今日の読書 平将門と天慶の乱/乃至政彦
日本史上初めて新皇として関東に絶対的な地位を築こうとし、天皇家と対峙する存在となった平将門。
それ以上に日本史上燦然と輝く大怨霊としての存在の方が有名となっていますが、存在感こそ大きけれども史料としては決して恵まれているわけでは無い平将門について、本当に怨霊扱いされていたのか、怨霊扱いされた意図は何があるのか、どういうきっかけで怨霊としての存在感が強まったのか、そもそもなんで同じ関東というだけで大して縁もゆかりも無いはずの東京に将門を祀る神田明神や将門塚が残っているのかを軸に、実際将門がやった事とは実際に何であり、当時の価値観から考えてどこまでが常識の範疇でどこが常識破りで、何故に敗者とならざるを得なかったのかというものを分かりやすくまとめようとされています。
怨霊扱いされているものの、実際に将門が恐れられていたかというとそうでは無いという証拠が沢山あるにもかかわらず、現代では怨霊部分がメジャーになっている理由は、映画帝都大戦で大怨霊として描かれたからであり、それ以前の大河ドラマを見ても、比較的平安時代当時の関東では人気の為政者扱いだったというあたり、怨霊扱い以前について知らない私からすると現代でも扱いが簡単に変るものだなというのに驚くと同時に、歴史上の人物の現代での評価が何かのブームで平気でひっくり返るというのは、思い当たる節もあるなと納得してしまうもの。
基本将門についての記録があまり残っていないという事もありますし、全体的に何をやったかという前知識に関して常識の範疇が狭いのが現在の歴史教育での扱われ方であると思いますが、そうでなくても私は前知識が薄いので、今までの解釈ではなくこうではないかという提示のされ方をされても、そうなんだとしか反応出来ないというか、ほぼほぼ初見なので、読んでいて楽しめましたが、解釈論として正しいのかどうかの判断はできません。
高田崇史の歴史ミステリーで将門は怨霊じゃ無いという扱いをされていたというのが前知識なので、その部分に関しては目新しい説ではなく、そういう考え方に普遍性が感じられるという事なのだろうと理解しました。
歴史は捏造という意味では無く、新たな解釈が出て来ていて、どこからどこまでが真面目に検討されたもので、どこからどこまでが奇をてらった陰謀論のような解釈なのか私には判断できないのが困りものですが、基本的に変な極論さえ持ち出さなければ落ち着くところに落ち着くのだろうという判断でいいのかなとも思っています。
将門は大怨霊でないとダメなんだという説の人は、それはそれで根拠ある説明を提示してくれれば面白いのかもしれないと気楽に考えています。
序 章 怨霊伝説を検証する
第1章 蔭子・将門の少年期
第2章 遺領が招いた争族
第3章 平良兼・良正の襲撃と源護の策謀
第4章 追補使・将門の勇躍と逆襲
第5章 板東独立の風雲
第6章 将門、新皇に即位す
第7章 誰が新皇を殺したのか
第8章 敗者の声と勝者の宴
終 章 神田明神と将門塚の興起
それ以上に日本史上燦然と輝く大怨霊としての存在の方が有名となっていますが、存在感こそ大きけれども史料としては決して恵まれているわけでは無い平将門について、本当に怨霊扱いされていたのか、怨霊扱いされた意図は何があるのか、どういうきっかけで怨霊としての存在感が強まったのか、そもそもなんで同じ関東というだけで大して縁もゆかりも無いはずの東京に将門を祀る神田明神や将門塚が残っているのかを軸に、実際将門がやった事とは実際に何であり、当時の価値観から考えてどこまでが常識の範疇でどこが常識破りで、何故に敗者とならざるを得なかったのかというものを分かりやすくまとめようとされています。
怨霊扱いされているものの、実際に将門が恐れられていたかというとそうでは無いという証拠が沢山あるにもかかわらず、現代では怨霊部分がメジャーになっている理由は、映画帝都大戦で大怨霊として描かれたからであり、それ以前の大河ドラマを見ても、比較的平安時代当時の関東では人気の為政者扱いだったというあたり、怨霊扱い以前について知らない私からすると現代でも扱いが簡単に変るものだなというのに驚くと同時に、歴史上の人物の現代での評価が何かのブームで平気でひっくり返るというのは、思い当たる節もあるなと納得してしまうもの。
基本将門についての記録があまり残っていないという事もありますし、全体的に何をやったかという前知識に関して常識の範疇が狭いのが現在の歴史教育での扱われ方であると思いますが、そうでなくても私は前知識が薄いので、今までの解釈ではなくこうではないかという提示のされ方をされても、そうなんだとしか反応出来ないというか、ほぼほぼ初見なので、読んでいて楽しめましたが、解釈論として正しいのかどうかの判断はできません。
高田崇史の歴史ミステリーで将門は怨霊じゃ無いという扱いをされていたというのが前知識なので、その部分に関しては目新しい説ではなく、そういう考え方に普遍性が感じられるという事なのだろうと理解しました。
歴史は捏造という意味では無く、新たな解釈が出て来ていて、どこからどこまでが真面目に検討されたもので、どこからどこまでが奇をてらった陰謀論のような解釈なのか私には判断できないのが困りものですが、基本的に変な極論さえ持ち出さなければ落ち着くところに落ち着くのだろうという判断でいいのかなとも思っています。
将門は大怨霊でないとダメなんだという説の人は、それはそれで根拠ある説明を提示してくれれば面白いのかもしれないと気楽に考えています。
序 章 怨霊伝説を検証する
第1章 蔭子・将門の少年期
第2章 遺領が招いた争族
第3章 平良兼・良正の襲撃と源護の策謀
第4章 追補使・将門の勇躍と逆襲
第5章 板東独立の風雲
第6章 将門、新皇に即位す
第7章 誰が新皇を殺したのか
第8章 敗者の声と勝者の宴
終 章 神田明神と将門塚の興起