今日の読書 ローマ人の物語1 ローマは一日して成らず/塩野七生
私は日本人として一番大多数な緩い多神教という概念の価値観を持ち合わせていると思っています。
ことさらに神の存在を信じているわけでもないが、神がいないと断言するつもりもないし、神を絶対的なものとする価値観は持ち合わせないが、そう信じる人がいる事そのものは否定せず、それを自分の中だけにとどめておくならば勝手にどうぞと思い、宗教行事や宗教的価値観の中で面白いと思う物や、要素は全部を受け入れるのではなく、都合のいい部分だけ抜き出して、それで構わないし、特に冒涜的な態度さえ取らなければ、それで構わないだろうと(まぁ、絶対的に信じない限り神への冒涜とする立場もあるでしょうが、それはスルー)
という事で、非寛容性、暴力性、残虐性を内包し一度スイッチが入ったらばどこまでも突き進める一神教というものをどうしても受け入れられません。
しかし、残念ながら世界の大多数は一神教(神を全否定したマルクス主義も形を変えた一神教)の影響力下にあり、先進国で伝統的に多神教という文化を持ち得た国は日本くらいなのではないかなと思っており、それが日本の外交面で不利にしている要素であると思わずにはいられなかったりしますね。
日本も多神教の文化が長く続いてはいるものの、幕末の開国から二次大戦の敗戦まで暴力的な一神教勢力に対抗するために、一神教の国家に作り替えた時期がありましたが、やはり非寛容や暴力性の方向に流れざるを得なかったという悲しい歴史がありますが、それを思えばこそ、余計に一神教という存在こそが世界平和を阻害しているものではないかと思わずにはいられませんね。
まぁ、今の世界を多神教に戻すという事は不可能になっていますし、一神教が世界的に広まる以前から人類は常に戦争、紛争がどれだけ愚かな行為であるとしても、続いてきた事を思うと、一神教にだけ責任をおっかぶせる事は無理があると言う事くらいは理解していますけどもね。
というわけで、私は一神教を本質的には嫌っているわけですが、多神教についてどれほど理解しているかというと、大したことではない事は分かりきっているのですし、日本についての事例だけ考えていると、それはそれで狭い了見になり、一神教を嫌い多神教の方がいいよねという事を根拠とし、偏狭なナショナリズムに陥る危惧がある事もあったりするんですよね。
日本の多神教こそ正しいんだ!という排他的な思想に陥る事も簡単ですから。
という事を、心配してかどうかは知りませんが、一神教が嫌いで多神教の方が良いと考えているのならば、古代に遡ればいいじゃない!と薦められたのが、ローマ人の物語のシリーズになります。
私は知識に乏しいため、古代ローマ時代に対する知識は単語をいくつか知っている程度であり、それが歴史としてどういう意味があるのか全く知らないために、シリーズとして長いし、理解できないだろうと薦められながらもなかなか手を出さないできたのですが、私のように最底辺の知識量がなく、愚鈍な人間であっても、専門書と違い読みやすいし、偏狭な知識しか持ち合わせていないからこそ、過去には共感しやすい文化があった事を知る事は悪い事ではない、それにこのシリーズを読んでブログに書けばトラックバックもするという言葉に釣られて読み始め、確かに私のような愚民が読んでも知らない固有名詞だらけであっても問題は少ないなと思えますね。
長すぎる前置きになりましたが、本書はローマ帝国の興亡の歴史を網羅するシリーズの1冊目になり、紀元前753年のローマ帝国建国から紀元前270年のイタリア統一までの500年間をまとめたものになります。
王政から共和制への移行、権力システムから他国の統治法など、現代よりもむしろ優れているのではないかと思えるシステムが垣間見られますね。
他民族への寛容性であるとか、王政でありながら世襲制ではないとか、国内の対立構造の解消であるとか順調に右肩上がりではなく、苦悩しながらではありますが試行錯誤しながら現実的に進めていく様は興味が惹かれますね。
