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今日の読書 疫病と世界史/ウィリアム・H・マクニール

新型コロナウイルスによるいわゆるコロナ禍というのは、今後世界史で触れられるだけの大きな出来事となりましたが、歴史上感染症による影響というのは多々あり、誰しも今回の状況からスペイン風邪というものを想起したり、日本では幕末のコレラの流行などはグローバル化の負の側面として深く刻み込まれているものであったり、またアステカ帝国がスペインに簡単に制圧された裏側に天然痘の存在があったというようなことも昨今わりと知られているものになっていたりと、現代医療の発達する以前は影響力は大きく、またおさまるまでの期間も長期戦であったりなど分かりやすく人口に影響を与えていたと。

本書は筆者はそういった世界史上で大きく影響がありながらも、感染症について歴史家がほとんど顧みていなかった70年代にすでに着目しまとめ上げたものを、90年代に増補改訂したものになり、この時点で感染症として注目されながらも歴史上の影響までは観測出来ていないと言うことで軽く触れるだけとしてエイズが出てきたりはしますが、紀元前500年から近代までの総論という形でまとめられているものになります。

総論ですので、疫病に関してどの時期にどこでどういった形で感染症が確認されて、いつくらいに終息したかというような事は語られますが、人口の増減以外の影響、例えばスペイン風邪と世界大戦へと繋がる動きみたいなところの具体的な所はそれほど力点がおかれてはいませんね。

また紀元前の出来事などはあまりにも史料がないので憶測が中心になってしまったり、アジア、ヨーロッパ以外は本当に文献が残っていないから南北アメリカ大陸は基本的に発見されてから、アフリカに関してもほぼほぼスルーというのは、ある意味世界史あるあるですかね。

アジアと言った場合中国が文献の量であるとか、広範な地域であることからも中心として扱われていますが、日本も島国という特徴もあり、免疫獲得に苦労したということで出てきたりして、海外の研究者の世界史としては早い段階で扱われているというのが結構驚きではありますね。

文献が残っているからというのもありますが、ずらずらっと中国の疫病年表が扱われているのは圧巻ですし、疫病を出し続けている歴史でもあるのかなと思わずにはいられなかったですね。


序論
第1章 狩猟者としての人類
第2章 歴史時代へ
第3章 ユーラシア大陸における疫病常生地各文明圏の間の交流
     紀元前500年から紀元1200年まで
第4章 モンゴル帝国勃興の影響による疾病バランスの激変
     紀元1200年から1500年まで
第5章 大洋を越えての疾病交換
     紀元1500年から1700年まで
第6章 紀元1700年以降の医学と医療組織がもたらした生態的影響
付録  中国における疫病

疫病と世界史

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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