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今日の読書 江戸オリンピック/室積光

2020年東京オリンピックが開催される事が決定していますが、それに乗っかる感じで書かれているのがこの物語ですが、東京ではなく江戸という事で、舞台は現実の歴史とは違う歴史上の出来事の日本というか世界。

幕末に明治維新がが起きずなんだかんだと徳川幕府が続き、その結果日本は戦う事もなく、世界は白人にあらずば人にあらずが綿々と続く白人天下。

日本は有色人種ながら名誉白人という特殊な立ち位置を得ることにはなったものの、有色人種の主権国家は皆無という後ろめたさを背負った、後ろめたさを自覚しない人もいる状況。

その中で、徳川幕府を倒すため、有色人種の人権を獲得するために江戸でオリンピックを開催しようと言う動きが起きると言う流れになるわけですが、主人公はスポーツ用品メーカーに就職した伊藤博文。

大手広告代理店勤務の高杉晋作、長州藩庁勤務の桂小五郎などといった感じに幕末の長州藩士を中心に、坂本竜馬、西郷隆盛、大久保利通、勝海舟などといった幕末の登場人物が現代に生きているという形で奮闘するというものですね。

室積光の政治観というか物語上扱う政治観や歴史観というのは、『史上最大の内閣』などでも出てきて、いわゆる戦後教育や自虐史観とは外れたものでありながら、カウンターで一気に逆サイドに振りきれているというものではなく、なかなか読んでいてうまくバランスを取っているなぁと思えるものであったりしますが、この作品もそれが完全にパロディな世界でありながら、単なるネタとしても楽しめるし、現実の多くの革命が暴力不可避となっているのを、せめて物語世界だけでもそういうものから外れたもので成し遂げたいというのが伝わってきていて楽しめますね。

そして、個人的にはオリンピックという事で、政治的な事だけではなく競技そのものにも触れられているのですが、バスケットボールネタが扱っているスポーツの中でも特に多めに扱われていて楽しいですね。

白人にあらずば人に非ずという事で、この世界のNBAは白人プレイヤーしか存在せず、そのため歴史上埋もれている黒人プレイヤーがいてというあたり、名前だけ現実のプレイヤーの名前を使いまくっていますが、歴史の時系列は無視しているので、マジック・ジョンソン、マイケル・ジョーダン、チャールズ・バークレーとやっぱりオリンピック絡みだとこの名前は出てくるよねというだけではなく、デニス・ロッドマンやアイザイア・トーマスなんかも出てきてこれは混ぜると危険だろと思わずにはいられなかったり(笑)

歴史ifものというのは、普段あまり読まないものですが、日本が戦争をしなかったらという設定は面白かったですね。

近代以降日本の戦争の功罪というのはそれぞれ思う所はいろいろとあるでしょうが、仮に日本が戦っていなかったら有色人種の人権というものは得られなかったという仮説は全肯定する必要は無いですが、戦争というものに対して功罪両面があると考える必要はありますし、その時にしっかりと功として記録しておいていいのではないかと思ったりはします。
江戸オリンピック江戸オリンピック
(2014/12/19)
室積 光

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テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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