今日の読書 悪の芽/貫井徳郎
無差別大量殺人を行なった犯人は現場で自ら死を選び動機は不明のままになった。
調べの中で犯人はいじめによる不登校の経験があり、就職氷河期世代のため40代ながら無職でありレールを踏み外した社会からドロップアウトした事からの犯行なのではという、いかにもな動機を推測もされたが真相らしい真相はすぐには表面化しなかった。
犯人の元同級生がいじめが原因という事で自分の責任かもしれないと罪の意識から事件の真相を探り始めるという話になります。
虐げられた社会的弱者がこの世に恨みを抱いた自爆テロというのは社会派ミステリ小説の題材にしやすいもので、手を変え品を変え世に送り続けられているわけですが、事件から派生した社会問題、得にSNSが発達した事による、悪意の拡散と同時に正義感の暴走という善悪両方が脊髄反射で広まっていく現代は、現実の方が小説の世界を越えるようなものになってきています。
書き手の方もそういった現実を踏まえて考えなければいけないという大変な世の中になっているわけですが、本作はそれをしっかりと組み込んだ上で話全体の着地点と事件の真相を追うという両面を現代の時代を強く意識して描いているなと思わされましたね。
貫井徳郎作品に外れ無しと個人的に思っていますが、同時に作品傾向としてかなり振り切った読者を選ぶものもあると思っているのですが、そういった既存の作品とは意識的に変えているのではないかと、今の時代だからこそ振り切らない着地点を目指す作品を書いておかなければいけないと感じているのではないかと勝手に想像してしまいました。
万人受けする作品かというと分かりませんが、万人が考えさせられる作品ですね。
調べの中で犯人はいじめによる不登校の経験があり、就職氷河期世代のため40代ながら無職でありレールを踏み外した社会からドロップアウトした事からの犯行なのではという、いかにもな動機を推測もされたが真相らしい真相はすぐには表面化しなかった。
犯人の元同級生がいじめが原因という事で自分の責任かもしれないと罪の意識から事件の真相を探り始めるという話になります。
虐げられた社会的弱者がこの世に恨みを抱いた自爆テロというのは社会派ミステリ小説の題材にしやすいもので、手を変え品を変え世に送り続けられているわけですが、事件から派生した社会問題、得にSNSが発達した事による、悪意の拡散と同時に正義感の暴走という善悪両方が脊髄反射で広まっていく現代は、現実の方が小説の世界を越えるようなものになってきています。
書き手の方もそういった現実を踏まえて考えなければいけないという大変な世の中になっているわけですが、本作はそれをしっかりと組み込んだ上で話全体の着地点と事件の真相を追うという両面を現代の時代を強く意識して描いているなと思わされましたね。
貫井徳郎作品に外れ無しと個人的に思っていますが、同時に作品傾向としてかなり振り切った読者を選ぶものもあると思っているのですが、そういった既存の作品とは意識的に変えているのではないかと、今の時代だからこそ振り切らない着地点を目指す作品を書いておかなければいけないと感じているのではないかと勝手に想像してしまいました。
万人受けする作品かというと分かりませんが、万人が考えさせられる作品ですね。