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今日の読書 義烈千秋天狗党西へ/伊東潤

天狗党事件というか、幕末の水戸藩ほど尊王攘夷を掲げながら報われなかった人々はいないというか、ひたすら無駄死に扱いになってしまったわけですが、その悲劇の主人公達、特に天狗党の若き首領藤田小四郎を主役にした歴史小説になります。

歴史上、勝者は能力や人望が優れているから勝者とは限らず、逆に敗者は能力や人望が劣っていたから敗者となったというわけではありません。

いろいろなタイミングの問題であったり、目的のためには人としてどうだろうというなりふり構わなさこそが勝負をわけたり、逆に変に優しさを持っているからこそ思いきれずに勝負所を逃してしまって敗者の汚名をかぶってしまったり、まぁ勝者は勝者であり善というわけではなく、逆に敗者は敗者であり悪というわけではない、ここら辺が下手に混同されて困るという思いがあるのは、どうにも恣意的に混同させてプロバガンダとして歴史の政治利用をする国がいたりするので何だかなぁと思う所ですね。

それはさておき、天狗党は幕末に白人にあらずば人にあらずとばかりに猛威をふるった西洋人に対して危機感を持ち、それに対抗すべく尊王攘夷を掲げて日本を何とかしようと思って立ち上がった水戸藩の義士です。

しかし、志が高く、真っ当であったとしても、だから回りも思うように動いてくれるかというとそうではないのは、歴史上の出来事であるとも現代であろうとも変わらず、水戸藩内でも上手くまとまらず。

志が高くても結局は先立つものが無いとだめだからと、目的のためには手段を選ばずとばかりに無理矢理金を巻き上げるようになってしまうものが出たりと思うようにいかず。

攘夷という日本人から巻き上げようとする敵と戦うはずが、結局は国内の日本人と戦わなければならなくなったり、尊王攘夷というのは討幕を意味するのではないというか、それこそ十五代将軍慶喜は水戸藩出身だというのに、討幕と思われて幕府の目の敵にされたりと、ただただ散々な目にあっていくという天狗党達。

自分たちの信念は正しいと思いながらも、信念が日本国中に伝わる事もなく、目的のためならば手段を選ばないという事になってしまったり、それについて思い悩んだりと、何とも気の毒で気の毒でならないわけですが、そういう志の高い敗者というものを描くのは伊東潤という作家の持ち味でもあり、歴史の敗者には敗者なりの生き様があると思わせますね。

むしろ無様な保身主義者は酷い扱いというか、徳川慶喜はボロクソ扱いですので徳川慶喜が好きな人は注意ですかね(苦笑)
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