また、当時ローマよりも進んでいたギリシアと比べ、ギリシアに学びながらもシステムを直輸入していないというあたり、何が優れていて何がそうではなく、またシステムを直輸入しないというあたりに、自分達に合うかどうかを見極めているという点は歴史から学ぶという意味で大きいと思わずにはいられないですね。
まぁ、ローマだのギリシアだの古代の文明国が今現在のEU経済では劣等生というか、爆弾になっているというのは興味深かったりしますが、それはまた別の話ですね。
そして、古代のギリシア人の気質を「進取の気象」にあふれるという表現が何度も出てくるのですが、その後に「質実の風」と続くと収まりが良さそうだなというのは、極々限られた変わり者にしか分からないネタでしょう。
第1章 ローマ誕生
落人伝説
期限前八世紀当時のイタリア
エトルリア人
イタリアのギリシア人
建国の王ロムルス
二代目の王ヌマ
三代目の王トゥリウス・オスティリウス
四代目の王アンコス・マルティウス
五代目の王タルクィニウス・ブリスコ
六代目の王セルヴィウス・トゥリウス
最後の王「尊大なるタルクィニウス」
第2章 共和制ローマ
ローマ、共和国に
ギリシア人への視察団派遣
ギリシア文明
アテネ
スパルタ
ペルシア戦役
覇権国家アテネ
ペリクレス時代
ギリシアを知って後
ローマの貴族
ケルト人来襲
ギリシアの衰退
立ち上がるローマ
政治改革
ローマの政体
「政治建築の傑作」
「ローマ連合」
街道
市民権
山岳民族サムニウム族
南伊ギリシアとの対決
戦術の天才ピュロス
ことさらに神の存在を信じているわけでもないが、神がいないと断言するつもりもないし、神を絶対的なものとする価値観は持ち合わせないが、そう信じる人がいる事そのものは否定せず、それを自分の中だけにとどめておくならば勝手にどうぞと思い、宗教行事や宗教的価値観の中で面白いと思う物や、要素は全部を受け入れるのではなく、都合のいい部分だけ抜き出して、それで構わないし、特に冒涜的な態度さえ取らなければ、それで構わないだろうと(まぁ、絶対的に信じない限り神への冒涜とする立場もあるでしょうが、それはスルー)
という事で、非寛容性、暴力性、残虐性を内包し一度スイッチが入ったらばどこまでも突き進める一神教というものをどうしても受け入れられません。
しかし、残念ながら世界の大多数は一神教(神を全否定したマルクス主義も形を変えた一神教)の影響力下にあり、先進国で伝統的に多神教という文化を持ち得た国は日本くらいなのではないかなと思っており、それが日本の外交面で不利にしている要素であると思わずにはいられなかったりしますね。
日本も多神教の文化が長く続いてはいるものの、幕末の開国から二次大戦の敗戦まで暴力的な一神教勢力に対抗するために、一神教の国家に作り替えた時期がありましたが、やはり非寛容や暴力性の方向に流れざるを得なかったという悲しい歴史がありますが、それを思えばこそ、余計に一神教という存在こそが世界平和を阻害しているものではないかと思わずにはいられませんね。
まぁ、今の世界を多神教に戻すという事は不可能になっていますし、一神教が世界的に広まる以前から人類は常に戦争、紛争がどれだけ愚かな行為であるとしても、続いてきた事を思うと、一神教にだけ責任をおっかぶせる事は無理があると言う事くらいは理解していますけどもね。
というわけで、私は一神教を本質的には嫌っているわけですが、多神教についてどれほど理解しているかというと、大したことではない事は分かりきっているのですし、日本についての事例だけ考えていると、それはそれで狭い了見になり、一神教を嫌い多神教の方がいいよねという事を根拠とし、偏狭なナショナリズムに陥る危惧がある事もあったりするんですよね。
日本の多神教こそ正しいんだ!という排他的な思想に陥る事も簡単ですから。
