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今日の読書 国を蹴った男/伊東潤

戦国時代を舞台にした歴史小説の短編集になります。

『牢人大将』は武田信玄配下の牢人衆を主役とした、牢人だからこその奮闘を描いた話

『戦は算術に候』は石田三成が、算術の名人である長束正家を使いこなそうとするものの、世の中は算術でしっかりとできるものと、そうではないものを見極めが・・・というお話。

『短慮なり名左衛門』は上杉謙信配下の毛利名左衛門秀広が、謙信死後の上杉家の相続争いである御館の乱で翻弄されるお話。

『毒蛾の舞』は柴田勝家配下の佐久間盛政が、信長死後の権力争いである賤ヶ岳の合戦で翻弄される話

『天に唾して』は堺の豪商で茶人の山上宗二が、商人、茶人の意地として強欲丸だしの秀吉と対立する話

『国を蹴った男』は鞠職人と、日本サッカー界元祖ファンタジスタの今川氏真との蹴鞠を通じた交流の話

作品全体に流れているのは、義もなにも無くなりふり構わずに欲望のままに戦をしかける勝者と、義に生きる敗者という色分けがありますね。

義に生きる事に対する理想論と、実際の勝者はなりふり構わないものばかりという、身も蓋もない現実。

歴史は勝者が作るものであり、そこから力こそ正義というものになりがちだが、勝者は勝者であり、正義の名の下に勝っているのでも何物でもないという事で、大義なき勝者をボロカス扱いにするのは、ぶれていないなぁと思えますし、強欲な勝者よりも義に生きた敗者を持ち上げる形というか、滅びの美というものに燃えるように日本人の感性ってなっているんだよなぁと思えたり。

特に、私が今まで読んできた伊東潤作品で全部に関わってきている、直江兼続に関しての極悪非道ぶりは群を抜いているというか(笑)

上杉謙信が義によって生きていたという扱いと、真逆で権力欲で生きているのが直江兼続という路線は、兜に愛の漢字を使っている事とは程遠い存在ですし、改めて直江兼続ファンは伊東潤作品は読んではいけないと思えて仕方がないくらい(笑)
国を蹴った男国を蹴った男
(2012/10/26)
伊東 潤

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