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今日の読書 コロナ狂騒録/海堂尊

『コロナ黙示録』に続く新型コロナウイルスによる世界的な影響を扱った小説になります。

前作からの続きで、今回は2020年9月から2021年の9月まで、世界的な感染爆発が起きている中の政治家の右往左往をオリンピック開催を軸にして日本は大いに振り回され医療は大混乱だという時期の事になります。

海堂尊の作品はデビュー作からして執筆時期、発表時期と現実の時間軸がずれていてずれているからこそその時代を振り返った形で結果が分かっているからこそ書くことが出来るというようなものであったり、逆に近未来を舞台にしているものは、近未来だからこそ自由にというのがあるわけでして、コロナ禍を主題に扱った2作品は現在進行形のものを作品としてまとめるため、誰がどう読んでも分かるような元ネタありな政治家を大量に使い、それをいわゆるオールドメディアが報じる形をベースに一番ダメなところを抽出してパロディ的にキャラクターを作っているために、本来有能だけれども一癖も二癖もあるようなレギュラーメンバー達がキャラが薄くなってしまっていたりしていて、現在進行形のもの特に政治や世相を分かりやすすぎる形で組み込んでしまう事によっての作品作りの難しさが出てしまったかなぁというのが個人的な感想ですね。

創作物として楽しませようとしているのか、現実の政治家の批判をする事そのものが軸なのか、それとも全部ひっくるめた壮大なパロディ作品としての位置づけを狙っているのかどうなのか。

オリンピック開催を世界的な愚作として医療側の立場で全否定していたりもそうですし、ワクチン摂取率がオリンピック開催中は世界的に低いという危機的状況だったことなどはそのまま政府の失敗としてネタにするのも分からなくは無いのですが、現実世界の現在ではあれだけワクチン摂取率が遅いだの何だの最低の政府扱いされていた日本が一気に取り戻して摂取率が先行国をごぼう抜きしてしまったり、死亡者数は世界屈指の低さに保たれていたり、NYでの演説を持ち上げて日本は絶望的だというような扱いをしていても、現実はNYではガンガン死亡者がいて、なおかつ演説が褒められた知事はその後大失脚していたりとかあったりとか、本当に現在進行形で元ネタをわかるようにやり過ぎると難しいなって。

コロナ禍はコロナ禍で作品作りに格好のネタですし、医療関係者であり医療ネタを軸に作品を作っている作者としては現在進行形でネタにしないわけにはいかないというのがあったのでしょうが、世界的に見て絶対的に正しいわけではないけれども相対的にマシだった事が多々あった状況で、日本は最悪だというアプローチに全振りしてしまったのは、それこそがパロディになってしまったのかなぁと。

オリンピックは否定的な面は多々ありましたが、絶望的に酷かったのかというとそうではないですし、オリンピック開催前には欧米では観客を入れてのスポーツが戻って来たりしていましたし、あの状況でオリンピックを開催出来たのは恐らく日本以外では数える程度しかなかったでしょうし、日本で開催出来ないとなったらばオリンピックそのものが無くなった可能性もありましたし、そこら辺全部ひっくるめるとオリンピック開催を絡めて話を作るのならば開催後まで執筆を待つか、もしくははじめから政治の方に力点をおかずに医療現場の大奮闘記にした方がシリーズキャラクターを生かしやすかったのじゃないかなぁというのが個人的な感想ですね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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