今日の読書 源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義/高田崇史
古事記異聞シリーズで登場する日枝山王大学の民俗学助教授を止めるために残務処理をしていた小余綾俊輔が最後の授業として、歴史学科の助教で源平合戦の研究に燃える堀越誠也、出版社勤務で歴史ライターを目指し、源義経の人気の高さと、実際に行った奇襲の数々と比較して疑問におもうを通り越し義経嫌いの加藤塔子に怨霊を中心に源平合戦に残る数々の疑問を、保元の乱、平治の乱からいわゆる源平合戦を経て、鎌倉幕府成立から源氏三代で将軍が途絶えたまでの流れを丸ごと考察するというものになります。
高田崇史作品では、鎌倉幕府の扱いというか源氏の扱いが酷く悲惨なものであったとするのは先行作でいくつも出ていて、頼朝が怨霊扱いされているのにも関わらず怨霊としての扱いが過去の怨霊と比べて地味にされたりとか、諸々含めてすごく残念な気持ちになる、勝者としての源氏となってからの勝者じゃ無い感ばかりとされてしまうわけですが、今までそういったものを出してきた事を総括するような作品になっていて、今回は歴史ミステリーとして現実に事件が起きてどうこうというものが全く無く、日常業務との兼ね合いを見ながらフィールドワークをしたり、各自の疑問をぶつけたりしながら最終結論へと導かれていくというものになっています。
歴史を時代区分で区切ってしまうと理解出来ないこと、その前の時代からの影響があってこそ理解できるであるとか、歴史は勝者が書き残すが、話を盛ったり、騙りが入ったりすると不自然さが残って額面通りに受け取りにくくなるとか、歴史書に記されるだけでは無い物証としての寺社仏閣の配置であるとか、かなり楽しめるものになっています。
まとめ方が陰謀論めいてしまうところはありますが、それを含めて当時の価値観は現代の価値観とは別物であったことも認識できるという意味も込めて、小出しにしてきたものをついにひとまとめにしたかと感慨深くなりました。
高田崇史作品では、鎌倉幕府の扱いというか源氏の扱いが酷く悲惨なものであったとするのは先行作でいくつも出ていて、頼朝が怨霊扱いされているのにも関わらず怨霊としての扱いが過去の怨霊と比べて地味にされたりとか、諸々含めてすごく残念な気持ちになる、勝者としての源氏となってからの勝者じゃ無い感ばかりとされてしまうわけですが、今までそういったものを出してきた事を総括するような作品になっていて、今回は歴史ミステリーとして現実に事件が起きてどうこうというものが全く無く、日常業務との兼ね合いを見ながらフィールドワークをしたり、各自の疑問をぶつけたりしながら最終結論へと導かれていくというものになっています。
歴史を時代区分で区切ってしまうと理解出来ないこと、その前の時代からの影響があってこそ理解できるであるとか、歴史は勝者が書き残すが、話を盛ったり、騙りが入ったりすると不自然さが残って額面通りに受け取りにくくなるとか、歴史書に記されるだけでは無い物証としての寺社仏閣の配置であるとか、かなり楽しめるものになっています。
まとめ方が陰謀論めいてしまうところはありますが、それを含めて当時の価値観は現代の価値観とは別物であったことも認識できるという意味も込めて、小出しにしてきたものをついにひとまとめにしたかと感慨深くなりました。