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今日の読書 信長燃ゆ/安部龍太郎

本能寺の変の真相というのは未だに謎のままであり、陰謀論共々諸説入り乱れるほど人気のあるネタとなりますが、本能寺の変は天下布武を旗印とした織田信長が世界進出をにらみイスパニアやポルトガルを敵にまわして同格になるには現状の日本の構造を作り替えなければならないと考えていたのに対し、日本は神道の国であり朝廷の権威は守り続けなければならないとする公家の近衛前久との対立が原因であり、それを公家でありながら信長のもとで働いていた清麿が真実を書き記せと命じられて、まとめたという体裁にした歴史小説になります。

信長が主人公ではあるものの、朝廷の役割であるとか日本にとっての神道の重要性、伝統的価値観、権威がある事と同時に、世界に目を向けた場合日本でしか通用しない価値観としての限界というものを描いています。

現在の視点を持つと、好むと好まざるとに関わらず、グローバル化した社会でのキリスト教的価値観を共有した国々の連帯(必ずしも一枚岩では無いし、平気で殺し合いもありますが)の強さと比べ、日本の宗教的価値観というのは神道を軸に仏教を中心に内部に組み込んでいくという共有不可能な独自路線を進んでいて圧倒的に弱い存在になってしまうわけですが、それを当時の人々が理解出来るかというと、なかなか難しいと思うわけですが、その中で信長ならば神道の限界を理解し打ち破ろうとしたかもしれないと納得出来る存在なわけですが、そういった価値観のぶつかり合いを上手く描いた作品だと思います。

信長燃ゆ(上巻) (新潮文庫) [ 安部龍太郎 ]信長燃ゆ(下巻) (新潮文庫) [ 安部龍太郎 ]

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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