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今日の読書 今昔百鬼拾遺 天狗/京極夏彦

今昔百鬼拾遺3部作、鬼、河童に続きしめは天狗になります。

このシリーズは中尊寺敦子と呉美由紀が中心となって某かの事件に関わるというものですが、今回はそこに百器徒然袋 雨で登場した篠村美弥子(名前を見てもぱっと思い出せなくて検索しましたが)の友人が消息不明になったという事で絡んできます。

高尾山で消息を絶ったという友人、何故かその服を着た痛いが群馬県の迦葉山で発見されるという不可解な事件という事、高尾山で姿を消したという事で天狗に関わっているんじゃないかという話が出てくるのと、何で天狗が関わってくるのかという反論など込みで天狗とはそもそも何という辺りの考察が絡んでくると言うのも一連の京極堂シリーズとしてはお決まりのお約束になっています。

京極夏彦の一連の作品というのは、事件解決であるとか、そういった本筋以上に脇筋というと違うかもしれないですが、妖怪絡みの考察であるとか、思想信条であるとか社会常識、伝統的なものと新しい物事の考え方などのやりとりに面白味が強いのですが、今回は特に戦後当時にまで残っている悪しき古い考え方として生まれながらの性質、家柄、性別、身分などなどの固定概念について、また固定概念の強要や自らの思想信条についてを勝敗という形で決めようとする考え方、何事も上下という判断基準ありきで、それが故の思考停止という事についての雑談と言う形での考察が楽しめますね。

本当に現在、物事の判断基準として勝敗や優劣を決めないと落ち着かない、自分の価値基準こそが正義で、そこから外れたものを全否定する事に何の躊躇も持たない人が目に付きすぎて、またそういう人が必要以上に声がでかく、単純な二項対立構造だから何も考えないで喧伝できるようになっていて、本当に辟易する事があるのですが、そういう人にこそ一旦落ち着いて、このシリーズでも読んでみればと思わずにはいられないですね。

日本語を理解していれば、全てその通りだと受け入れるというのではなくても、自分を省みるきっかけを作ってくれるとは思いますし、単純に物語として楽しめるので、そこら辺深く考えなくても別に構わないのでね。

京極堂シリーズは、スピンオフ作品も作りやすい形になっていますが、本筋のシリーズとしてはもうやらないのですかね?『邪魅の雫』からすでに干支は一回り過ぎているのですが・・・

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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