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今日の読書 「合戦」の日本史/本郷和人

副題として『城攻め、奇襲。兵站、陣形のリアル』というもので、日本国内の歴史上の合戦を例にとりあげながら、実際の戦争ってどういうものだったのかというのをまとめようとしているものになっています。

まとめようとしているという言い方になるのは、そもそも日本の歴史学会は戦争について真っ正面からしっかりと研究してこなかったという大問題があるというところから出発していて、学問的分析がおろそかになってしまった理由として戦時中までの皇国史観が根強くなった時期は、検証対象としての戦争ではなく物語性の方に力点が触れまくり、少数が多数に勝つというような奇襲への過大評価、台風が日本を守ってくれるというような神風信仰というようなものになってしまい、現実がおろそかになった、特に兵站軽視路線はどうにもならないレベルだったと。

逆に戦後は日本の失敗を踏まえた上で戦争全否定する事が正義というようなもの、唯物史観であるとか、日教組のように親が自衛隊だというような子供は平気で人殺しの子供としていじめ抜くことも珍しくないというようなくらい、全否定する事そのものを目的化するという時代が長く続いたせいで、戦争をしっかりと学問的に分析するという世代の空白がしっかりと出来上がってしまったと。

そういうタブー化してしまったものを埋めるように、物語として面白いという事よりも身も蓋もない現実としてはどういう事だったのかを検証しているもの、経済力と兵站についての重要性というのは非常に強調していて、日本が一番苦手としているものは兵站、これが得意だった武将の優秀性というのは現在でも通用し過ぎるものだと、戦争に限らず理解出来るものですね。

第1章 合戦の真実
     合戦とは何か
     なぜ日本史では軍事研究はタブー視されたのか
     合戦は人間の「命のやりとり」であることに立ち返って考える
     合戦における勝敗の大前提
     勝利の大原則1 戦いとは数である
     勝利の大原則2 経済を制した者が勝利する

第2章 戦術 ドラマのような「戦術」「戦法」はあり得たか
     戦術のリアルを考える
     いかに兵の士気をあげるか
     奇襲戦のリアルを考える

第3章 城 城攻め・狼城・補給・築城
     なぜ城攻めをするのか
     城郭とは何か
     籠城とは何か
     「本城+1」の戦いとは何か
     兵站が勝敗の鍵を握る
     築城戦を考える

第4章 勝敗 勝利に必要な要素とは
     合戦の勝敗を改めて考える
     敗戦は指揮系統の崩壊によって引き起こされる
     農民たちの士気を上げる

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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