という事を、心配してかどうかは知りませんが、一神教が嫌いで多神教の方が良いと考えているのならば、古代に遡ればいいじゃない!と薦められたのが、ローマ人の物語のシリーズになります。
私は知識に乏しいため、古代ローマ時代に対する知識は単語をいくつか知っている程度であり、それが歴史としてどういう意味があるのか全く知らないために、シリーズとして長いし、理解できないだろうと薦められながらもなかなか手を出さないできたのですが、私のように最底辺の知識量がなく、愚鈍な人間であっても、専門書と違い読みやすいし、偏狭な知識しか持ち合わせていないからこそ、過去には共感しやすい文化があった事を知る事は悪い事ではない、それにこのシリーズを読んでブログに書けばトラックバックもするという言葉に釣られて読み始め、確かに私のような愚民が読んでも知らない固有名詞だらけであっても問題は少ないなと思えますね。
長すぎる前置きになりましたが、本書はローマ帝国の興亡の歴史を網羅するシリーズの1冊目になり、紀元前753年のローマ帝国建国から紀元前270年のイタリア統一までの500年間をまとめたものになります。
王政から共和制への移行、権力システムから他国の統治法など、現代よりもむしろ優れているのではないかと思えるシステムが垣間見られますね。
他民族への寛容性であるとか、王政でありながら世襲制ではないとか、国内の対立構造の解消であるとか順調に右肩上がりではなく、苦悩しながらではありますが試行錯誤しながら現実的に進めていく様は興味が惹かれますね。
また、当時ローマよりも進んでいたギリシアと比べ、ギリシアに学びながらもシステムを直輸入していないというあたり、何が優れていて何がそうではなく、またシステムを直輸入しないというあたりに、自分達に合うかどうかを見極めているという点は歴史から学ぶという意味で大きいと思わずにはいられないですね。
まぁ、ローマだのギリシアだの古代の文明国が今現在のEU経済では劣等生というか、爆弾になっているというのは興味深かったりしますが、それはまた別の話ですね。
そして、古代のギリシア人の気質を「進取の気象」にあふれるという表現が何度も出てくるのですが、その後に「質実の風」と続くと収まりが良さそうだなというのは、極々限られた変わり者にしか分からないネタでしょう。
第1章 ローマ誕生
落人伝説
期限前八世紀当時のイタリア
エトルリア人
イタリアのギリシア人
建国の王ロムルス
二代目の王ヌマ
三代目の王トゥリウス・オスティリウス
四代目の王アンコス・マルティウス
五代目の王タルクィニウス・ブリスコ
六代目の王セルヴィウス・トゥリウス
最後の王「尊大なるタルクィニウス」
第2章 共和制ローマ
ローマ、共和国に
ギリシア人への視察団派遣
ギリシア文明
アテネ
スパルタ
ペルシア戦役
覇権国家アテネ
ペリクレス時代
ギリシアを知って後
ローマの貴族
ケルト人来襲
ギリシアの衰退
立ち上がるローマ
政治改革
ローマの政体
「政治建築の傑作」
「ローマ連合」
街道
市民権
山岳民族サムニウム族
南伊ギリシアとの対決
戦術の天才ピュロス
![]() | ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず (1992/07) 塩野 七生 商品詳細を見る |
- 関連記事
-
- 今日の読書 救命 東日本大震災、医師たちの奮闘/海堂尊監修 (2011/11/17)
- 今日の読書 図解経済学者バトルロワイヤル/小泉祐一郎 (2011/11/12)
- 今日の読書 ローマ人の物語1 ローマは一日して成らず/塩野七生 (2011/11/07)
- 今日の読書 人は皆「自分だけは死なない」と思っている/山村武彦 (2011/10/31)
- 今日の読書 幕末維新史の定説を斬る/中村彰彦 (2011/10/04)