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今日の読書 欲望の資本主義 4  スティグリッツ×ファーガソン 不確実性への挑戦 コロナ危機の本質 /丸山俊一

NHKの「欲望の資本主義」という番組の書籍かという事ですが、番組の方は渡しは見ていないんですよね、どうもNHKは不定期特番が多くて気付かないというのが往々にしてあったりするので。

インタビューは2019年と2020年にまたがっていて、2019年の分は基本的にそれぞれの専門分野の視点から今後の世界経済をどう捉えているか、経済面だけではなく世界情勢ぜんぶひっくるめてですね。

2020年に入ってからは当然新型コロナウィルスによって現状どうなっているか、2人ともアメリカ在住でありアメリカの現状と日本との違いなどなど語り合うというものですね。

ニーアル・ファーガソンは歴史学者であり、著書に『憎悪の世紀』という20世紀が戦争殺戮が多発したという分析をしたものを記していたりという事で、20世紀に起きた事と現在の違い、米中の緊張関係についてというのが多く扱われています。

歴史学者であり自由主義者という事で、経済学理論としてはハイエクやミルトン・フリードマンの理論を支持していてケインズ系が80年代に敗北した事を評価しているものの、その勝利によってシカゴ学派は調子に乗りすぎたという立場なのがどういう立場なのか理解しやすいですね。

スティグリッツは翻訳されているものは結構目にしているので、基本的な路線は分かっていますが時事問題となると常に新たな問題が出てきていますし、新自由主義に関してはボロカス否定の立場ですので現状のグローバル経済の問題点、特に今回のコロナ禍では分かりやすすぎる形で問題点が表沙汰になってきたので、行きすぎたグローバリゼーションの認識を改める契機ととらえてもいるかなと。

そしてとかく日本のマスメディアは日本の現状を否定することから始まったり、アベノミクスに関しても全否定するところを出発点にしがちですが、2人とも絶賛しているわけではないものの一定の評価はしていて、その中で肯定すべき所と否定すべきところを提示するという、ある意味当たり前な態度を貫いていますね。

それこそ、何事においても分かりやすく単純化する事によって、現実を分かりやすく分析すると言う事では無く、むしろ現実と乖離する危険性の方が高いというのは、アプローチこそ違え2人とも共通していることになり、それこそNHKというマスメディアはこういった取材をしているのだからこそ、絶対に単純化してニュースを解説したり、単純な二項対立構造で解説をして、いろいろな立場の人間を分断するような誘導をしないという事を肝に銘じて欲しいなぁというのはありますね。

まぁ日本が完璧な社会ではない事は確かですが、アメリカと比較した場合少なくとも新型コロナ対策において、時刻でワクチン開発が出来なかったという事に関しては絶対的に劣ったという評価はあったとしても、それ以外の対策、特に死者数の圧倒的な少なさはむしろ成功したという評価はしておくべきで、結果として日本は絶対的に正しいわけではないが相対的に大いにマシだったという落としどころに設定して、そこを出発点としての改良点を考えていくというような扱いをメディアが出来なかったのかなぁって思わされました。

スティグリッツなんかは新自由主義に頭を抱えている分、アメリカのやっている事よりも日本の方に肩入れした評価をしがちというのは、それはそれでバイアスがかかっていると念頭に置いておくべきではありますけれどもね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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