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今日の読書 NBAの対コロナ作戦 バブル方式顛末記/ベン・ゴリヴァー 小林玲子・訳

新型コロナウィルス、COVID-19によるいわゆるコロナ禍は様々な影響を与えてきましたが、その中でもエンターテインメント業こそが露骨に影響を受けたものになっています。

大多数の観客がひしめく中でおこなわれるという当たり前の光景が失われ、存在そのものが脅かされる事態となったわけですが、NBAも2019-20シーズンさあこれから終盤に向けて盛り上がっていくぞと言うタイミングで中止を余儀なくされ、試行錯誤の末オーランドのディズニー・ワールドで隔離空間を作る、いわゆるバブル方式による無観客で、チーム数を絞って開催するという事になります。

この年そうでなくてもNBAでは大スターであり引退して間もないコービー・ブライアントがヘリコプターの墜落事故によって亡くなるという大惨事に見舞われていました、その悲しみが癒える間もなく怒濤のように押し寄せたコロナ禍、当初はここまでの事であると自覚がなかった選手達は無観客で試合なんかやる意味が無いと怒りをあらわにしていたのが、選手の中で感染者が出る、選手の親や祖母が感染して亡くなるという状況になり、存続問題にまでなっていった。

想定外の事態にもほどがあるものの、試合がある事を前提に結ばれている放映権の契約であるとかその他諸々の大人の事情からシーズンを終了させるわけにはいかないとなって、模索された結果がバブル方式だった。

一箇所に集められて、自由を束縛されて試合をこなす以外には家族にも会えず、気晴らしに出かけるわけにも行かず、選手は給料を払われているいわゆる金持ちであって、そこで不満を漏らすと何贅沢言っているんだと、無観客試合の影響によりスタジアムで働いていた従業員は稼ぎ場所を失っているだろうとか、バブル外のアメリカ全土ではガンガン死人も出る惨状であったりだとか、非日常過ぎる事態に神経をすり減らす事になったと。

追い打ちをかけるように、白人警官が黒人容疑者を逮捕するにしてはやり過ぎということで殺してしまう事件があり、それによって引き起ったいわゆるBLM運動というものがあり、選手の大半が黒人であるというNBAはその事に政治的なメッセージを出し続けることになるなど、とにかく純粋にバスケットボールを楽しめない事が山積みという状況だったと。

それでもバブル方式では感染者を出さないという事に限っては成功したという結果だったという一連の流れを著者もバブル内で取材し、自分の経験も交えて、普通にプレイオフやファイナルの試合までの結果も内容に触れながら綴っていくというなかなか珍しい1冊ですね。

バブル方式では感染者は誰も出さなかったという結果は出たものの、二度と同じ事を繰り返していない、バブル方式後現在は1シーズン半ほど過ぎていますが、通常に戻り現在は普通に観客も入り観客はノーマスク当たり前という日本の感覚とは全く違う日常が送られています。

NBAに興味があれば、今振り返ると懐かしい試合描写だったりするのが多々あったり、選手の立場が変わっているとか普通に移籍してそういやこの時はこのチームにいたよなとかそういうのがありますが、仮にNBAを知らない人が読んだとしても、日本とアメリカの感覚の違いが分かるのでは無いかなと思えたりもしますね。

日本と比べてアメリカ人は(選手はアメリカ人だけじゃないですが、わりと発言するのはアメリカ人が多目だし、BLM絡みでアメリカ人ではなくても黒人多目)我慢弱いなっていうのと、これだけ身近な人が死んでいる経験をしている人がいる中であっても切り替えて日常に戻りたがっているなというのがありますね。

今年のNBAシーズンなんて怪我人の多さもそうですが、健康安全プロコトルによって選手の隔離期間にバンバン引っかかって謎のサバイバルゲームと化しているのにも関わらず、一旦無観客に戻そうかとかバブル方式も想定しようかとかいう話は出てこないですからねぇ。

どちらが良いとは一概には言えませんが、バブル方式での苦悩についてガッツリと食い込めば食い込むほどパンデミックの恐怖以上に日常に戻れない事そのものへの恐怖の方が力点を置かれているなというのがあり、興味深いですね。

テーマ : NBA
ジャンル : スポーツ

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