fc2ブログ

今日の読書 諜報国家ロシア/保坂三四郎

ウクライナ侵攻からロシアという国のヤバさが改めて注目されるようになりましたが、そもそもソ連時代からのヤバさをソ連崩壊以降もしっかりと内包してきているし、その系譜こそがソ連崩壊時にも工作機関であるKGBは存続させてきたし、プーチンはKGB出身者だし、共産主義体制の崩壊からいわゆる西欧的価値観のもとで成立している近代自由主義に体制転換はしていないし、そうしたロシアのヤバさを覆い隠すような諜報活動は面々と続いているから、それについて細かくまとめるよというのが本書の目的といった感じですね。

個人的に絶対的な正義、絶対に正しい社会体制、絶対に正しい法理などなどいわゆる社会科学分野、社会生活というようなものは存在しないと考えていて、現段階で考えられる中で一番マシなものを何とかやりくりしていくしかないが限界だと思っています。

そういう限界付きの現実というのは、限界があるからこそダメな部分は存在し、その弱点だけをことさら大きく扱うというのは、逆に絶対的な正義があると考えている思考の者、無自覚な理想論者の常套手段であるわけで、無自覚な理想論者は無邪気に自分の正しさを顕示する事も目的としている愚者なので呆れるしか無いのですが、邪気に溢れる破壊活動もやっている事は同じであり、ロシアの諜報活動というのはそこら辺を利用しているし、それを理解した上で、別の価値観を持つものとして分析しないといけないよねと改めて思わされるものですね。

ロシアによるウクライナ侵攻において、わりと目にするのがアメリカはもっとひどいことしているよねという論点ずらし、もちろんそういう隙がアメリカにはありますし、アメリカはアメリカで絶対的な正義ではない事は当然なのですが、そこからロシアに瑕疵がないかのように誘導するという手段は目にしがちであり、ロシアが自分達の正義を喧伝するよりも、外国人にロシアの正当性を喧伝させるという形よりも目立たないように、むしろ他の国もダメだよねという世論形成をさせるというのも常套手段の1つというのが、色々と腑に落ちるというか日本にのメディアは嬉々として乗っかっているなと頭を抱えたくなったりも。

ロシアの特殊性と同時にある種普遍的な諜報活動、プロバガンダについて知識をつける意味でも面白いまとめになっています。国家そのものに恐怖心や嫌悪感があっても、その国の持つ文化的魅力があったりすると厄介だよなというのも非常に分りますし。

第1章 歴史・組織・要員 KGBとはいったい何か
 1 チェキストの系譜 どこにでもスパイを見る
 2 巨大な機構 KGBとの主要部局と役割
 3 エージェント チェキストの「見えない相棒」
第2章 体制転換 なぜKGBは生き残ったか
 1 KGBのペレストロイカ ソ連崩壊前夜のKGBの疑似「改革」
 2 KGB改革の失敗
 3 プーチンの「システマ」 FSB=マフィア=行政の三位一体
第3章 戦術・手法 変わらない伝統
 1 アクティブ・メジャーズ KGBの「心と魂」
 2 偽情報 正確な情報ほど効果がある
 3 インフルエンス・エージェント 「スパイ」とは異なる
 4 フロント組織
第4章 メディアと政治技術 絶え間ない改善
 1 政治技術
 2 サイバースペースでの展開
 3 ナラティブの操作
第5章 共産主義に変わるチェキストの世界感
 1 ゲオポリティカ 地政思想と「影響圏」
 2 大祖国戦争の神話 全ての敵は「ファシスト」
 3 「ロシア世界」 プーシキン、ドストエフスキーを隠れ身のにして
 4 ロシア正教会 KGBエージェントが牛耳る教会
 5 子供からスポーツまで 全てを動員する
第6章 ロシア・ウクライナ戦争 チェキストの戦争
 1 ウクライナ侵攻 作り出された「内戦」
 2 「ウクライナ危機」を見る眼 学術界とロシア
終章  全面侵攻後のロシア

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

おまけ

カレンダー
11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

茶留蔵

Author:茶留蔵
心身ともに不健康で知性が大いに不自由な社会不適合者

タグ
おまけ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
現在の閲覧者数:
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示
ニューリリース
メタル
QRコード
QR
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる