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今日の読書 戯史三國志 我が土は何を育む/吉川永青

戯史三國志三部作完結編、今回の主人公は後に廖化と名前を変えることにな廖淳になります。

1作目が陳宮で主に魏というか曹操陣営視点で呂布の最後まで、2作目が程普で呉というか孫堅、孫策、孫堅陣営視点で主に赤壁の戦いまでと重なる時期がありながらも微妙に終点が後ろの時期にずれていくという構成でしたが、今作は廖化で蜀、劉備陣営視点になりますが、若干構成が変わります。

若干構成が変わるというのは、晩年の廖化が劉備亡き後に実質蜀を動かしていた諸葛亮の後を引き継いだ姜維に対し自分の過去を語るというもの。

蜀が風前の灯火状態になっているにもかかわらず、北伐に全てをかける姜維にこのまま戦い続けても国のためにならないと諫めるために自分の過去を語るという形ですので、語りかけ部分とその当時の描写と両方が出てきます。

廖化は前作共に顔を出し、前作の主役の程普とは親同然というつながりを持っていて出番が結構あったりするのですが、魏呉蜀全てに親しい人間を作っているからこそという視点がある人物だからこそという話だったりします。

戯史三國志シリーズは、いわゆる三國志ものの小説と違い主人公を明確にして、主人公が実際に絡んでいない事件はどれだけ有名であろうとも簡単な説明だけで終わるという、日本の戦国時代を舞台にした歴史小説に近く、主人公の人選もいわゆる三國志に詳しくないけれども何となく名前は聞いたことがあるというレベルの有名人を主人公に据えていないという面白さがあるわけですが、三部作全部読んでそれぞれの陣営視点での見え方の違い、後になればなるほど物語の終結時期が後ろにずれていくという流れといい、メジャーな題材の後発作だからこその工夫が見えて面白く読むことができました。

それこそ有名どころである同じ吉川でも吉川英治の三国志では諸葛亮の死を持っておしまいにしてしまっていて、それに準ずるように長編作なのに歴史上の結末までやらないというのが結構あったりするのに、大長編ではないのに駆け足とはいえ歴史上の結末まで触れているというのも、後発作だからこそきっちりと抑えておこうという感じが見えて面白かったですね。
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