今日の読書 2020年世界経済の勝者と敗者/ポール・クルーグマン・浜田宏一

ノーベル経済学賞は果たしてどれだけの意味があるのかという懐疑的な扱いをされることが多々ありますし、そもそも理系学問と違って社会学系の分析は絶対に正しいという答えを出すことがほぼ無理な分野ですし、それぞれの考え方の違いによって恣意的に切り取って使われやすかったりするので、今ひとつ信用されきれないであろうという大前提を置いた上で、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンとイェール大学名誉教授で現在の安倍政権の内閣官房参与の浜田宏一による対談本になります。

アメリカ、日本、ヨーロッパ、中国についての経済分析ですが、基本的にリーマンショックから脱却しつつあるアメリカ、TPPは基本的に懐疑的で反対だけれども、条件しだいでどう転ぶか分からないというもの。

日本についてはアベノミクスの評価。

アベノミクスについては、経済政策としての評価云々より先に、安倍晋三を絶対的に敵視するマスメディアの存在がまずあり、自分の経済政策を持っていない野党によるとりあえず全否定しておくという態度があり、また基本的に経済政策というのは効果が現れるのに時間がかかるという問題もあり、何が成功していて何が失敗しているかというのが見えにくく、また肯定している人よりも全否定している人は否定のための否定、デフレ脱却を目指すというと、ハイパーインフレを目指しているという極論が出てきたり、そもそもデフレは正しいんだという噴飯物の説を唱える人がいたりとありますが、私個人はクルーグマンの著書を読んできているので、アベノミクスが発表されたときの印象はとにかく、経済政策を考えた人の中にクルーグマンの影響を受けている人が絶対にいるよねという事でした。

ですので、安倍晋三という総理大臣の好きか嫌いかで評価をするというよりも、ベタな現代的なケインズ政策だよねですね。

日本の場合保守も革新も野党も与党もすべからく経済政策を軸に政策を考える集団ではなく、また長らく与党をしている自民党も軸が経済政策ではないからこそ、経済政策に関しては勝手に学説を乗り換える節操の無さを見せる。

問題は野党も同じように節操なく全否定に走るから意味が分からなくなるという頭を抱えたくなる状況になっていると思います。

少なくとも、経済政策に関して小泉純一郎を全否定して同時に安倍晋三を全否定する人、何を否定するかとか対案という形ではなく、1からこういう経済政策をします!不況脱出案はこういうことをしますといのを作り上げようとした場合、この2つを全否定すると自分が言っていたことを棚に上げない限り何もできなくなるか、論理的裏付けも何も無いものしかできなくなるでしょう。

ただ、残念なことに日本の野党は目立つためにとにかく全否定したがりなんですよね・・・全否定か全肯定の2択の世界から早く脱却して部分肯定部分否定をもっと使い分けるようにならないと、何もできなくなるんですが。

それは置いておいて、このままアベノミクスが成功するかどうかの鍵は、金融緩和は景気が上向きになり、それが実体経済として実感されるまでやりきること。

中途半端な時期に緊縮財政至上主義者に財政破綻するから緊縮財政すべきだ、財政破綻するから消費税を上げるべきだというような流れが出てきたらば絶対に反対すべき。

とかく、消費税は中途半端な時期に一度上げてブレーキをかけてしまっているからこそ、同じ過ちを短期間にすべきではないし、もしするのならば自滅行為レベルであると。

クルーグマンはというか、ケインズ系の学者はある意味戦後復興期からバブル崩壊直前までの日本経済こそ1つの理想例として日本に対して期待値が高く、市場原理主義といわれるいわゆる主流派経済学者達の力を弱めたい気持ちが強くあるので、金融政策と財政政策の成功を祈る気持ちが強く、やや楽観的かなと思える部分も多々あり、日本人で日本だからこその問題点も分かっている浜田氏の方は財政政策に関しては懐疑的というか、日本の悪しき箱物行政、悪しき土建政治の問題点も分かっているので金融政策に対して力点をおくべきという違いはありますが、ともにアベノミクスへの期待は高いですね。

あとは、とにかく不況期の緊縮財政は悪というのをどれだけ流布できるかというのは大きいかなとは主ますね。

欲しがりません勝つまでは精神は絶対にダメですし、不況期の緊縮財政は栄養失調時に肥満を気にして飯の量を減らすことという基本くらいは流布されて欲しいものですね。

ヨーロッパの問題はとにかく、統一通貨ユーロという大実験の失敗につきますね。

自国通貨ではないというデメリットが噴出しすぎていて、デフレに陥るし緊縮財政をしつづけているし、かといってユーロを今から辞めて自国通貨を作ろうとしても今更やったらば意味が分からない状態になるし、どう手を打ったら良い物か分からないし、クルーグマンは下手に何か言うとその影響で某かの責任を億株されることになりかねなくてコメントするのも困る状況らしいですね。

中国に関してはバブル崩壊は既定路線、とにかく発表されている数字がでたらめ過ぎて、どうなるか分かった物ではないと言うことにつきますね。

中国とのつきあい方はゲーム理論にあるしっぺ返し戦略しかないんじゃね?というのが浜田氏の考え方でもあり、基本日本はこのしっぺ返し戦略というゲーム理論はどの分野でも意識すべきものなんですが、良くも悪くも外交に関しては日本は性善説に囚われすぎているのでねぇ・・・と言うことですね。

アベノミクスをどう思うかというよりも、まずは安倍晋三が好きか嫌いかというフィルターを外し、純粋に経済政策論として読んでみると面白いと思いますね、もっとも市場原理主義最高!という人は全く響かないでしょうが。

まずは、この先絶対に政府にプレッシャーをかけないといけないのは消費税増税阻止ですね、というか、むしろ消費税減税すれば成功への近道じゃ無いかという提言もあるくらいですからね。

第1章 アメリカの出口戦略
第2章 日本のアベノミクス
第3章 ヨーロッパの解体
第4章 中国のバブルの深度

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ジャンル : 小説・文学

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