今日の読書 真実の航跡/伊東潤
太平洋戦争に起きた、非道な捕虜殺害事件、戦後BC級戦犯裁判を受け持つことになった若き裁判官が、敗戦国ということで戦勝国であるイギリスからの法の下の平等もへったくれもない状況で、法の正義だけを信じて裁判に挑むという物語になります。
伊東潤は敗者を主人公にした歴史小説で、勝者と敗者は優劣や善悪というものを分けて優秀な善人が敗者に回ることもあるという結果至上主義ではないものを説得力のある描き方をしていますが、今回も敗者からの歴史小説という事で太平洋戦争の日本軍が犯してしまった事件を軸に、敗戦国としてどん底まで突き落とされた扱いから、何とか這いずり上がるためのきっかけとなるべくして奮闘するものになっています。
事件も登場人物も歴史小説という形ではあるものの実在の人物をつかってはいないので、歴史小説と分類しない方が正しいのかもしれないのですが、架空の事件を作り上げたことで、大日本帝国海軍の問題点、それぞれの立場の軍人の行動原理、明確な命令として証拠を残さず忖度するようにさせて現場に責任をおっかぶせるような伝統や、空気を読むという能力を持ち合わせないまま職人的な技能はあるものの出世欲があり無能な働き者となってしまう人物などなど、当時ならありえそうというのと、現代でも通用するような形を混ぜたりと丁寧に描写されていて楽しめますが、敗戦国として散々な扱いを受けるというのは、身につまされる気分になりいたたまれなくなってしまいますね。
伊東潤は敗者を主人公にした歴史小説で、勝者と敗者は優劣や善悪というものを分けて優秀な善人が敗者に回ることもあるという結果至上主義ではないものを説得力のある描き方をしていますが、今回も敗者からの歴史小説という事で太平洋戦争の日本軍が犯してしまった事件を軸に、敗戦国としてどん底まで突き落とされた扱いから、何とか這いずり上がるためのきっかけとなるべくして奮闘するものになっています。
事件も登場人物も歴史小説という形ではあるものの実在の人物をつかってはいないので、歴史小説と分類しない方が正しいのかもしれないのですが、架空の事件を作り上げたことで、大日本帝国海軍の問題点、それぞれの立場の軍人の行動原理、明確な命令として証拠を残さず忖度するようにさせて現場に責任をおっかぶせるような伝統や、空気を読むという能力を持ち合わせないまま職人的な技能はあるものの出世欲があり無能な働き者となってしまう人物などなど、当時ならありえそうというのと、現代でも通用するような形を混ぜたりと丁寧に描写されていて楽しめますが、敗戦国として散々な扱いを受けるというのは、身につまされる気分になりいたたまれなくなってしまいますね。