今日の読書 合唱 岬洋介の帰還／中山七里

『さよならドビュッシー』から始まる天才ピアニスト岬洋介のシリーズ６作目になります。

これまでこのシリーズはドビッシューのように作曲家の名前がタイトルに入るのが定番でしたが、初めてその縛りがないものとるわけですが、『合唱』はベートーヴェンの交響曲第９番を表わしているという事で、『どこかでベートーヴェン』『もう一度ベートーヴェン』と続いてきた天才ピアニストとなる前の過去となる学生時代の話からの流れの行き着いた先という事と、『いつまでもショパン』の続きの時系列に戻るという事で帰還になるというシリーズでも重要な位置なんだろうなと思わせるものになっています。

中山七里の作品はシリーズ物だけが同じ世界での出来事というわけではなく、全てが繋がっているものになっていて、どれがどの作品に出ていたっけかというのが把握しきれなくなっていたりもするのが特徴の１つでもあります。

今回は『もう一度ベートーヴェン』で法律を一緒に学び検事になった親友の天生が取調中に殺人を犯した容疑者となり、その事件絡みで埼玉県警関係者であるとか、法廷での争いとなると当然あの弁護士であるとかかなり狙って主要キャラが集結する話となっています。

その狙いのためにシリーズとしてタイトルに縛りがあったものをあえて外したのだろうと思えるものになっています。

事件は冤罪であるということは読者には提示されていますが、何故あの状況で罠にはまることになるのか、事件の本当の犯人は誰というよりも犯人の狙いは何なのかは終盤の終盤に怒濤の展開で明かされるわけですが、どんでん返しの帝王という縛りに関してはブレずに貫いていて凄いよなと毎回思わされますね。

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合唱 岬洋介の帰還 [ 中山 七里 ]