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今日の読書 北条氏の時代/本郷和人

今年は大河ドラマの影響で鎌倉時代関係の本は大量に出てくる事になると思いますが、大河ドラマはなるべく多彩な時代を扱うと良いなぁというのは波及効果を見込めるというのがあったりします、まぁ鎌倉時代というか源平合戦以前を舞台とするものってなさそうではありますが。

本書は北条氏の時代ということで鎌倉幕府の実質権力者であった北条氏こそが日本型リーダーシップの原型であるという視点でそれぞれ取り上げていくものになっています。

鎌倉幕府というのは面白い物で、平氏を倒して源氏が幕府を開いたはずなのに源氏の征夷大将軍は3代でおしまい、征夷大将軍という武家が貴族から実質的な権力を奪い新たな時代を築いてという事なのに、征夷大将軍が神輿となり北条家が執権として政治を動かしていくという二重構造になっていること。

平安時代に本来天皇が権威であり権力であるはずが、天皇自身は権威となり実質動かしているのは摂政関白という摂関政治となっていたのと相似形であり、天皇は権威として絶対的な存在、絶対的な神輿という事を考えると神輿の層が厚くなったというか、日本が権威と権力を兼ね備えた独裁者を好まない傾向があるのではないかと思えるものですね。

表看板はともかく実質権力者となった北条氏が盤石な基板を作っていく過程であるとか、優秀なリーダーと評価出来るのは、後継者としてはじめから約束されていたのではなく、本来後継者とみなされていた者が早死にして回ってきた場合が多く、逆にしっかりと後継者とみなされていた者は失敗例になるという分析、結果的にそうなったという状況ではあるものの興味深い結果とも言えますね。

組織を上手くまとめ上げていく過程と、維持出来なくなるほどダメになっていく過程、同じ条件で歴史が繰り返されるわけではないですが、組織が腐敗しないように維持する能力って何気に凄く必要なことだよなって思わされますね。

第1章 北条時政 敵をつくらない陰謀術
第2章 北条義時 「世論」を見方に朝廷を破る
第3章 北条泰時 「先進」京都に学んだ式目制定
第4章 北条時頼 民を視野に入れた統治力
第5章 北条時宗、時貞 強すぎた世襲権力の弊害
第6章 北条高時 得宗一人勝ち体制が滅びた理由

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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