられていないことを知れたことは大きく、これがドイツとしては心底普遍的な価値観として優れていると無条件で信じた上で善意で行われている部分があるものの、実際問題同化せず元々のアイデンティティを失わない移民だらけで、対立が深まるという、日本人でも似たような例を良く目にするなぁと思わせられる事例が出てきたりします。
これから日本は移民無しには成り立たないという声が大きくなりますが、本当にそれが出来るのかどうか、混ぜるな危険ではないのか、これを他山の石とせずに考える必要はあるのではないかと、多くの人に目を通して欲しいなとは思いますね。
もちろん、だから移民は一切合切認めるなという事では無く、どうすればひさしを貸して母屋を取られたと感じないで済むか、移民が自ら社会に同化しようと思えるするか、同化する気が1ミリも無い人に対しては、日本に対して文句を言うのを良しとするのではなく、気持ちよく愛する祖国に帰って貰えるのかまで検討する必要はあるでしょうね。
結局、皆が分かり合える世界なんていうものは存在せず、これは分かり合えない事だからお互いに距離を置きましょうという事を理解し合うまでが限界だと思いますから。
序 章 過ぎ去らない危機
第1部 難民とロシア二つの最前線
第1章 レスボス島のEU旗
第2章 泥濘のリトアニア 軍演習場へ
第2部 右傾化と分断 内在化する脅威
第1章 難民受け入れの現場から
第2章 ポピュリズムの実相
第3章 ユーロが生む貧困と格差
終 章 漂流するヨーロッパ
少なくとも行きすぎたグローバリズムというものは、行きすぎたナショナリズムと同じ土俵で批判すべきものであり、いかに極端に行きすぎないようにするかが重要であって、グローバリズムを善ナショナリズムを悪というような単純な二項対立構造で理解させるような世論誘導はそのままナショナリズムを絶対善と扱うことと同義語であることは理解しておくべきだと思っています。
現在のヨーロッパはEUという組織、統一通貨のユーロというものを中心に各国の伝統や差異を軽視し、同じヨーロッパだし分かり合える世界としてまとまることが出来るという理想論によってまとめられ、その理想論がさらに歯止めをなくし移民難民も分かり合える存在だから受け入れることこそ善であり、反対するのは差別主義者というレッテルを貼って暴走してしまっているように見受けられます。
思想的な右左どっちもスタンスそのものは本来善悪で分けられるものでは無いはずなのに、いわゆる左側は表看板に掲げている理想論という外面が素晴らしく見える分、その理想論を反対しにくい世論形成を作りやすくしています。
しかし、理想論は理想論でありエリートが作り上げた理論が現実社会と大きく乖離していくというのは良くある事というか、いわゆる社会学系分野は理想と現実が大きく乖離するのが定番と言っても過言ではないくらい、外面の良い理想論によって現実社会がむしろ破壊される例なんていうのは、いくらでも思いつくでしょう。
現在のヨーロッパはそういった建前、理想論が瓦解し裏切られたとして、外面の悪い、ある意味では下品ととらえられる剥き出しの本音が出てきてカオス状態になっているというのを本書ではまとめていて、脅威は外側からと内側からの両面から迫られているとまとめます。
外側の脅威はロシアの軍事的動向と移民問題。
内側の脅威は難民を受け入れてしまった事による影響によるポピュリズム政党だらけになっている現状、ユーロ危機最大の被害を受けたギリシャ経済とドイツの財政均衡至上主義による、不況期の緊縮財政という不景気を払拭する気一切無しな経済政策。
ロシアの軍事動向はバルト三国のようにソ連から離れロシアに近い国ほど危機感を募らせ、徴兵制の復活まで招いているというもの、移民問題は言わずもがなですが、経済難民が紛れ込み治安悪化を招いたり、国家財政の圧迫でひさしを貸して母屋を取られると感じさせる結果、対立が起こるという地獄のスパイラル。
ドイツの難民歓迎受け入れというものは、それを見ただけで個人的に正気の沙汰ではないと思っていましたが、本書を読んで基本的にドイツで受け入れるためにはドイツ人として同化する事を条件とし、ドイツ語をマスターしないとダメであるとか、あまり日本では報じられていないことを知れたことは大きく、これがドイツとしては心底普遍的な価値観として優れていると無条件で信じた上で善意で行われている部分があるものの、実際問題同化せず元々のアイデンティティを失わない移民だらけで、対立が深まるという、日本人でも似たような例を良く目にするなぁと思わせられる事例が出てきたりします。
これから日本は移民無しには成り立たないという声が大きくなりますが、本当にそれが出来るのかどうか、混ぜるな危険ではないのか、これを他山の石とせずに考える必要はあるのではないかと、多くの人に目を通して欲しいなとは思いますね。
もちろん、だから移民は一切合切認めるなという事では無く、どうすればひさしを貸して母屋を取られたと感じないで済むか、移民が自ら社会に同化しようと思えるするか、同化する気が1ミリも無い人に対しては、日本に対して文句を言うのを良しとするのではなく、気持ちよく愛する祖国に帰って貰えるのかまで検討する必要はあるでしょうね。
結局、皆が分かり合える世界なんていうものは存在せず、これは分かり合えない事だからお互いに距離を置きましょうという事を理解し合うまでが限界だと思いますから。
序 章 過ぎ去らない危機
第1部 難民とロシア二つの最前線
第1章 レスボス島のEU旗
第2章 泥濘のリトアニア 軍演習場へ
第2部 右傾化と分断 内在化する脅威
第1章 難民受け入れの現場から
第2章 ポピュリズムの実相
第3章 ユーロが生む貧困と格差
終 章 漂流するヨーロッパ