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今日の読書 罪の轍/奥田英朗

東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年、浅草で男児誘拐事件が発生したという物語になります。

容疑者側からの視点と、刑事側からの視点を軸に話が進んでいく構成になっていますが、容疑者は記憶力が曖昧で北海道で漁師をしていた頃はバカ扱いされた前科ありの青年であり、バカになったのも後天的な理由があるというところに力点が置かれています。

戦後復興の1つの象徴として昭和の東京オリンピックというものがありますが、この時代刑事も戦時中の特高警察の頃の高圧的で暴力的な部分を残したそしきであったり、ヤクザや反権力こそを目的化している左翼組織やマスコミなど現在とは価値観が異なる世界。

テレビの影響力が出始めの頃で、犯罪に関する影響力も捜査方法も、それまでの経験至上主義だけでは無理が出て来た頃というのが、物語の重要な要素になっています。

奥田英朗で東京オリンピックとなると、『オリンピックの身代金』という作品がありますが、その時に集めた資料やら何やらの有効利用というのもあるのかなぁとも勝手に思ったりしますし、左翼に関する扱い表看板としての労働者のためというのと、実際は反権力のための反権力として目的化している部分の扱いに関しては、昭和の同時代では描けなかったところだろうなというのは結構感じるもので、時代小説というと基本的なイメージは江戸時代までをメインに、戦時中くらいまでのものをイメージしますが、昭和を舞台にしたものも十分に時代小説なんだよなと改めて思えるものになっています。

時代小説のミステリー=捕物帖と勝手に変換してしまいますが、昭和もそれこそ東京オリンピックくらいの時代ですら十分に時代小説に分類もできるものになっていますかね。

現代との違い、それこそ東京スタジアムで大毎と近鉄のプロ野球の試合で200人程度の客入りなんていう今のプロスポーツ界との客入りの違いなんていう小ネタなども利用していて物語を作っているというのは強く感じますし、東京オリンピックを扱った2作とも長編としての長めのものになっているので、過去を描く事に力点を置いている事は強く感じますね。

昭和を描いているという事の面白さもありますが、単純に逮捕しておしまいという形のものでは無く結末がどうなるのか予測がつかない面白さがあり、楽しみ方が幾通りもある贅沢なものになっていますね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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